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農林水産省

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第5回ロシア極東等農林水産業プラットフォーム会合の概要

議事概要(PDF : 277KB)
日時:平成30年3月8日(木曜日)16:30-18:00
場所:TKP赤坂駅カンファレンスセンター

1. 開会挨拶
(農林水産省 柱本大臣官房参事官)
お忙しいところ、参加してくださった皆様に感謝申し上げる。グロムイコ次官の訪日が急遽中止となり、直前にスケジュールが変更となった。次官には極東の物流ハブについてお話頂く予定だったが、別に説明の機会を提供したいと考えている。
本プラットフォーム会合を継続的に開催し、日露間のビジネスに役立つ情報を提供していきたい。
2018
年は日本におけるロシア年、ロシアにおける日本年である。ロシアで毎年秋に行われる「黄金の秋」では、今年、日本がパートナー国として参加する。関心のある企業は積極的にご参加いただきたい。

2. 議事
(1)今年度プラットフォームの調査報告
  (ア)ロシア国内における農林水産分野の事業化可能性及び行政手続き、ファイナンススキームの留意点
 ((株)道銀地域総合研究所地域戦略研究部 内山技術顧問)

【土地利用型農業生産や灌漑排水システム等の農業インフラに対する日本企業の投資に関する課題と将来性の事業化可能性調査(サハリン州)

((株)道銀地域総合研究所地域戦略研究部 内山技術顧問、同加賀屋事業部長、(株)ミナト国際コンサルティング 上村代表取締役)
サハリン州におけるタマネギ生産の技術支援を通じた事業化可能性調査の経過報告と今後の方向性を説明する。サハリン州は厳しい気象条件のため、穀物や豆類の栽培が困難である。このため野菜の栽培が中心だがその7割は馬鈴薯である。多くの作物を国外、州外からの輸入に頼っている。同州政府は食料自給率の向上を目指している。
2017年から、チプリチニ社に対し、北海道のつちから農場がタマネギ生産の技術支援を行った。日本と比べるとサハリンのタマネギの収量は少ないが、栽培方法や栽培時期の見直しを行うことで、収量増加が見込めるようになった。販売価格は馬鈴薯の3倍であるため、積極的な栽培地域の拡大を提案している。
小規模農家へは日本の本州で使用されている小型移植機械の導入を提案していく。サハリン州では、移植栽培の技術の蓄積が少ないため、サハリン版の栽培マニュアルを作り、適した機械・資材を提供していくことが必要。

【木材加工品の生産施設の建設、日本向け輸出及び日本国内での供給の可能性】
(同加賀屋事業部長)
ロシアでの木質ペレットの生産施設建設、日本向け輸出及び日本国内での供給の可能性について検討した。ロシアは国内の森林規模と比較すると木質ペレットの市場は小さいものの、輸出量は増加している。主な輸出先はEUで、特にデンマークへの輸出が全体の40%を占める。日本に輸出する場合は輸送面の課題があると指摘されている。
日本ではバイオマスエネルギー市場が急激に伸びている。木質ペレットは化石燃料の代替燃料とすることで二酸化炭素排出量削減に繋げることができるため、日本においても有効なバイオマス燃料となると期待される。ロシア側にとっては、これまで廃棄していたおが屑を木質ペレットの材料として活用することが可能となり、付加価値を生み出すことができるというメリットがある。
将来的には安定的な木質ペレット供給網構築のための日露合弁会社の設立が有効である。火力発電所で使用する木質ペレット(ブラックペレット)の製造可能性も検討する。極東ロシア最大の林業事業者RFPグループへのヒアリングに拠れば、ロシアから日本への輸送経路では、輸送費や不凍結港であるという観点からウラジオストク/
ナホトカ港からの出荷が最適と考えられる。

【水産加工における日本企業の投資に関する課題と将来性に関する調査】
(同加賀屋事業部長)
ロシアでは水揚げ量、水産業の生産額は年々増加傾向にあるが、加工品の品質維持が課題である。現在はウラジオストクから中国、韓国へ輸送してから加工が行われていることも多く、今後は現地生産をしていきたいという要望が聞かれた。
加工機械は圧倒的に中国製が多いものの、ヘッドカッターなど一部、日本製の加工機械が導入されている。短時間での加工の実現、人件費の抑制、品質の安定化などの点で日本製機械は評価されていた。

