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農林水産省

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平成28年度第3回グローバル・フードバリューチェーン推進官民協議会議(平成29年2月23日開催)議事概要

議事概要(PDF : 202KB)

日時:平成29223日(木曜日)15時30分17時00分

場所:TKP赤坂駅カンファレンスセンター

議事概要

1 JICA PARTNER制度の紹介((独)国際協力機構(JICA)国際協力人材部人材養成課近藤貴之課長)

・JICAでは世界各地で様々な事業を行っており、農業も重要課題の一つとなっている。またこれまでの経験から、円滑な事業を支えるのは何よりも人である、ことを認識している。この観点からJICAは人材育成事業も行っているが、その一環として展開しているサイト「PARTNER」を紹介する。

・PARTNERの運営は今年で14年目に入り、約2万の個人登録、約1千の団体登録を頂いている。これまでの登録団体はNGO,NPO,地方自治体、大学が中心であったが、近年は企業の登録数が伸びている。

・PARTNERの利用について、個人登録者は登録団体からの求人・セミナー等情報の閲覧ができる他、キャリア形成に関する情報を得ることができる。また団体の場合、求人情報掲載の他、個人登録者のプロフィールを閲覧し、関心ある人材にアプローチすることも可能。

・開発途上国の課題は様々だが、日本の素晴らしい技術や製品をこれらの課題に活かせないだろうかというWIN-WINの関係を目指し、中小企業海外展開などの民間連携事業を進めているところ。例えば、中南米での事業展開に関心があるのでスペイン語のできる人材が欲しいという意向がある場合、このPARTNERがご活用いただける。PARTNERには青年海外協力隊経験者を含む、語学力や途上国経験の豊富な人材が多数登録している。

・このサイトの運営は「無料」かつ「情報紹介の場(プラットフォーム)」となっている。

2  今年度調査事業結果報告

(1)アセアン経済共同体における流通環境調査中間報告(株式会社大和総研 アジア事業開発本部 依田宏樹次長)

  アセアン共同体の域内での食品貿易が促進されている背景において、5カ国をつなぐ経済回廊(東西、南部、南北)の整備状況及び食品輸送での活用状況、流通関係の規制を、聞き取り及び視察等により調査した。

(ア)経済回廊の概観
  ハード面のインフラについては、東西、南部、南北回廊の3回廊とも、概ね整備されており、今後もより改善が進むであろう。
  
現状としては、日本企業による食品輸送には、これらの経済回廊は活用されていない。理由としては、1.荷物流れが、経済規模の大きな国から経済規模の小さな国への流入に偏っているため、帰りが空荷になることから運送コストが高くなり、それに見合う高付加価値化ができていないこと、2.国境での各種手続きに時間がかかり、コスト及び賞味期限の両面で不利となること、などが挙げられる。

(イ)南部回廊におけるベトナムーカンボジア間の国境、東西回廊におけるタイーミャンマー間の国境において、通関ポイントの視察結果概要
  荷物流れが、経済規模の大きな国から経済規模の小さな国への流入に偏っていることが、現場のトラックの通関待ちの列の有無により明らかであった。また、各回廊が結ぶ大都市間の必要輸送時間について、現在の主な物流手段である海運での輸送と比較すると、単純な移動時間では海運より有利であるにも関わらず、国境での手続きに時間がかかっており、また輸送コストが海運のものより高くなる現状などを確認した。

(ウ)経済回廊における国境手続きの概要
  国境の手続きには、税関の手続きに加え、窓口の異なる他省庁での手続きが必要であり、これが時間がかかる要因の一つとなっている。複数省庁の窓口一元化が導入されているのはタイ及びベトナムのみ。全ての国で手続きの電子化は導入されているが、完全なペーパーレス化は実現していない、各国で通関のシステムの互換性がない、など十分とはいえない。

(エ)日本企業による食品輸送での利用促進のためには
  ハード面のインフラは、改善しつつあるが、国境での手続きの合理化など、ソフト面でのインフラの改善が必要。

 (2)インドにおける進出戦略策定支援及び食品加工団地比較調査中間報告(インフォブリッジ マーケティング アンド プロモーションズ 石田悦子Research Director
(ア)日本企業の更なるインド進出のために、野菜、穀物、畜産、海産物について生産・加工の現況及び日本企業によるビジネスの可能性について検討した。
 
(a)現況
 
○野菜(インドの重要作物であるトマト、チリ(とうがらし)、マンゴー)
 
3作物共有して、収量が小さい上に年変動が激しく、品質が安定しないという現状が見られる。付加価値向上のための加工産業を発展させるには、生産面での技術指導、生産物の保管技術、加工後の販売ルートの確保が課題。
 
 
○穀物(米)
 
年間生産量は1億トンを超えるが、ほとんどが国内消費。収量が小さい上年変動が激しい。
 
インド政府が、米ぬかを利用して米油の製造を推進する、とのことであるが、進展速度は遅い。
 
 
○エビ(バナメイエビ)
 
生産量の7割は冷凍・冷蔵で輸出される。同じ池で養殖を繰り返し、連作障害が発生すること、零細な事業者が多く、技術向上の余裕がなく技術が未熟なことから、加工に値しない品質のものが生産されることが多い。日本企業にとっては、栽培および付加価値製品の加工製造にかかわる技術分野に、参入の余地があるだろう。
 
