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農林水産省

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第3回ロシア極東等農林水産業プラットフォーム会合の概要

議事概要(PDF : 217KB)

日時:平成29年8月9日(水曜日) 14時00分~15時30分

場所:TKP赤坂駅カンファレンスセンター

1.冒頭挨拶

(松島農林水産審議官) 本日は御多忙のところ、多くの方にお集まりいただき、感謝申し上げる。このロシア極東等農林水産業プラットフォームは前回6月に続き、今回が3回目となる。
来月上旬にはウラジオストクで東方経済フォーラムが開催される。こうした政府間の大きなイベントを節目として、民間のビジネスを支援、発展させることをお手伝いしていきたいと考えている。
また、本日は先月派遣したロシア極東への官民ミッションの報告をさせていただくとともに、農林水産省の予算により現在実施している、ロシア極東への投資に関わる現況調査、事業化可能性調査についても、その中間報告も合わせて行いたい。こうした試みについて、本日参加の皆様方からご意見、ご質問もいただければ幸いに思う。
ロシアとのビジネスには課題も多い。民間の知見で克服できるものもあれば、政府間で解決すべき課題も多いと理解している。本会合が皆様方のビジネス展開に少しでも役立つことを期待している。

2.東方経済フォーラムに向けた対応(資料1)

(安原 海外投資・協力グループ国際交渉官)9月6、7日にウラジオストクにて開催される東方経済フォーラムは今年で3回目となる。本フォーラムはロシア極東地域の発展のため、アジア太平洋地域諸国との国際経済交流の促進を目指している。安倍総理は昨年に続き今年も参加表明している。
プログラムは今後同フォーラムHPに順次掲載されるが、重要なものとしては日露二国間の対話として、日露ビジネス・ラウンドテーブルという両国官民トップクラスが参加して議論する場が予定されている。
本フォーラムに際してロシア企業と覚書等の書面の締結を予定されている場合は、前もって情報提供いただきたい。前回までの日露首脳会談の際は、日露間で成果文書リストを作成、共有したが、今回も同様の扱いということになれば、情報提供いただいた案件はリストに掲載されるよう、私どもとしては働きかけて参りたい。

3.第1回国内セミナーの結果概要(資料2)

(山田 野村総研グローバル事業企画室上席コンサルタント)6月30日に東京、7月3日に札幌において、「ロシア極東における水産・コールドチェーン関連事業の機会と課題」と題して第1回セミナーを開催。株式会社前川製作所、三興メイビス株式会社、株式会社JSNの3社による講演とパネルディスカッションを行った。
課題として報告されたことは、(1)日本から水産関連設備等を導入する際に、ロシア固有のGOST基準認証が求められ、苦労している。今後は国際認証の導入をお願いしたい。(2)現地に設備運用の技術者が少なく、設備納入後のフォローのために、人材育成の仕組みや組織が必要。(3)JBICなどの日本からの政策金融制度の支援をお願いしたい。(4)中小のロシア漁業企業は購入主体である日本企業との間で契約金額の一部を前渡しで受け取り船舶修理や漁具購入、猟師を確保し操業する「前渡金契約」を締結する場合が多いが契約通りの量や期日に魚が引き渡されない等のトラブルが発生しており改善が求められる等の報告がなされた。

4.官民ミッション派遣の結果概要(資料2)

(山田 野村総研グローバル事業企画室上席コンサルタント)
水産(加工・養殖他)と物流(コールドチェーン導入等)の関連分野について、7月24日から28日まで、沿海地方とカムチャツカ州において行政機関、現地企業を訪問、意見交換を行った。
ウラジオストクでは行政機関として極東発展省極東発公社を訪問後、魚市場建設予定地、大型冷蔵倉庫が建設されるウラジオストク漁業港、水産養殖場を視察。翌日は極東海洋研究所を訪問し、現地の水産政策担当者、民間企業関係者との円卓会議を実施。
カムチャツカでは同州政府を訪問、州政府、カムチャツカTOR(先行発展地域)担当者と円卓会議を行った。翌日はカムチャツカ州開発公社を訪問後、港湾ターミナルエリア、現地養殖事業者を視察、意見交換を実施。
現地政府と意見交換をし、企業現場の実態を視察して、現地のニーズや期待を肌で感じることができた。

