このページの本文へ移動

農林水産省

メニュー

森林法第26条の2第4項の規定に基づく協議に係る農林水産大臣の同意の基準等について

12-21
平成12年6月23日
最終改正:平成29年3月29日 28林整治第2549号

都道府県林務担当部長あて

林野庁治山課長

森林法(昭和26年法律第249号。以下「法」という。)第26条の2第4項の規定に基づく保安林の解除の協議(以下「協議」という。)に係る農林水産大臣の同意の基準、協議における添付書類及び標準処理期間は、下記のとおりとする。
なお、当該基準は地方自治法(昭和22年法律第67号)第250条の2第1項の規定により、標準処理期間は第250条の3第1項の規定によるものである。

1  解除の要件について

(1)指定の理由の消滅

法第26条の2第1項に規定する「指定の理由が消滅したとき」とは、次の各号のいずれかに該当するときとするものとする。

ア  受益の対象が消滅したとき

イ  自然現象等により保安林が破壊され、かつ、森林に復旧することが著しく困難と認められるとき

ウ  当該保安林の機能に代替する機能を果たすべき施設等が設置されたとき又はその設置が極めて確実と認められるとき

エ  森林施業を制限しなくても受益の対象を害するおそれがないと認められるとき

(2) 公益上の理由

法第26条の2第2項に規定する「公益上の理由により必要が生じたとき」とは、保安林を次に掲げる事業の用に供する必要が生じたときとするものとする。

ア  土地収用法(昭和26年法律第219号)その他の法令により土地を収用し又は使用できることとされている事業のうち、国等(国、地方公共団体、地方公共団体の組合、独立行政法人、地方独立行政法人、地方住宅供給公社、地方道路公社及び土地開発公社をいう。以下同じ。)が実施するもの

イ  国等以外の者が実施する事業のうち、別表1に掲げる事業に該当するもの

ウ  ア又はイに準ずるもの

(3)転用を目的とする解除

前記(1)又は(2)による解除のうち、保安林を森林以外の用途に供すること(以下「転用」という。)を目的とするものについては、それぞれ次のア又はイに掲げる要件を備えなければならないものとする。
なお、保安林は、制度の趣旨からして森林以外の用途への転用を抑制すべきものであり、転用のための保安林の解除に当たっては、保安林の指定の目的並びに国民生活及び地域社会に果たすべき役割の重要性にかんがみ、地域における森林の公益的機能が確保されるよう森林の保全と適正な利用との調整を図る等厳正かつ適切な措置を講ずるとともに、当該転用が保安林の有する機能に及ぼす影響の少ない区域を対象とするよう努めるものとする。

ア  「指定の理由の消滅」による解除

(ア) 級地区分

別表2の第1級地に該当する保安林については、原則として、解除は行わないものとする。
同表の第2級地に該当する保安林については、地域における保安林の配備状況等及び当該転用の目的、態様、規模等を考慮の上、やむを得ざる事情があると認められ、かつ、当該保安林の指定の目的の達成に支障がないと認められる場合に限って転用に係る解除を行うものとする。

(イ) 用地事情

保安林の転用の目的に係る事業又は施設の設置(以下「事業等」という。)による土地利用が、その地域における公的な各種土地利用計画に即したものであり、かつ、当該転用の目的、その地域における土地利用の状況等からみて、その土地以外に他に適地を求めることができないか、又は著しく困難であること。

(ウ) 面積

保安林の転用に係る土地の面積が、次に例示するように当該転用の目的を実現する上で必要最小限度のものであること。

a  転用により設置しようとする施設等について、法令等により基準が定められている場合には、当該基準に照らし適正であること。

b  大規模かつ長期にわたる事業等のための転用に係る解除の場合には、当該事業等の全体計画及び期別実施計画が適切なものであり、かつ、その期別実施計画に係る転用面積が必要最小限度のものであること。

(エ) 実現の確実性

次の事項のすべてに該当し、申請に係る事業等を行うことが確実であること。

a  事業等に関する計画の内容が具体的であり、当該計画どおり実施されることが確実であること。

b  事業等を実施する者(以下「事業者」という。)が当該保安林の土地を使用する権利を取得しているか、又は取得することが確実であること。

c  事業者が事業等を行うため当該保安林と併せて使用する土地がある場合において、その土地を使用する権利を取得しているか、又は取得することが確実であること。

d  b及びcの土地の利用又は事業等について、法令等による許認可等を必要とする場合には、当該許認可等がなされているか、又はなされることが確実であること。

e  事業者に当該事業等を遂行するのに十分な信用、資力及び技術があることが確実であること。

(オ) 利害関係者の意見

転用の目的を実現するため保安林を解除することについて、当該保安林の解除に利害関係を有する市町村の長の同意及びその解除に直接の利害関係を有する者の同意を得ているか又は得ることができると認められるものであること。