【ロシア国内における建設許可等の行政手続の整理】

((株)ミナト国際コンサルティング 上村代表取締役)上村氏)
ロシアで合弁事業を行う場合に、日本企業の留意事項について説明する。
合弁と独資を比較すると、合弁での進出のメリットは事業化までのスピード、投資リスクの分散が挙げられる。一方で、デメリットは意思決定が複雑になることなどが挙げられる。
合弁でロシアに進出する際の会社形態は、有限責任会社が主流である。出資方法は日本側が金銭出資で、合弁相手先が土地や設備を提供する場合が多い。
生産拠点建設にあたっての留意点としては、グリーンフィールド(真っ新な状態から)もしくはブラウンフィールド(合弁パートナーの敷地、設備を利用する)が検討対象となる。ブランフィールドのメリットは、早期の事業立ち上げが可能であり、投資コストが少ない点。一方で、追加コストの発生により、新たに建設した方がコストが抑えられたということも起こり得る。また、冬期は建屋の外壁工事が寒さから中止されることには注意が必要。
許認可を真面目に取得しようとすると非常に時間がかかるため、行政のバックアップ等を得ることが非常に重要である。

【投資・事業化案件について、投資環境制度及びファイナンスの観点から事業化可能性に向けた整理、課題の検討】
((株)ミナト国際コンサルティング 上村代表取締役)
ロシアにおける投資優遇制度は、先進特区(TOR)、自由港、優先投資プロジェクト、特別投資契約の4つに大別できる。木質ペレットや農業生産等の場合は先進特区(TOR)、自由港が適しており、メリットも大きい。優先投資プロジェクト、特別投資契約は輸入代替化が目的とされているため、投資規模が大きい。
ロシアは世界銀行発表のDoing Businessの総合順位では全190ヵ国中35位と高い。

 (イ)ロシア極東からの乾牧草(チモシー)の輸入の可能性と課題
(株)JSN 河尾編集長)
チモシーは酪農及び肉牛粗飼料の中心的な牧草で、栄養価が高く、高価格である。青々とした牧草が評価が高い。近年、韓国や中近東での需要の高まりから、価格は上昇傾向にあり、サプライヤの新規開拓による価格抑制が重要である。そこでロシアからの輸入を検討した。
ロシアにはチモシーに関する貿易統計はなく、生産量・流通量は不明である。しかし、商流が確立されれば、事業として成立させることが可能であろうと考える。現地調査として、沿海地方のカレノフカ村を視察した。300haの農場で栽培しており、目視ではチモシーの品質は比較的良好であった。現在、日本へ持ち帰ったサンプルで栄養価の分析を行っている。
ロシアは口蹄疫非清浄国であるため、乾牧草の日本への輸出にルールが定められており、加熱処理等が必要となっている。乾燥状態から加熱すると栄養価が低下するが、欧米の専門家から青刈りの状態から加熱処理をすれば栄養価が下がらない可能性があるとアドバイスを受けた。今後、新しい加熱処理方法の可能性について検討していく。

(2)シベリア鉄道の利用促進について
(国土交通省総合政策局 町田国際物流課長)
ロシア政府はシベリア鉄道の利用促進を目指している。そのために最近は、輸送時間短縮、輸送力増強など改善が図られている。
食料品輸送における課題としては、ロシアの輸送規定では個別品目について鉄道輸送時間の制限が決められており、その制限を超えると鉄道で輸送が出来ない点である。また、冷蔵・冷凍の必要がない缶ジュースのような品目も、リーファーコンテナによる輸送が義務付けられている。政府間交渉を通じ、ロシア側は部分的に緩和の姿勢も見せている。また、直接相談すれば個別対応が可能とのことである。
ロシア鉄道は、子会社のロシア鉄道ロジスティクス内に日本の荷主・フォワーダー向けの総合相談窓口(One-stop help desk)を設置したとのこと。日本語で問い合わせメールが可能であるため、ご活用いただきたい。
国土交通省はシベリア鉄道の利用促進に向けてテスト輸送を実施した。カップ麺をドライコンテナで輸送したが、最終通関で時間を要した以外に特段の問題はなかった。
2018
年度は荷主企業向けのシベリア鉄道を利用したパイロット輸送事業を実施する計画である。国土交通省が輸送費を負担するので、興味がある企業はご連絡いただきたい。調査結果は公開が前提である点はご留意いただきたい。

