このページの本文へ移動

農林水産省

メニュー

酪農及び肉用牛生産の振興に関する法律施行令第5条第2項の農林水産大臣の指定する者を定める件等の運用について(平成26年11月4日)

26生畜第1211号
平成26年11月4日

各都道府県知事殿

農林水産省生産局長

酪農及び肉用牛生産の振興に関する法律(昭和29年法律第182号。以下「法」という。)では、酪農適地に生乳の濃密生産団地を形成し、集乳及び乳業の合理化その他酪農の振興を図るため、農林水産大臣が都道府県知事の申請等に基づき指定した集約酪農地域又はその周辺の地域(以下「集約酪農地域等」という。)の区域内において、集乳施設又は乳業施設で酪農及び肉用牛生産の振興に関する法律施行令(昭和29年政令第233号。以下「施行令」という。)で定めるもの(以下「酪農事業施設」という。)につき設置又は酪農及び肉用牛生産の振興に関する法律施行規則(昭和29年農林省令第51号。以下「施行規則」という。)で定める変更をしようとする者は、都道府県知事の承認又は都道府県知事への届出(以下「承認等」という。)を要することとされている(法第10条第1項、第12条第1項及び第13条第1項)。
他方、近年、意欲ある酪農家や乳業者による6次産業化や輸出の取組が増加していることから、集乳及び乳業の合理化その他酪農の振興に支障を生じない範囲において、6次産業化や輸出のための乳業施設の設置又は変更に係る承認等の手続を不要とし、これらに取り組みやすい環境を整備するため、今般、平成26年11月4日農林水産省告示第1539号(酪農及び肉用牛生産の振興に関する
法律施行令第5条第2項の農林水産大臣の指定する者を定める件。以下「指定告示」という。)及び酪農及び肉用牛生産の振興に関する法律施行規則の一部を改正する省令(平成26年農林水産省令第56号。以下「改正省令」という。)を本日付けで公布及び施行したところである。
これに伴い、指定告示及び改正省令の運用上の留意事項を下記のとおり定めたので、御了知の上、貴管下関係者に広く周知いただくとともに、指定告示及び改正省令による規制緩和の趣旨を十分御理解いただき、適正かつ円滑な運用につき御配慮をお願いする。

第1 指定告示及び改正省令の概要

1 指定告示の概要
⑴ 指定告示は、酪農家や乳業者が6次産業化や輸出に取り組みやすい環境を整備するため、集約酪農地域等の区域内における集乳及び乳業の合理化その他酪農の振興を図る上で支障を生ずるおそれがないと考えられる次に掲げる者を、施行令第5条第2項の「農林水産大臣の指定する者」として定めるものである。
1. 酪農家等であって、乳業施設(生乳の処理加工能力3,000リットル/日以下)を設置し、当該施設の年間生乳使用量の5割以上を、自ら(酪農家以外の者にあっては、自らと安定的な取引関係にある酪農家)が生産した生乳(以下「自己生産生乳等」という。)から調達して、6次産業化に取り組む者(指定告示第1号)
2. 乳業者等であって、乳業施設を設置し、当該施設の年間生乳使用量の5割以上を、輸出向け製品の原料(以下「輸出用原料乳」という。)に使用して(輸出向け以外での生乳使用量3,000リットル/日以下)、輸出に取り組む者(指定告示第2号)⑵ これにより、指定告示の要件を満たすとして新たに設置する乳業施設は酪農事業施設に該当しなくなり、当該乳業施設の設置又は変更につき法第10条等に基づく承認等が不要になるとともに、当該乳業施設につき法第14条に基づく事業の開始等の届出も不要になる。

2 改正省令の概要
⑴ 改正省令は、酪農家や乳業者が6次産業化や輸出に取り組む場合を含め、国内外の需要動向に応じた迅速な設備更新等を行いやすい環境を整備するため、既存の乳業施設等につき、集約酪農地域等の区域内における集乳及び乳業の合理化その他酪農の振興を図る上で支障を生ずるおそれがないと考えられる次に掲げる変更を、法第12条第1項の「農林水産省令で定める変更」から除外するものである。
1. 既存の酪農事業施設を酪農事業施設以外の集乳施設又は乳業施設にする変更
2. その他集乳及び乳業の合理化その他酪農の振興を図る上で支障を生ずるおそれがないものとして都道府県知事が定める変更
⑵ これにより、既存の乳業施設につき設備更新等を行い指定告示の要件を満たす乳業施設に変更する場合等について、法第12条第1項に基づく承認等が不要になる。

第2 指定告示の運用上の留意事項


1 指定告示第1号の要件の該当性の判断
乳業施設の設置者が指定告示第1号に掲げる者に該当するかどうかの判断は、次の考え方に基づいて行うものとする。
⑴ 施設の設置時にあっては、その時点において、次に掲げる要件を全て満たしていることを要する。
ア当該施設の生乳の処理加工能力が3,000リットル/日以下であり、かつ、そのことが施設設計図等によって裏付けられていること
イ当該施設において一年間(一会計年度等)に使用される生乳の5割以上が自己生産生乳等であることが見込まれ、かつ、そのことが生乳の生産計画、指定告示第1号のイからニまでに規定する計画、生乳の取引契約等によって裏付けられていること
⑵ 施設の設置後にあっては、毎年(毎会計年度等)において、次に掲げる要件を全て満たしていることを要する。
ア当該乳業施設について⑴の要件を満たしていること
イ前年の生乳処理実績として、当該乳業施設において実際に使用された
生乳の5割以上が自己生産生乳等であったこと
⑶ なお、複数の酪農家が共同で乳業施設を設置する場合にあっては当該複数の酪農家が生産した生乳を、団体が乳業施設を設置する場合にあってはその構成員又は出資者が生産した生乳を、それぞれ自己生産生乳等として扱うこととする。