(カ) その他の満たすべき基準

a  転用に係る保安林の指定の目的の達成に支障のないよう、転用に伴って失われる当該保安林の機能に代替する機能を果たすべき施設(以下「代替施設」という。)の設置等の措置が講じられたか、又は講じられることが確実であること。
この場合において、代替施設には、当該転用に伴って土砂が流出し、崩壊し、又はたい積することにより、付近の農地、森林その他の土地若しくは道路、鉄道その他これに準ずる設備又は住宅、学校その他の建築物に被害を与えるおそれがある場合における当該被害を防除するための施設を含むものとする。

b  当該事業等が別紙に示す基準に適合するものであること。

c  転用に係る保安林の面積が5ヘクタール以上である場合又は事業者が所有権その他の当該土地を使用する権利を有し事業等に供しようとする区域内の森林の面積に占める保安林の面積の割合が10パーセント以上である場合(転用に係る保安林の面積が1ヘクタール未満の場合を除く。)であって、水資源の涵養又は生活環境の保全形成等の機能を確保するため代替保安林の指定を必要とするものにあっては、原則として、当該転用に係る面積以上の代替保安林とすべき森林が確保されるものであること。

イ  「公益上の理由」による解除

【1】国等が行う事業による転用の場合

(ア) 級地区分

別表2の第1級地については、転用の態様、規模等からみて国土の保全等に支障がないと認められるものを除き、原則として、解除は行わないものとする。同表の第2級地については、前記アの(ア)と同様とする。

(イ) 用地事情

前記アの(イ)と同様とする。

(ウ) 面積

前記アの(ウ)と同様とする。

(エ) 実現の確実性

前記アの(エ)のaからdまでの事項のすべてに該当し、申請に係る事業等を行うことが確実であること。

(オ) その他の満たすべき基準

前記アの(カ)に準じた措置が講じられるものであること。

【2】【1】以外の場合

(ア) 級地区分

前記イの【1】の(ア)と同様とする。

(イ) 用地事情

前記アの(イ)と同様とする。

(ウ) 面積

前記アの(ウ)と同様とする。

(エ) 実現の可能性

前記アの(エ)と同様とする。

(オ) 利害関係者の意見

前記アの(オ)と同様とする。

(カ) その他満たすべき基準

前記アの(カ)に準じた措置が講じられるものであること。

2  添付書類について

都道府県知事は、法第30条の2の告示をする前に、別表3の書類により農林水産大臣に協議するものとする。
ただし、「地域森林計画等に基づく計画的な保安林の指定、解除等について」(平成24年3月30日付け23林整治第2925号)第3の規定を準用して事務処理を進める場合にあっては、別表4の書類によることができるものとする。

3  標準処理期間について

標準処理期間は、協議書を受理した日から起算して2ヶ月(60日)(ただし、法第26条の2第4項第1号に該当するもの(同項第2号にも該当するものを除く。)については1ヶ月(30日))とする。
なお、標準処理期間については、「規制緩和推進3ヶ年計画に基づく許認可等の審査・処理の迅速化等について」(平成11年4月1日付け11-12林野庁指導部治山課長通知)の1の(1)のイに留意すること。

