水産関係公共事業の事業評価実施要領の制定について
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11水港第3362号
平成11年8月13日
最終改正:平成17年3月31日 16水港第3391号
都道府県知事あて
北海道開発局長あて
沖縄総合事務局長あて
瀬戸内海漁業調整事務所長あて
九州漁業調整事務所長あて
水産庁長官
水産関係公共事業の事業評価実施要領
第1 目的
水産関係公共事業において、事業採択前から事業完了後に至るまでの、個々の事業についてその効率性や事業実施過程の透明性の一層の向上を図る観点から、「行政機関が行う政策の評価に関する法律」(平成13年法律第86号、以下「法」という。)に基づき農林水産大臣が決定した「農林水産省政策評価基本計画」(以下「基本計画」という。)及び「農林水産省政策評価実施計画」(以下「実施計画」という。)に基づき、個々の事業ごとに、事前、期中、完了後に評価・検証を実施する。
第2 対象とする事業の範囲
対象とする事業は、水産関係公共事業(水産基盤整備事業及び漁港海岸事業)とする。
第3 事業評価の実施単位
事業評価は、各地区事業ごとに行うものとする。ただし、漁港・漁場関係施設、集落環境関係施設、海岸保全施設等において、事業効果を分離して取り扱うことが困難な複数の施設の整備、一体的に整備することによって一層効果が発現されると考えられる複数の施設の整備等については、それらの施設の整備を一体的に評価するものとする。
第4 事業評価の実施主体及び体系
水産庁は、基本計画、実施計画に基づき、
1 事業採択の適正な実施に資する観点から、事業の採択前の段階において、費用対効果分析及びその他の手法により行う事前評価
2 事業継続等の方針の決定に資する観点から、事業採択後一定期間経過した事業を対象に、社会経済情勢の変化等を踏まえて行う期中の評価
3 対象事業について必要な措置を講ずるとともに、事業のあり方の検討等を行う観点から、事業完了後一定の期間が経過した事業を対象に、効果の発現状況、事業の実施による環境の変化、社会経済情勢の変化等について行う完了後の評価
からなる事業評価を実施し、その体系については、別紙(漁村再生交付金実施要領(平成17年3月25日付け16水港第3060号農林水産事務次官依命通知)に規定する漁村再生交付金は除く。)に示すものとする。
第5 事業評価の内容
1 事前評価
水産庁は、国の補助金の交付を受けて実施する都道府県等事業実施主体(以下「事業主体」という。以下同じ)の協力の下、以下の「チェックリスト」及び別に定める「優先採択の視点」に基づき、事前評価を行い、別添の事前評価書により、事業の採択を行うものとする。
<直轄・補助事業のチェックリスト>(PDF:26KB)2 期中の評価
水産庁は、期中の評価において、事業主体の協力の下、事前評価の際に評価した内容及び以下の評価項目について点検し、総合的かつ客観的に評価を行うものとする。
なお、原則として、期中の評価を実施する全事業について、費用対効果分析を実施するものとする。
指標 | 評価項目 | |
費用対効果分析の算定基礎となった要因の変化 | ・採択時の総費用、総便益及び分析結果 | |
・期中の評価時の総費用、総便益及び分析結果 | ||
・便益項目 | ||
漁業情勢、社会経済情勢 | ||
漁業情勢及び漁港施設、漁場施設等の利用状況と将来見通し | ・計画策定後の利用漁船数、漁業生産量、漁業生産額の状況の当初想定との相違と将来見通し | |
・漁業形態、流通形態について当初想定との相違と将来見通し | ||
・漁港施設等の利用状況について当初想定との相違と将来見通し | ||
漁業集落の概況及び海岸保全施設、生活環境施設等の利用状況と将来見通し | ・計画策定後の漁業集落に関わる社会経済状況、自然状況の当初想定との相違と将来見通し | |
・集落形態、地区産業の形態について当初想定の相違と将来見通し | ||
・生活環境施設等の利用状況について当初想定の相違と将来見通し | ||
・防護人口・資産について当初想定との相違と将来見通し | ||
・背後地の土地利用形態、地域計画等について当初想定との相違と将来見通し | ||
事業の進捗状況 | ・現時点までの進捗状況、今後の資金計画、整備スケジュール及び計画完了時の達成予測等 | |
関連事業の進捗状況 | ・関連する他の事業との整備スケジュールの整合性と進度、整備における連携の可能性 | |
地元(受益者、地方公共団体等)の意向 | ・地元の意向 | |
事業コスト縮減等の可能性 | ・新技術、新工法、新材料等の導入によるコスト縮減の可能性 | |
・計画手法及び設計方法の見直しによるコスト縮減の可能性 | ||
・事業工程の見直しによる事業の効率化に伴う事業コストの縮減 | ||
・関連する他の事業との連携によるコスト縮減の可能性 | ||
代替案の実現可能性 | ・代替案の実現可能性 |
(1) 期中の評価を実施する事業及び実施時期
(ア) 期中の評価を実施する事業は、原則として、事業採択後5年を経過した時点で継続中となる事業実施地区について、5年目ごとに実施するものとする。
(イ) 事業採択後5年以上を経過した時点で未着工となる事業。
(ウ) その他、漁業情勢の急激な変化等により見直しの必要性が生じた場合には、適宜、期中の評価を実施するものとする。
なお、「見直しの必要性が生じた場合」とは、以下の場合とする。
1) 計画策定時に基礎とした漁業情勢、漁港施設の利用状況、漁業集落の概況と生活環境施設の現状等の指標について、以下のような著しい変化が見られる場合
ア.地震や台風等の災害等予期せぬ事態が発生した等、全面的な計画の見直しが必要となった場合