5.現況調査の中間報告(資料2)

(山田 野村総研グローバル事業企画室上席コンサルタント)
農水省委託の「ロシア極東地域等における生産・流通・投資環境等の現況調査」では「水産生産・加工の高度化」、「大豆・豚肉の加工」、「物流の高度化」の3分野を重点として調査および案件発掘・組成支援を行っている。
「水産生産・加工の高度化」分野は沿海地方(ウラジオストク)とカムチャツカ州(ペトロパブロフスク・カムチャツキー)を、「大豆・豚肉の加工」分野は中国に隣接する沿海地方(ミハイロフスキー)とアムール州(プリアムールスカヤ、ベルゴルスク)を調査重点地域としている。
「水産生産・加工の高度化」分野では浅海域漁業、養殖事業と、加工ではドレスよりもフィレ、すり身、缶詰等の付加価値化に注目。
「大豆・豚肉の加工」では、中国への輸出事業拡大と医療・健康食品(大豆:イソフラボン・サポニン・レシチンを活用した健康食品・美容品、豚肉:ヘパリンを活用した血液凝固剤)に注目。
物流では地域を問わず、水産物・農産物の市場拡大に不可欠なコールドチェーンの導入・整備・高度化が必須。コールドチェーンの導入・整備・高度化により、極東から大消費地モスクワ、サンクトペテルズブルグに向けての魚の輸送拡大、トルコ・CIS諸国から極東地域に向けての果実・農産物の輸送拡大が期待される。
ロシア極東では従来、人件費の相対的な高値感により中国を始めとするアジア地域への農・水産加工品の輸出拡大の障壁となっていたが、近年のルーブル安により解消しつつある。
また今後、隣国中国の一人当たりGDPの上昇による豚肉・大豆をはじめとする農産物の消費拡大が輸入を後押ししており、ロシア極東の農産物の輸出ビジネスの拡大が期待される。

6.事業化可能性調査の中間報告(資料3)

(加賀屋 道銀地域総研地域戦略研究部事業部長)日露協力プランの具体化に向けて、現在計画中の民間企業の案件形成状況を勘案しつつ、広く民間企業が裨益可能な個別支援案件を特定し、その案件実現に向けて事業化可能性調査を行っている。
農業分野では2テーマがあるが、「土地利用型農業生産や灌漑排水システム等の農業インフラに対する日本企業の投資に関する課題と将来性」に関しては、ハンカ湖周辺地域、ロシア沿海地方での灌漑、排水システムなどの基盤整備状況、水稲栽培の現状について、サハリン州では露地園芸作物の栽培、日本製機械の導入可能性等について、各々調査を実施した。
ハンカ湖周辺地域では農業法人2社を訪問。水稲栽培方法は乾田直播、平均収量は4t/ha、日本は6t/haで1.5倍。精米加工してロシア国内の卸業者に販売するほか、中国へも輸出している。農業機械はロシア、ベラルーシ、中国製の大型機械を導入、精米や選別機は中国製を使用している。日本製は油圧ショベルのみで、価格の高い日本製機械はロシアの補助が受けられないとのことだった。また、灌漑施設についてはハンカ湖からポンプアップして水路より灌漑しているが、ポンプ設備機器や水路は国営会社が維持管理し、使用者は国営会社に使用料を払っている。
サハリン州では、国営企業チプリチニー社を訪問。タマネギは1haほどの面積で、葉物野菜の移植機を流用しながら栽培している。収量は3t/10aで、日本の約半分。今回の調査では、北海道のタマネギ生産者である「つちから農場」と共に、機械導入を含めた栽培技術の検討を目的に訪問、意見交換を行った。調査先のチプリチニー社は、効率的かつ安定的なタマネギの生産に向けて、日本製の移植機に関心を持っている。9月の東方経済フォーラムに向けて、つちから農場、北海道総合商事、チプリチニー社の3社の包括的なMOUを結ぶべく現在協議を進めている。
「園芸作物生産における日本技術の適用可能性及び現地実証調査」に関しては、対象地域はロシア全域となるが、モスクワとボロネジ州、サハ共和国で、通年型温室における果菜類や葉物野菜の新規品種の栽培可能性、技術・設備導入に係る融資、民間資金の状況について調査を実施している。
サハ共和国ではすでに昨年度から北海道総合商事が通年型温室でトマト栽培の実証実験を行っているが、今年は温室の拡張工事に合意し、トマト以外の新規品種としてキュウリの試験栽培を行う予定。本調査ではこのような通年型温室施設のロシア国内他地域での展開を踏まえた、ロシア国内での融資、民間資金の投資等に関するファイナンス・スキームについて、モスクワのロシア農業省、ロシア直接投資基金、ロシア極東発展基金でヒアリングを行った。ロシア直接投資基金では、9月に設立される日露共同ファンドの活用による日露共同プロジェクトの展開可能性について、またロシア極東発展基金では2ステップローンも含めたファイナンス・スキームの検討について示唆があった。