別表

別表 1
国等以外の者が実施する事業
1 道路運送法(昭和26年法律第183号)による一般自動車道又は専用自動車道(同法による一般旅客自動車運送事業又は貨物自動車運送事業法(平成元年法律第83号)による一般貨物自動車運送事業の用に供するものに限る。)に関する事業
2 運河法(大正2年法律第16号)による運河の用に供する施設に関する事業 
3 土地改良区(土地改良区連合を含む。以下同じ。)が設置する農業用道路、用水路、排水路、海岸堤防、かんがい用若しくは農作物の災害防止用のため池又は防風林その他これに準ずる施設に関する事業
4 土地改良区が土地改良法(昭和24年法律第195号)によって行う客土事業又は土地改良事業の施行に伴い設置する用排水機若しくは地下水源の利用に関する設備に関する事業
5 鉄道事業法(昭和61年法律第92号)による鉄道事業者又は索道事業者がその鉄道事業又は索道事業で一般の需要に応ずるものの用に供する施設に関する事業
6 軌道法(大正10年法律第76号)による軌道又は同法が準用される無軌条電車の用に供する施設に関する事業
7 石油パイプライン事業法(昭和47年法律第105号)による石油パイプライン事業の用に供する施設に関する事業
8 道路運送法による一般乗合旅客自動車運送事業(路線を定めて定期に運行する自動車により乗合旅客の運送を行うものに限る。)又は貨物自動車運送事業法による一般貨物自動車運送事業(特別積合せ貨物運送をするものに限る。)の用に供する施設に関する事業
9 自動車ターミナル法(昭和34年法律第136号)第3条の許可を受けて経営する自動車ターミナル事業の用に供する施設に関する事業
10 漁港漁場整備法(昭和25年法律第137号)による漁港施設に関する事業
11 航路標識法(昭和24年法律第99号)による航路標識に関する事業又は水路業務法(昭和25年法律第102号)第6条の許可を受けて設置する水路測量標に関する事業
12 航空法(昭和27年法律第231号)による飛行場又は航空保安施設で公共の用に供するものに関する事業
13 日本郵便株式会社が日本郵便株式会社法(平成17年法律第100号)第4条第1項第1号に掲げる業務の用に供する施設に関する事業
14 電気通信事業法(昭和59年法律第86号)第120条第1項に規定する認定電気通信事業者が同項に規定する認定電気通信事業の用に供する施設(同法の規定により土地等を使用することができるものを除く。)に関する事業
15 放送法(昭和25年法律第132号)による基幹放送事業者又は基幹放送局提供事業者が基幹放送の用に供する放送設備に関する事業
16 電気事業法(昭和39年法律第170号)第2条第1項第8号に規定する一般送配電事業又は同項第10号に規定する送電事業の用に供する同項第18号に規定する電気工作物に関する事業
17 発電用施設周辺地域整備法(昭和49年法律第78号)第2条に規定する発電用施設に関する事業
18 ガス事業法(昭和29年法律第51号)第2条第13項に規定するガス工作物に関する事業(同条第5項に規定する一般ガス導管事業の用に供するものに限る。)
19 水道法(昭和32年法律第177号)による水道事業若しくは水道用水供給事業又は工業用水道事業法(昭和33年法律第84号)による工業用水道事業
20 学校教育法(昭和22年法律第26号)第1条に規定する学校又はこれに準ずるその他の教育若しくは学術研究のための施設に関する事業
21 社会福祉法(昭和26年法律第45号)による第一種社会福祉事業、生活困窮者自立支援法(平成25年法律第105号)に規定する認定生活困窮者就労訓練事業、児童福祉法(昭和22年法律第164号)に規定する助産施設、保育所、児童厚生施設若しくは児童家庭支援センターを経営する事業、就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律(平成18年法律第77号)に規定する幼保連携型認定こども園を経営する事業又は更生保護事業法(平成7年法律第86号)による継続保護事業の用に供する施設に関する事業
22 健康保険組合若しくは健康保険組合連合会、国民健康保険組合若しくは国民健康保険団体連合会、国家公務員共済組合若しくは国家公務員共済組合連合会若しくは地方公務員共済組合若しくは全国市町村職員共済組合連合会が設置する病院、療養所、診療所若しくは助産所又は医療法(昭和23年法律第205号)による公的医療機関に関する事業
23 墓地、埋葬等に関する法律(昭和23年法律第48号)による火葬場に関する事業
24 と畜場法(昭和28年法律第114号)によると畜場又は化製場等に関する法律(昭和23年法律第140号)による化製場若しくは死亡獣畜取扱場に関する事業
25 廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第137号)第15条の5第1項に規定する廃棄物処理センターが設置する同法による一般廃棄物処理施設、産業廃棄物処理施設その他の廃棄物の処理施設(廃棄物の処分(再生を含む。)に係るものに限る。)に関する事業
26 卸売市場法(昭和46年法律第35号)による地方卸売市場に関する事業
27 自然公園法(昭和32年法律第161号)による公園事業
28 鉱業法(昭和25年法律第289号)第104条の規定により鉱業権者又は租鉱権者が他人の土地を使用することができる事業
29 鉱業法第105条の規定により採掘権者が他人の土地を収用することができる事業
30 法第50条第1項の規定により他人の土地を使用する権利の設定に関する協議を求めることができる事業
別表 2
転用を目的とする保安林解除の審査に当たっての級地区分
級地区分
該当する保安林
第1級地
次のいずれかに該当する保安林
1  法第10条の15第4項第4号に規定する治山事業の施行地(これに相当する事業の施行地を含む。)であるもの(事業施行後10年(保安林整備事業、防災林造成事業等により森林の整備を実施した区域にあっては事業施行後20年(法第39条の7第1項の規定により保安施設事業を実施した森林にあっては事業施行後30年))を経過し、かつ、現在その地盤が安定しているものを除く。)
2  傾斜度が25度以上のもの(25度以上の部分が局所的に含まれている場合を除く。)その他地形、地質等からして崩壊しやすいもの
3  人家、校舎、農地、道路等国民生活上重要な施設等に近接して所在する保安林であって、当該施設等の保全又はその機能の維持に直接重大な関係があるもの
4  海岸に近接して所在するものであって、林帯の幅が150メートル未満(本州の日本海側及び北海道の沿岸にあっては250メートル未満)であるもの
5  保安林の解除に伴い残置し、又は造成することとされたもの
第2級地 第1級地以外の保安林
別表 3
編さん順序 書類の名称 関係法令等
1 保安林解除協議書 様式は任意
2 保安林解除調書 処理基準第2の2の(2)で準用する第1の3の(2)の【1】
基本通知第2の3の(4)の【1】
様式通知第1の3の様式5
3 保安林解除調書付属明細書 処理基準第2の2の(2)で準用する第1の3の(2)の【4】
基本通知第2の3の(4)の【4】
様式通知第1の3の様式5-1
4 事業計画の概要 処理基準第2の2の(2)で準用する第1の3の(2)の【4】
基本通知第2の3の(4)の【4】
様式通知第1の3の様式5-2
5 事業計画の内容審査結果 処理基準第2の2の(2)で準用する第1の3の(2)の【4】
基本通知第2の3の(4)の【4】
様式通知第1の3の様式5-3
6 位置図 処理基準第2の2の(2)で準用する第1の3の(2)の【3】
基本通知第2の3の(4)の【3】
様式通知第2の6
7 保安林解除調査地図 処理基準第2の2の(2)で準用する第1の3の(2)の【2】
基本通知第2の3の(4)の【2】
様式通知第2の3
8 写真 処理基準第2の2の(2)で準用する第1の3の(2)の【4】
基本通知第2の3の(5)で準用する第1の3の(6)のウ
9 事業計画図 規則48条2項
運用通知第1の2
10 事業計画書 規則48条2項
運用通知第1の2の(1)、(2)及び(3)

(注)