イ.計画の途中で、漁業情勢の大きな変化等により、その漁港の整備の必要性及び有効性に問題が生じ、全面的な計画の見直しが必要となった場合
ウ.事業の是非を問う住民投票の実施、周辺環境に対する新たな影響の懸念が生じた等、現計画のままでの事業実施に問題が生じ、全面的な計画の見直しが必要となった場合
2) 予期しなかった設計条件等の変化により、現計画の全体事業費が著しく増減する場合
3) その他、水産庁が当該事業について、期中の評価を実施するべきと認める場合
(エ) 当該年度に完了する事業については、期中の評価を行わないものとする。
(2) 評価の結果を受けての実施方針の決定
評価項目の点検結果等を踏まえて、以下に掲げる方針を決定するものとする。
a 事業の継続
現計画の整備が適切であると認められる場合
b 計画の見直し
現計画の施設規模等が適切でないと認められる場合
c 休止
当分の間、情勢の推移を見守る必要がある場合
d 中止
事業の必要性が消滅した場合
(3) 国が行う水産基盤整備事業における期中の評価の実施体制
(ア) 北海道開発局長は、国が行う水産基盤整備事業について、当該事業実施の妥当性の検討を行うため、専門的知見を有する第三者(国又は関係地方公共団体に属する者以外の者をいう。)から構成される委員会(以下「第三者委員会」という。)を設置するものとする。
(イ) 北海道開発局長は、第三者委員会の意見を踏まえ、当該事業の実施方針案を作成し、水産庁長官に報告するものとする。
3 完了後の評価
水産庁は、完了後の評価において、事業主体の協力の下、事前評価や期中の評価の内容、事業の実施過程等を踏まえ、以下の項目に関する効果等を把握し、さらなる施設の利用・保全の促進を図るものとする。
なお、原則として、完了後の評価を実施する全事業について、費用対効果分析を実施するものとする。
また、費用対効果分析の主な便益算定項目の整備後の状況等についても、統計資料やアンケート調査等を通じて定量的・定性的に把握することに努めるものとする。
(ア)費用対効果分析の算定基礎となった要因の変化
(イ)事業効果の発現状況
(ウ)事業により整備された施設の管理状況
(エ)事業実施による環境の変化
(オ)社会経済情勢の変化
(カ)今後の課題等
(1) 完了後の評価を実施する事業及び実施時期
事業完了後一定期間(おおむね5年)経過後、事業効果が発現する時期に行うものとする。
ただし、これ以外の場合においても、自然災害の発生、社会経済情勢の変化等があり、水産庁が必要と認めた場合には実施するものとする。
(2) 国が行う水産基盤整備事業における完了後の評価
(ア) 国が行う水産基盤整備事業における完了後の評価については、第5の3及び第5の3の(1)の規定を準用する。この場合において、「水産庁」とあるのは「北海道開発局」と、「事業主体の協力の下」とあるのは「管理主体の協力を得て」と読み替えるものとする。
(イ) 北海道開発局長は、国が行う水産基盤整備事業の完了地区において完了後の評価を行うため、第5の2(3)(ア)に掲げる第三者委員会を設置するものとする。
(ウ) 北海道開発局長は、第三者委員会の意見を踏まえ、完了後の評価を決定するものとし、その結果を水産庁長官に報告するものとする。
第6 事業評価結果等
1 事業評価結果の活用
水産庁は、今後さらなる事業の透明性及び客観性を確保するように、事業の実施過程や事前評価及び完了後の評価等の結果を有効に活用し、今後の事業のあり方や方向性の検討及び評価手法の考え方の改善等を今後とも進めていくものとする。
2 費用対効果算定手法の改善
水産庁は、現段階において貨幣化・定量化が困難な事業効果について、今後とも可能な限り貨幣化を行うとともに、貨幣化が困難な場合でも可能な限り定量化に向けた努力を行うものとする。
第7 学識経験者等の知見の活用
評価の実施に関し、客観性を確保し、多様な意見の反映を図るとともに、評価手法の向上を図るため、学識経験者等の第三者の知見を活用するものとする。
第8 結果の公表
水産庁は、別添様式により、事業評価内容及び評価結果等を、原則として3月末に公表するものとする。
第9 評価基礎資料等の収集における事業主体の積極的な協力
事業主体は、主体性をもって事業の効率的・効果的な実施を図る観点から、必要な情報の収集及び事業効果の把握に努めるものとする。
その際、事業により整備される施設の管理主体が事業主体と異なる場合には、事業主体は管理主体の協力を得るものとする。
なお、これら収集・把握した情報等について事業主体は、水産庁へ積極的に提供し、事業評価の的確な実施に協力するものとする。
附則(平成11年8月13日11水港第3362号)
本要領は、平成12年度に実施される事業から適用するものとする。
附則(平成12年6月20日12水港第2278号)
この規定は、平成12年度に実施する事業評価から適用する。
附則(平成13年5月25日13水港第789号)
この規定は、平成13年度に実施する事業評価から適用する。
附則(平成14年3月18日13水港第3923号)
この規定は、平成14年度に実施する事業を対象とした評価から適用する。
附則(平成15年3月26日14水港第3272号)
この規定は、平成14年度に実施する事業評価から適用する。
なお、「水産関係公共事業の再評価実施要領の制定について(平成10年3月27日付け10水港第808号水産庁長官通知)」及び「水産関係公共事業の再評価実施要領及び事業評価実施要領の運用について(平成13年5月25日付け13水港第787号水産庁漁港漁場整備部計画課長及び防災漁村課長通知)」は、廃止する。
附則(平成17年3月31日16水港第3391号)
この規定は、平成17年度に実施する事業を対象とした評価から適用する。