7.ロシア極東における研究の推進(資料4)

(米本 農水省技術会議事務局国際研究官室国際研究専門官)先端技術は日露協力プラン8項目の1つであり、二国間ハイレベルでの合意事項や行政ニーズに基づいた国際共同研究の支援事業について紹介する。(1)技術開発分野の共同研究と(2)広域調査分野の共同研究は、鳥インフルエンザ2課題、農産物保存技術1課題、ロシア極東の林業、ロシア極東の農業開発ということで各々1課題、委託予定先が決定した。(3)ロシア極東森林劣化共同研究は、衛星データの写真等を使ってロシア極東地域の森林資源量の調査を行う。この委託先は国立研究開発法人森林研究・整備機構と6つの大学からなる共同研究グループに決定した。
また、ロシア極東森林火災要因調査共同研究事業は、ロシア極東地域における森林火災要因に関する国際共同研究に係る調査・研究を支援し、森林火災予防マニュアルを策定し、合わせて地域住民が火災防止するためのワークショップ等を開催する。こちらは、インドネシアにある国際林業研究センター(CIFOR)に委託して国際共同研究が行われる。
民間企業の皆様には直接関係のない事業であるが、これらの研究成果がロシア極東に進出される皆様にとって将来間接的に役立つ事業であろうということで説明させていただいた。

8.質疑応答

出席者から「中小の水産加工メーカーには新たな原魚仕入れルートを開拓したいとのニーズが多いが、ロシア極東へはどのようなアプローチが現実的なのか」との質問に対して、野村総研から「自らのネットワークを持たない中小が単独で開拓するのは無理があるので、このプラットフォームを活用されるのがいいと思う」旨回答があった。また、「ロシア政府によるトロール漁の禁止は、自国船に対してはまだ適用されていないのか」との質問に対して、「流し網の使用は環境面への配慮から国内船も外国船も同様に禁止されるとは聞いているが、詳しいことは水産庁担当者に確認して連絡したい」旨回答した。また、「ハンカ湖周辺の水田経営には中国資本が関与しているのか」との問いに対して、道銀総研から「ロシアの農業法人には中国資本は入っていないと思うが、次回以降の調査の際に確認したい」旨回答した。さらに、「ロシアで生産された米の中国への輸出は、検疫の問題も含めて簡単にできるのか」との問いに対して、「米に限らず食料品も盛んにやりとりされているので、ハードルは大きくないような気がする」との回答があった。

9.閉会

(佐藤 国際部海外投資・協力グループ長)最後に、本日は在日ロシア通商代表部経済部長カライワノフ様にお越しいただいているので、ひと言ご挨拶いただきたい。

(カライワノフ在日ロシア通商代表部経済部長)本日の興味深いプレゼンテーションに感謝する。2016年と2017年の露日首脳会談においてプーチン大統領と安倍首相は二国間のさまざまなプロジェクトについて議論したが、在日ロシア通商代表部はそれらのプロジェクトを実施するための努力を行っている。その際、このロシア極東等農林水産業プラットフォームは重要な機能を持っており、ぜひ皆様はロシアへの輸出入と投資について検討いただき、露日の関係協力に貢献されることをお願いしたい。

                                                                                                                                                                                            (以上)

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