1  用紙の大きさは、日本工業規格A4版とする。

2  保安林の解除申請書の添付書類の写しでもよいこととする。

3  関係法令等の呼称は次のとおりとする。
規則:森林法施行規則(昭和26年農林省令第54号)
処理基準:森林法に基づく保安林及び保安施設地区関係事務に係る処理基準について(平成12年4月27日付け12林野治第790号農林水産事務次官通知)
運用通知:保安林及び保安施設地区に関する改正森林法施行規則の運用について(昭和43年12月14日付け43林野治第2482号)
基本通知:保安林及び保安施設地区の指定、解除等の取扱いについて(昭和45年6月2日付け45林野治第921号)
様式通知:保安林指定調書等の様式について(昭和45年8月8日付け45林野治第1553号)

別表 4
編さん順位 書類の名称 関係法令等
1 保安林解除協議書 様式は任意
2 保安林解除調書
(保安林解除計画表)
処理基準第2の2の(2)で準用する第1の3の(2)の【1】
基本通知第2の3の(4)の【1】
計画通知第3の2の(2)のイの別紙3、別紙3-1
3 保安林解除調査地図 処理基準第2の2の(2)で準用する第1の3の(2)の【4】
基本通知第2の3の(5)で準用する第1の3の(6)のウ
計画通知第3の2の(2)のウ
4 写真 処理基準第2の2の(2)で準用する第1の3の(2)の【4】
基本通知第2の3の(5)で準用する第1の3の(6)のウ
計画通知第2の3の(2)のエ 

(注)

1  関係通知の呼称は次のとおりとする。
計画通知:「地域森林計画等に基づく計画的な保安林の指定、解除等について」(平成24年3月30日付け23林整治第2925号林野庁長官通知)

2  用紙の大きさは、計画通知の定めを準用することとし、特段定めのないものは日本工業規格A4版とする。

別紙
保安林の転用に係る事業又は施設の設置の基準

第1  基準

次のすべての基準に適合するものであること。

1  転用に係る保安林の現に有する土地に関する災害の防止の機能からみて、当該転用により当該保安林の周辺の地域において土砂の流出又は崩壊その他の災害を発生させるおそれがないものであって、次のすべての基準に適合するものであること。

(1)転用が原則として現地形に沿って行われること及び転用による土砂の移動量が必要最小限度であることが明らかであること。

(2)切土、盛土又は捨土を行う場合には、その工法が法面の安定を確保するものであること及び捨土が適切な箇所で行われること並びに切土、盛土又は捨土を行った後に法面を生ずるときはその法面の勾配が地質、土質、法面の高さからみて崩壊のおそれのないものであり、かつ、必要に応じ小段又は排水施設の設置その他の措置が適切に講ぜられることが明らかであること。

(3)切土、盛土又は捨土を行った後の法面の勾配が(2)によることが困難であるか若しくは適当でない場合又は周辺の土地利用の実態からみて必要がある場合には、擁壁の設置その他の法面崩壊防止の措置が適切に講じられることが明らかであること。

(4)切土、盛土又は捨土を行った後の法面が雨水、渓流等により侵食されるおそれがある場合には、法面保護の措置が講ぜられることが明らかであること。

(5)転用に伴い相当量の土砂が流出し下流地域に災害が発生するおそれがある場合には、転用に先行して十分な容量及び構造を有するえん堤等の設置、森林の残置等の措置が適切に講ぜられることが明らかであること。

(6)雨水等を適切に排出しなければ災害が発生するおそれがある場合には、十分な能力及び構造を有する排水施設が設けられることが明らかであること。

(7)下流の流下能力を超える水量が排出されることにより災害が発生するおそれがある場合には、洪水調節池等の設置その他の措置が適切に講ぜられることが明らかであること。

(8)飛砂、落石、なだれ等の災害が発生するおそれがある場合には、静砂垣又は落石若しくはなだれ防止柵の設置その他の措置が適切に講ぜられることが明らかであること。

2  転用に係る保安林の現に有する水害の防止の機能からみて、当該転用により当該機能に依存する地域おける水害を発生させるおそれがないものであって、転用に係る保安林の現に有する水害の防止の機能に依存する地域において、当該転用に伴い増加するピーク流量を安全に流下させることができないことにより水害が発生するおそれがある場合には、洪水調節池の設置その他の措置が適切に講ぜられることが明らかであること。

3  転用に係る保安林の現に有する水源のかん養の機能からみて、当該転用により当該機能に依存する地域における水の確保に著しい支障を及ぼすおそれがないものであって、次の基準のすべてに適合するものであること。

(1)他に適地がない等によりやむをえず飲用水、かんがい用水等の水源として依存している森林を転用の対象とする場合において、周辺における水利用の実態等からみて必要な水量を確保するため必要があるときには、貯水池又は導水路の設置その他の措置が適切に講ぜられることが明らかであること。

(2)周辺における水利用の実態等からみて土砂の流出による水質の悪化を防止する必要がある場合には、沈砂池の設置、森林の残置その他の措置が適切に講ぜられることが明らかであること。

4  転用に係る保安林の現に有する環境の保全の機能からみて、当該転用により当該保安林の周辺の地域における環境を著しく悪化させるおそれがないものであって、次の基準のすべてに適合するものであること。

(1)転用に係る保安林の区域に転用に係る事業又は施設の設置(以下「事業等」という。)の目的及び態様、周辺における土地利用の実態等に応じ相当面積の森林又は緑地の残置又は造成が適切に行われることが明らかであること。