2 指定告示第2号の要件の該当性の判断
乳業施設の設置者が指定告示第2号に掲げる者に該当するかどうかの判断は、次の考え方に基づいて行うものとする。
⑴ 施設の設置時にあっては、その時点において、次に掲げる要件を満たしていることを要する。
当該施設において一年間(一会計年度等)に使用される生乳の5割以上が輸出用原料乳であり、それ以外での生乳使用量が平均3,000リットル/日以下であることが見込まれ、かつ、それらのことが製品の販売契約等によって裏付けられていること⑵ 施設の設置後にあっては、毎年(毎会計年度等)において、次に掲げる要件を全て満たしていることを要する。
ア当該乳業施設について⑴の要件を満たしていること
イ前年の生乳処理実績として、当該乳業施設において実際に使用された生乳の5割以上が輸出用原料乳であったこと
ウ前年の生乳処理実績として、当該乳業施設において実際に使用された生乳のうち、輸出用原料乳以外の生乳使用量が平均3,000リットル/日以下であったこと

3 指定告示の要件を満たす乳業施設を設置した後に当該要件を満たさなくなった場合の取扱い
⑴ 指定告示の要件を満たすものとして設置された乳業施設について、設置後に当該要件を満たさなくなった場合には、当該要件を満たさなくなった年から、当該乳業施設を酪農事業施設として扱う。この場合において、当該事業者は、法第14条の「酪農事業施設につきその事業を開始する者」に該当するものとして、遅滞なく同条の「事業開始の届出書」を提出する。
その際、都道府県の担当部局は、当該事業者が翌年に再び告示要件を満たすことができるよう、事業計画の見直し等について適切な助言及び指導を実施するものとする。
⑵ 翌年以降に再び1の⑵又は2の⑵の要件を満たすこととなった場合に
は、当該要件を満たすこととなった年から、当該乳業施設は酪農事業施設に該当しないものとして扱う。この場合において、当該事業者は、法第14条の「酪農事業施設につきその事業を廃止する者」に該当するものとして、遅滞なく同条の「事業廃止の届出書」を提出する。
⑶ また、1の⑵のイ又は2の⑵のイ若しくはウの要件を満たすことができなかった場合であっても、そのことについて自然災害による生産量の減少や輸出先国における検疫の条件の変更その他のやむを得ない事情があるときは、1の⑵のア又は2の⑵のアの要件のみを満たすことをもって、指定告示の要件を満たしているものとして扱う。
⑷ なお、指定告示の要件を満たすものとして設置された乳業施設について、6次産業化のための小規模な乳業施設を処理加工能力3,000リットル/日超に改造するなど、設備更新等を行うことにより指定告示の要件を満たさなくする場合は、承認等の趣旨に鑑み、当該変更をしようとする事業者は、法第10条第1項又は第13条第1項の「酪農事業施設を新たに設置しようとする者」に該当するものとして、これらの項の承認等を要する。

4 既存の乳業施設が指定告示の要件を既に満たしている場合等の取扱い
既存の乳業施設が指定告示の要件を既に満たしている場合は、当該施設が酪農事業施設として既に承認等を受けていることに鑑み、引き続き酪農事業施設として扱うこととし、法第14条に基づく事業廃止の届出は不要とする。
ただし、当該施設について、設備更新等を行うことにより告示要件を満たさなくする場合は、承認等の趣旨に鑑み、当該変更をしようとする事業者は、法第12条第1項又は法第13条第1項の「農林水産省令で定める変更をしようとする者」に該当するものとし、これらの項の承認等を要する。

第3 改正省令の運用上の留意事項


1 都道府県知事が定める変更
施行規則第9条の「集乳及び乳業の合理化その他酪農の振興を図る上で支障を生ずるおそれがないものとして都道府県知事が定める変更」の例としては、例えば、「生乳の貯留容量又は処理加工能力を一定量以上変化させない設備の更新等(複数の変更を一体として見たときに、これらを一定量以上変化させない場合を含む。)」などが考えられるが、具体的な内容については、
各地域の実情を踏まえ、その地域の集乳及び乳業の合理化その他酪農の振興を図る上で支障を生ずるおそれがないか否かという観点から、必要に応じて適切に定めるものとする。

第4 適正かつ円滑な運用体制の整備


1 関係者への周知等
都道府県の担当部局は、指定告示及び改正省令並びに本通知の内容について、関係者に広く周知を図るとともに、事業者からの問い合わせや相談に適切に対応できる体制を整えるよう努めるものとする。

2 関係部局との連携
都道府県の担当部局は、指定告示及び改正省令によって承認等が不要になる乳業施設の状況を把握し、その適切な指導及び監督を行うため、酪農事業施設に係る他の許認可等の事務を所掌する部局等と相互に緊密な連携を図り、当該事務の遂行上取得される情報を、指定告示及び改正省令の運用に当たって活用できる体制を整えるよう努めるものとする。

3 報告及び検査
指定告示及び改正省令によって承認等が不要になる乳業施設に対しても、法第25条の規定は適用されることから、都道府県の担当部局は、法を施行するため必要があるときは、当該乳業施設において事業を行う者からその業務に関し必要な報告を求め、又は業務の状況等を検査することができる。

お問合せ先

生産局牛乳乳製品課

担当:乳業班
代表:03-3502-8111(内線0000)
ダイヤルイン:03-6744-2128