(3)平成30年度事業について
(農林水産省 大臣官房 国際部 海外投資・協力グループ 佐藤参事官)
農林水産省は本プラットフォームを中心として、ロシア極東地域への進出を検討する企業に対し、支援を引き続き実施していく。
秋にモスクワで開催されるロシア農業展示会「黄金の秋」に、日本はパートナー国として参加予定。
委託事業では、ロシア規制制度等詳細分析調査、物流ハブに関する調査等が予定されている。

(4)日本ロシア極東農業ビジネスフォーラム2018について

(農林水産省 大臣官房 国際部 海外投資・協力グループ 佐藤参事官)
千葉大学と沿海地方農業アカデミーによる日本ロシア極東農業ビジネスフォーラム2018は日程が変更になり、3月22日に開催予定。

 <ロシア・極東への投資誘致の促進に向けた説明会開催のご案内>
(外務省欧州局日露経済室 林首席事務官)
ロシアは極東地域への投資、極東地域からの輸出の促進に力を入れている。日本経済団体連合会主催で3月20日にセミナーを開催する。極東発展省傘下の極東投資誘致輸出促進エージェンシーのペトゥホフ総裁が来日し、優遇政策等について直接説明する。
さらに分科会を4分野、インフラ・運輸、農業、水産業、林業について実施する。個別の面談の機会も提供するため、関心のある企業は是非ご活用いただきたい。

(5)質疑応答
質問:タマネギ栽培を共同で行っているチプリチニ社は、トマト等を栽培していると聞いたが、こちらは水耕栽培か。
回答:トマトときゅうりをオランダ製のガラスハウスで通年、水耕栽培し、出荷している。

発言:ファイナンススキームの関係で、日露投資ファンド、JBIC、極東の投資促進会社等が作られているが、これらのスキームの細かい条件や例外もあるようなので、是非JBIC等に相談して、具体的なスキームを説明していただきたい。

発言:ロシアの投資環境に関して、世界銀行のDoing Business35位ということを指摘していたが、本インデックスではモスクワとサンクトペテルブルクのデータが利用されている。極東地域のビジネス環境がDoing businessの結果にあてはまるとは言えないだろう。さらにDoing Businessには経済の安定性、金融市場の成長性、汚職の問題等が調査項目に入っていないこともあり、極東の投資環境を見るには信頼性に欠ける。

質問:チモシーの輸出について、蹄疫が発生する地域であるロシア側と議論を重ねているようだが、日露両政府ではどういう議論が進められており、何が認められる見通しか教えてほしい。
回答:検疫当局間で協議をしているがデータの交換等、専門的な内容となる。本事案に関しては、いつまでに結果が出るなど具体的なことを申し上げる段階ではない。

質問:シベリア鉄道を利用して日本からモスクワへ輸送した場合、コンテナをウラジオストクで積替える必要があるのか。
回答:積替えはない。テスト輸送ではロシア大手輸送会社FESCOのコンテナを利用したが、横浜からモスクワまで積替えなしで輸送された。

質問:シベリア鉄道は鉄道輸送では世界一価格が高いと聞かれることもある。船便や航空便などと比較した場合、コスト面はどうか。
回答:輸送方法を検討する際にはコストとリードタイムの見合いがある。日本から海上輸送によりサンクトペテルブルク経由でモスクワまでは2ヵ月弱を要する一方、鉄道を利用すると20日程度で済む。コストは一定ではないが、鉄道輸送は海上輸送の約2倍強であると言われるが、海上輸送よりも安い場合もある。

(6)総括(東京農業大学 板垣教授)
今回の協議会は、全体で4時間という長丁場の協議会となった。投資家、企業家は独自に情報を持ち、プロジェクトを実施されている。そのようななか、協議会が果たす役割とは、企業、投資家だけでは得難い情報を広く提供することである。インド、ロシアともに水産資源、林産物、農地等の資源が豊富で、市場としての可能性は十分にあるが、具体的に投資となれば、コストと期待収益の問題になる。将来に対する期待収益は不確実性を含むが、その不確実性は、このような場で情報を入手し、意見を交換することで、将来への確信を持った投資プランの策定につながるものと考える。

3.閉会

 

以上


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