(2)騒音、粉じん等の著しい影響の緩和、風害等からの周辺の植生の保全等の必要がある場合には、転用に係る保安林の区域内の適切な箇所に必要な森林の残置又は必要に応じた造成が行われることが明らかであること。

(3)景観の維持に著しい支障が及ぼすことのないように適切な配慮がなされており、特に市街地、主要道路等からの景観を維持する必要がある場合には、転用により生ずる法面を極力縮小するとともに、可能な限り法面の緑化を図り、また転用に係る事業により設置される施設の周辺に森林を残置し、若しくは造成し、又は木竹を植栽する等の適切な措置が講ぜられることが明らかであること。

第2  技術的細則

1  第1の1の(1)の運用に当たっては、その利用形態からみて土砂の移動が周辺に及ぼす影響が比較的大きいと認められるスキー場の滑走コースに係る切土量は1ヘクタール当たりおおむね1,000立方メートル以下、ゴルフ場の造成に係る切土量、盛土量はそれぞれ18ホール当たりおおむね200万立方メートル以下とする。

2  第1の1の(2)の技術的基準は、次の(1)から(4)に掲げるとおりとする。

 (1)工法等は、次によるものであること。

ア  切土は、原則として階段状に行う等法面の安定が確保されるものであること。

イ  盛土は、必要に応じて水平層にして順次盛り上げ、十分締め固めが行われるものであること。

ウ  土石の落下による下斜面等の荒廃を防止する必要がある場合には、柵工の実施等の措置が講ぜられていること。

エ  大規模な切土又は盛土を行う場合には、融雪、豪雨等により災害が生ずるおそれのないように工事時期、工法等について適切に配慮されていること。

 (2)切土は次によるものであること。

ア  法面の勾配は、地質、土質、切土高、気象及び近傍にある既往の法面の状態等を勘案して、現地に適合した安定なものであること。

イ  土砂の切土高が10メートルを超える場合には、原則として高さ5メートルないし10メートル毎に小段が設置されるほか、必要に応じて排水施設が設置される等崩壊防止の措置が講ぜられていること。

ウ  切土を行った後の地盤にすべりやすい土質の層がある場合には、その地盤にすべりが生じないように杭打ちその他の措置が講ぜられていること。

 (3)盛土は、次によるものであること。

ア  法面の勾配は、盛土材料、盛土高、地形、気象及び近傍にある既往の法面の状態等を勘案して、現地に適合した安全なものであること。

イ  盛土高が5メートルを超える場合には、原則として5メートル毎に小段が設置されるほか、必要に応じて排水施設が設置される等崩壊防止の措置が講ぜられていること。

ウ  盛土がすべり、ゆるみ、沈下し又は崩壊するおそれがある場合には、盛土を行う前の地盤の段切り、地盤の土の入替え、埋設工の施工、排水施設の設置等の措置が講ぜられていること。

 (4)捨土は、次によるものであること。

ア  捨土は、土捨場を設置し、土砂の流出防止措置を講じて行われるものであること。この場合における土捨場の位置は、急傾斜地、湧水の生じている箇所等を避け、人家又は公共施設との位置関係を考慮の上設定されているものであること。

イ  法面の勾配の設定、小段の設置、排水施設の設置等は、盛土に準じて行われ、土砂の流出のおそれがないものであること。

3  第1の1の(3)の「周辺の土地利用の実態からみて必要がある場合」とは、人家、学校、道路等に近接し、かつ、次の(1)又は(2)に該当する場合をいう。ただし、土質試験等に基づき地盤の安定計算をした結果、法面の安定を保つために擁壁等の設置が必要でないと認められる場合には、これに該当しない。

(1)切土により生ずる法面の勾配が30度より急で、かつ、高さが2メートルを超える場合。ただし、硬岩盤である場合又は次のア若しくはイのいずれかに該当する場合にはこの限りではない。

ア  土質が表1の左欄に掲げるものに該当し、かつ、土質に応じた法面の勾配が同表中欄の角度以下のもの。

イ  土質が、表1の左欄に掲げるものに該当し、かつ、土質に応じた法面の勾配が同表中欄の角度を超え、同表右欄の角度以下のもので、その高さが5メートル以下のもの。この場合において、アに該当する法面の部分により上下に分離された法面があるときは、アに該当する法面の部分は存在せず、その上下の法面は連続しているものとみなす。

表 1
土質 擁壁等を要しない勾配の上限 擁壁等を要する勾配の下限
 軟岩(風化の著しいものを除く。)  60度  80度
 風化の著しい岩  40度   50度 
 砂利、真砂土、関東ローム、硬質粘土、その他これに類するもの  35度  45度

(2)盛土により生ずる法面の勾配が30度より急で、かつ、高さが1メートルを超える場合。

4  第1の1の(3)に該当し設置させる擁壁の構造は、次の技術的細則によるものであること。

(1)土圧、水圧及び自重(以下「土圧等」という。)によって擁壁が破壊されないこと。

(2)土圧等によって擁壁が転倒しないこと。この場合において、安全率は1.5以上であること。

(3)土圧等によって擁壁が滑動しないこと。この場合において、安全率は1.5以上であること。

(4)土圧等によって擁壁が沈下しないこと。

(5)擁壁には、その裏面の排水を良くするため、適正な水抜穴が設けられていること。

5  第1の1の(4)の法面保護は、次の技術的細則により行われるものであること。

(1)植生による保護(実播工、伏工、筋工又は植栽工等)を原則とし、植生による保護が適さない場合又は植生による保護だけでは法面の侵食を防止できない場合には人工材料による適切な保護(吹付工、張工、法枠工、柵工、網工等)が行われるものであること。工種は、土質、気象条件等を考慮して決定され、適期に施行されるものであること。