 
○乳・卵
 
インドでは肉を食べる人でも、日によっては菜食の日もあり、乳・卵は重要なタンパク源。都市近郊で需要量に応じた生産が行われている。酪農家にとっては、価格変動により農家の生産量が変動し、生産量が安定せず、経営も安定しないという現状がある。一方、ヨーグルト、アイスクリームなど嗜好性の高い製品の消費が30%/年のペースで拡大している。インド政府は、コールドチェーン整備のための投資を促進しており、日本企業にも参入可能性があるだろう。

 (b)日本企業の参入余地
  加工原料の生産量の安定化・品質向上、原料保管技術、幅の広い品質の原料に対応できる加工技術、また、特に消費が拡大している乳製品のためのコールドチェーン整備の部分に、日本企業の参入余地があるだろう。加工については、単なる食品加工だけでなく、農水産物を原料としたファインケミカル等の加工技術導入も視野に入れるべき。

(イ)インド連邦政府が進める「メガフードパーク」と州政府や民間資本が開発する「日本専用及び日系企業開発の工業団地」(以降「日本工業団地」)のメリットデメリットを比較した。

 (a)メガフードパーク 
  メガフードパークとは、インド連邦政府が推進する農水産および食品加工業振興プロジェクトの一環であり、民間および州政府の特別企業体により開発されている食品加工業集積エリアである。インド連邦政府はこの開発費用に補助金を出して開発を推進している。

 (b)日本工業団地
  州政府や民間資本が開発する工業団地のうち日本企業用区画を有するエリアで、JETROと州政府によるMOUに基づき州政府が開発するもの、日本企業が開発に携わるもの、インドの民間資本が開発を行ったものがある。

 (c)両者の比較(指標:「立地」「工場設置等々がワンストップで可能」「食品加工設備及び関連施設」「工場設置の条件」「オフィススペース・会議室などの設備」「日本人専用居住施設」「土地価格」)

  日本工業団地の方が、大都市近郊にあり便利な立地、日本語によるサービスが提供され、諸手続も窓口が一元化されていること、日本人専用居住関連施設があることなどにメリットがある。一方、メガフードパークは、原料調達ルートの確保、排水設備など食品加工に関するインフラが整備されていることがメリット。進出の際の目的等により、適切な場所を選定する必要がある。

(3)ブラジルの穀物輸送インフラ改善及びマトピバ地域農業開発に係る事業化可能性調査中間報告(中央開発株式会社 海外事業部 松尾有紀業務部長)

  日本が協力して行ったセラード農業開発で造成されたブラジルの大穀倉地帯で、農業生産が拡大しており、現存する南部の穀物積出港のキャパシティが飽和状態であることから、ブラジル政府は、北部の港から積出しを行うための穀物輸送ルートの整備のために、民間資本からの投資を求めている。合わせて、政権交代前のルセフ前大統領政権は、北部輸送ルートの一つであるアラグイア・トカンチンス回廊周辺のマトピバ地域の農業開発を重視していた。今回の調査は、ブラジルでの政権交代を受け、これらの政策にも変更があるかどうかを中心に調査を行った。

 (ア)政権交代による北部穀物輸送インフラ整備政策に関する変更点
  連邦政府及び各州政府とも、政策及び組織に大きな変更はなかったが、新政権が創設したインフラ整備へ民間投資を誘致するための政策である「投資パートナーシッププログラム」において、公的金融機関からの融資枠上限が引き下げられ、民間の負担割合が拡大している。
 
 (イ)マトピバ地域農業開発に関する変更点
  新政権下の農務省からの聞き取りよると、特にマトピバ地域など特定の地域を対象とした特別な政策はない、とのことであった。
 
 
(ウ)今後の展望
 
北部穀物輸送インフラ整備の進捗について確認ができたが、今後も順調に実施されるか注視が必要。また、マトピバ地域農業開発に関する方針変更については、少し時間をおいて、再度聞き取りを行いたい。

 3 活動報告(農林水産省)

  前回会合(平成281031日)以降の二国間政策対話の報告。ブラジルについては、穀物輸送インフラ改善についてのセミナーを、現地で当事者の参加を得て行った。ミャンマーでは、「ミャンマーにおけるフードバリューチェーン構築のための工程表」の策定作業が完了し、実施していくこととなった。インドネシアとは、官民による協力の中長期的な枠組を議論することとなった。オーストラリアについては、313日に北部豪州を中心とした農業開発に関する官民フォーラムを日本で開催するので、是非ご参加頂きたい。

4 閉会挨拶(グローバル・フードバリューチェーン推進官民協議会 鈴木喜博代表(ハウス食品グループ本社株式会社 国際事業開発部長)

  国際事業を推進していく上で、最近とみに社会的課題に対応することが重要なのではないか。社会的課題には、世界的な見地で言えば、環境、資源、貧困、高齢化などがあり、これまでのCSR(Corporate Social Responsibility)視点からCSV(Creating Shared Value)視点で取り組むことが、これからの経営にますます重要になってくると考えられる。国際事業でも、事業戦略の中心に据えるべきものではないか。
  当社は海外においてカレー事業を展開しているが、アフリカなど新興国での提供価値は、カレーはカロリーが高く、貧困、子供の成長等に貢献できる栄養満点の食事だといえる。このように、その国の社会的解決につながるものかもしれない。
 
「その国にお役に立つ」ことが、海外に進出していくにあたってますます重要になってくる。途上国、中進国、先進国それぞれ社会課題の状況が異なるが、オールジャパンで取り組むフードバリューチェーンの取組を通して、日本と進出国の相互成長につなげたい。





                                                                                                                                                         

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