(2)表面水、湧水、渓流等により法面が侵食され又は崩壊するおそれがある場合には、排水施設又は擁壁の設置等の措置が講ぜられるものであること。この場合における擁壁の構造は、前記4によるものであること。

6  第1の1の(5)のえん堤等の設置は、次の技術的細則によるものであること。

(1)えん堤等の容量は、次のア及びイにより算定された開発行為に係る土地の区域からの流出土砂量を貯砂し得るものであること。

ア  開発行為の施行期間中における流出土砂量は、開発行為に係る土地の区域1ヘクタール当たり1年間におおむね200立方メートルないし400立方メートルを標準とするが、地形、地質、気象等を考慮の上適切に定められたものであること。

イ  開発行為の終了後において、地形、地被状態等からみて、地表が安定するまでの期間に相当量の土砂の流出が想定される場合には、別途積算するものであること。

(2)えん堤等の設置箇所は、極力土砂の流出地点に近接した位置であること。

(3)えん堤等の構造は、林野庁長官が別に定める「治山技術基準」によるものであること。

7  第1の1の(6)の排水施設の能力及び構造は、次の技術的細則によるものであること。

(1)排水施設の断面は、次によるものであること。

ア  排水施設の断面は、計画流量の排水が可能になるように余裕をみて定められていること。この場合、計画流量は次の(ア)及び(イ)により、流量は原則としてマニング式により求められていること。

(ア) 排水施設の計画に用いる雨水流出量は、原則として次式により算出されていること。ただし、降雨量と流出量の関係が別途高い精度で求められている場合には、単位図法等によって算出することができる。

雨水流出量の算出式

(イ) 前式の適用に当たっては、次のaからcまでによるものであること。

a  流出係数は、表2を参考にして定められていること。
b  設計雨量強度は、次のcによる単位時間内の10年確率で想定される雨量強度とされていること。
c  単位時間は、到達時間を勘案して定めた表3を参考として用いられていること。
表 2
地表状態 / 区分 浸透能   小 浸透能   中 浸透能   大
林地 0.6~0.7 0.5~0.6 0.3~0.5
草地 0.7~0.8 0.6~0.7 0.4~0.6
耕地 0.7~0.8 0.5~0.7
裸地 1.0 0.9~1.0 0.8~0.9
表 3
流域面積 単位時間
50ヘクタール以下 10分
100ヘクタール以下 20分
500ヘクタール以下 30分

イ  雨水のほか土砂等の流入が見込まれる場合又は排水施設の設置箇所からみていっ水による影響の大きい場合にあっては、排水施設の断面は、必要に応じてアに定めるものより大きく定められていること。

(2)排水施設の構造等は、次によるものであること。

ア  排水施設は、立地条件等を勘案して、その目的及び必要性に応じた堅固で耐久力を有する構造であり、漏水が最小限度となるよう措置されていること。

イ  排水施設のうち暗渠である構造部分には、維持管理上必要なます又はマンホールの設置等の措置が講ぜられていること。

ウ  放流によって地盤が洗掘されるおそれがある場合には、水叩きの設置その他の措置が適切に講ぜられていること。

エ  排水施設は、排水量が少なく土砂の流出又は崩壊を発生させるおそれがない場合を除き、排水を河川等又は他の排水施設等まで導くように計画されていること。

8  7の(2)のエにより河川等又は他の排水施設等に排水を導く場合には、当該河川等又は他の排水施設等の管理者の同意を得ているものであること。

9  第1の1の(7)の洪水調節池等の設置は、次の技術的細則によるものであること。

(1)洪水調節容量は、下流における流下能力を考慮の上、30年確率で想定される雨量強度における開発中及び開発後のピーク流量を開発前のピーク流量以下にまで調節できるものであること。また、流域の地形、地質、土地利用の状況等に応じて必要な堆砂量が見込まれていること。

(2)余水吐の能力は、コンクリートダムにあっては100年確率で想定される雨量強度におけるピーク流量の1.2倍以上、フィルダムにあってはコンクリートダムのそれの1.2倍以上のものであること。

(3)洪水調節の方式は、原則として自然放流方式であること。

10  第1の2の洪水調節池等の設置は、次の技術的細則によるものであること。

(1)洪水調節容量は、当該開発行為をする森林の下流において当該開発行為に伴いピーク流量が増加することにより当該下流においてピーク流量を安全に流下させることができない地点が生ずる場合には、当該地点での30年確率で想定される雨量強度及び当該地点において安全に流下させることができるピーク流量に対応する雨量強度における開発中及び開発後のピーク流量を開発前のピーク流量以下までに調節できるものであること。また、流域の地形、土地利用の状況等に応じて必要な堆砂量が見込まれていること。
なお、安全に流下させることができない地点が生じない場合には9の(1)によるものであること。

(2)余水吐の能力は、9の(2)によるものであること。

(3)洪水調節の方式は、9の(3)によるものであること。

11  第1の3の(1)により導水路の設置その他の措置が講ぜられる場合には、取水する水源に係る河川管理者等の同意を得ている等水源地域における水利用に支障を及ぼすおそれのないものであること。

12  第1の4の(1)は、次によるものであること。

(1)「相当面積の森林又は緑地の残置又は造成」とは、森林又は緑地を現況のまま保全することを原則とし、止むを得ず一時的に土地の形質を変更する必要がある場合には、可及的速やかに伐採前の植生回復を図ることを原則として森林又は緑地が造成されるものであること。
この場合において、残置し又は造成する森林又は緑地の面積の事業区域(事業者が所有権その他の当該土地を使用する権利を有し事業等に供しようとする区域をいう。以下同じ。)内の森林面積に対する割合は、表4の事業区域内において残置し又は造成する森林又は緑地の割合によるものとする。
ただし、転用に係る保安林の面積が5ヘクタール以上である場合又は事業区域内の森林の面積に面積に占める保安林の面積の割合が10パーセント以上である場合(転用に係る保安林の面積が1ヘクタール未満の場合を除く。)には、前記1及び表4に代えて表5に示す基準に適合するものであること。
また、残置し又は造成する森林又は緑地は、表4又は表5の森林の配置等により事業等の規模及び地形に応じて、事業区域内の周辺部及び施設等の間に適切に配置されていること。
なお、表4又は表5に掲げる事業等の目的以外の開発行為については、その目的、態様、社会的経済的必要性、対象となる土地の自然的条件等に応じ、表4又は表5に準じて適切に措置されていること。

表 4
事業等の目的 事業区域内において残置し又は造成する森林又は緑地の割合 森林の配置等
別荘地の造成 残置森林率はおおむね60パーセント以上とする。
1. 原則として周辺部に幅おおむね30メートル以上の残置森林又は造成森林を配置する。
2. 1区画の面積はおおむね1,000平方メートル以上とし、建物敷等の面積はその面積のおおむね30パーセント以下とする。
スキー場の造成 残置森林率はおおむね60パーセント以上とする。
1. 原則として周辺部に幅おおむね30メートル以上の残置森林又は造成森林を配置する。
2. 滑走コースの幅はおおむね50メートル以下とし、複数の滑走コースを並列して設置する場合はその間の中央部に幅おおむね100メートル以上の残置森林を配置する。
3. 滑走コースの上、下部に設けるゲレンデ等は1箇所当たりおおむね5ヘクタール以下とする。また、ゲレンデ等と駐車場との間には幅おおむね30メートル以上の残置森林又は造成森林を配置する。
ゴルフ場の造成 森林率はおおむね50パーセント以上とする。(残置森林率おおむね40パーセント以上)
1. 原則として周辺部に幅おおむね30メートル以上の残置森林又は造成森林(残置森林は原則としておおむね20メートル以上)を配置する。
2. ホール間に幅おおむね30メートル以上の残置森林又は造成森林(残置森林はおおむね20メートル以上)を配置する。
宿泊施設、レジャー施設の設置 森林率はおおむね50パーセント以上とする。(残置森林率はおおむね40パーセント以上)
1. 原則として周辺部に幅おおむね30メートル以上の残置森林又は造成森林を配置する。
2. 建物敷の面積は事業区域の面積のおおむね40パーセント以下とし、事業区域内に複数の宿泊施設を設置する場合は極力分散させるものとする。
3. レジャー施設に係る事業等の1箇所当たりの面積はおおむね5ヘクタール以下とし、事業区域内にこれを複数設置する場合は、その間に幅おおむね30メートル以上の残置森林又は造成森林を配置する。
工場、事業場の設置 森林率はおおむね25パーセント以上とする。
1. 事業区域内の事業等に係る森林の面積が20ヘクタール以上の場合は、原則として周辺部に幅おおむね30メートル以上の残置森林又は造成森林を配置する。これ以外の場合にあっても極力周辺部に森林を配置する。
2. 事業等に係る1箇所当たりの面積はおおむね20ヘクタール以下とし、事業区域内にこれを複数造成する場合は、その間に幅おおむね30メートル以上の残置森林又は造成森林を配置する。
住宅団地の造成 森林率(緑地を含む。)はおおむね20パーセント以上とする。
1. 事業区域内の事業等に係る森林の面積が20ヘクタール以上の場合は、原則として周辺部に幅おおむね30メートル以上の残置森林又は造成森林・緑地を配置する。これ以外の場合にあっても極力周辺部に森林・緑地を配置する。
2. 事業等に係る1箇所あたりの面積はおおむね20ヘクタール以下とし、事業区域内にこれを複数造成する場合は、その間に幅おおむね30メートル以上の残置森林又は造成森林・緑地を配置する。
土石等の採掘  
1. 原則として周辺部に幅おおむね30メートル以上の残置森林又は造成森林を配置する。
2. 採掘跡地は必要に応じ埋め戻しを行い、緑化及び植栽する。また、法面は可能な限り緑化し小段平坦部には必要に応じ客土等を行い植栽する。

(注)

1  「残置森林率」とは、残置森林(残置する森林)のうち若齢林(15年生以下の森林)を除いた面積の事業区域内の森林の面積に対する割合をいう。

2  「森林率」とは、残置森林及び造成森林(植栽により造成する森林であって硬岩切土面等の確実な成林が見込まれない箇所を除く。)の面積の事業区域内の森林の面積に対する割合をいう。

3  「ゲレンデ等」とは、滑走コースの上、下部のスキーヤーの滞留場所であり、リフト乗降場、レストハウス等の施設用地を含む区域をいう。

表 5
事業等の目的 事業区域内において残置し又は造成する森林又は緑地の割合 森林の配置等
別荘地の造成 残置森林率はおおむね70パーセント以上とする。
1. 原則として周辺部に幅おおむね50メートル以上の残置森林又は造成森林を配置する。
2. 1区画の面積はおおむね1,000平方メートル以上とする。
3. 1区画内の建物敷の面積はおおむね200平方メートル以下とし,建物敷その他付帯施設の面積は1区画の面積のおおむね20パーセント以下とする。
4. 建築物の高さは当該森林の期待平均樹高以下とする。
スキー場の造成 残置森林率はおおむね70パーセント以上とする。
1. 原則として周辺部に幅おおむね50メートル以上の残置森林又は造成森林を配置する。
2. 滑走コースの幅はおおむね50メートル以下とし、複数の滑走コースを並列して設置する場合はその間の中央部に幅おおむね100メートル以上の残置森林を配置する。
3. 滑走コースの上、下部に設けるゲレンデ等は1箇所当たりおおむね5ヘクタール以下とする。また、ゲレンデ等と駐車場との間には幅おおむね50メートル以上の残置森林又は造成森林を配置する。
4. 滑走コースの造成に当たっては原則として土地の形質変更は行わないこととし、止むを得ず行う場合には、造成に係る切土量は、1ヘクタール当たりおおむね1000立方メートル以下とする。
ゴルフ場の造成 森林率はおおむね70パーセント以上とする。(残置森林率はおおむね60パーセント以上)
1. 原則として周辺部に幅おおむね50メートル以上の残置森林又は造成森林(残置森林は原則としておおむね40メートル以上)を配置する。
2. ホール間に幅おおむね50メートル以上の残置森林又は造成森林(残置森林はおおむね40メートル以上)を配置する。
3. 切土量,盛土量はそれぞれ18ホール当たりおおむね150万立方メートル以下とする。
宿泊施設、レジャー施設の設置 残置森林率はおおむね70パーセント以上とする。
1.  原則として周辺部に幅おおむね50メートル以上の残置森林又は造成森林を配置する。
2. 建物敷の面積は事業区域の面積のおおむね20パーセント以下とし,事業区域内に複数の宿泊施設を設置する場合は極力分散させるものとする。
3. レジャー施設に係る事業等の1箇所当たりの面積はおおむね5ヘクタール以下とし、事業区域内にこれを複数設置する場合は、その間に幅おおむね50メートル以上の残置森林又は造成森林を配置する。
工場、事業場の設置 森林率はおおむね35パーセント以上とする。
1. 事業区域内の事業等に係る森林の面積が20ヘクタール以上の場合は、原則として周辺部に幅おおむね50メートル以上の残置森林又は造成森林を配置する。こ以外の場合にあっても極力周辺部に森林を配置する。
2. 事業等に係る1箇所当たりの面積はおおむね20ヘクタール以下とし、事業区域内にこれを複数造成する場合は、その間に幅おおむね50メートル以上の残置森林又は造成森林を配置する。
住宅団地の造成 森林率(緑地を含む。)はおおむね30パーセント以上とする。
1. 事業区域内の事業等に係る森林の面積が20ヘクタール以上の場合は、原則として周辺部に幅おおむね50メートル以上の残置森林又は造成森林・緑地を配置する。これ以外の場合にあっても極力周辺部に森林・緑地を配置する。
2. 事業等に係る1箇所当たりの面積はおおむね20ヘクタール以下とし、事業区域内にこれを複数造成する場合は、その間に幅おおむね50メートル以上の残置森林又は造成森林・緑地を配置する。
土石等の採掘  
1. 原則として周辺部に幅おおむね50メートル以上の残置森林又は造成森林を配置する。
2. 採掘跡地は必要に応じ埋め戻しを行い、緑化及び植栽する。また、法面は可能な限り緑化し小段平坦部には必要に応じ客土等を行い植栽する。

(注)「残置森林率」、「森林率」及び「ゲレンデ等」については、表4に同じ。

(2)造成森林については、必要に応じ植物の生育に適するよう表土の復元、客土等の措置を講じ、地域の自然条件に適する原則として樹高1メートル以上の高木性樹木を、表6を標準として均等に分布するよう植栽する。なお、修景効果を併せ期待する造成森林にあっては、できるだけ大きな樹木を植栽するよう努めるものとする。

表 6
樹高 植栽本数(1ヘクタール当たり)
1メートル 2,000本
2メートル 1,500本
3メートル 1,000本

13  第1の4の(2)の「周辺の植生の保全等」には、貴重な動植物の保護を含むものとする。また、「必要に応じた造成」とは、必要に応じて複層林を造成する等安定した群落を造成することを含むものとする。

14  第1の4の(3)の運用に当たっては、特に土砂の採取、道路の開設等の開発行為について景観の維持上問題を生じないよう開発行為の対象地(土捨場を含む。)の選定、法面の縮小又は緑化、森林の残置又は造成、木竹の植栽等の措置につき慎重に審査するものとする。

PDF形式のファイルをご覧いただく場合には、Adobe Readerが必要です。
Adobe Readerをお持ちでない方は、バナーのリンク先からダウンロードしてください。

Get Adobe Reader