このページの本文へ移動

農林水産省

メニュー

平成29年度第1回グローバル・フードバリューチェーン推進官民協議会議(平成29年6月23日開催)議事概要

議事概要(PDF : 253KB)

日時:平成29年6月23日(金曜日)14時30分-17時00分

場所:TKP赤坂駅カンファレンスセンター


議事概要:

1 開会挨拶 農林水産省 柱本修大臣官房参事官から挨拶があった。

2 官民協議会代表・副代表の交代について 今後、以下の体制で運営することとなった。
   代  表:東京農業大学 板垣啓四郎教授
   副代表:前川総合研究所 篠崎聡代表取締役社長
           日本通運株式会社 井口博実事業開発部長
           ハウス食品グループ本社株式会社 石川哲也国際事業本部国際事業開発部長

3 GFVCのポテンシャルをどう生かすか 資料1
   板垣啓四郎代表(東京農業大学教授)からプレゼンをいただいた。
  (概要)これまで、この協議会において、テーマを設けて企業の現場での取組と課題を共有する会合を重ねてきており、現場での取組を踏まえたオールジャパンでの取組の重要性を実感している。ただ、この辺りで一度、取組の全体を俯瞰したい。

【進出前】GFVCに沿ったビジネスチャンスの組み立てには、いくつかの項目をクロスさせて検討するべき。具体的には、与えられた条件(静的条件)として、地域特性、経済発展段階、諸資源、インフラ整備状況などがあり、また、ダイナミックな条件(動的条件)としては、その国の人材育成への投資状況、法・制度や組織の運営があり、さらに、過去からの海外投資の受入状況や国際協力の成果などが挙げられる。

【進出時、進出後】実際に海外へ進出する際には、相手国のマクロ経済状況、貿易・投資の規制、食のインフラ状況などを見極めていく必要があり、進出後もこれらの状況変化には継続的な対応が必要である。
  課題を発展段階別にみてみると、低所得国(アフリカやアジアの後発国)においては、食料の安定確保が最も重要であり、中所得国(開発途上国の大部分)においては、需要の変化に見合う食料供給、さらに高所得国においては、品質向上や安全性の確保が、それぞれ重要となってくる。また、先進国においては、食の快適性・利便性、企業のコンプライアンスなどが重要となってくる。
  経済発展の段階が上がり国民の所得水準が上昇するにつれて、フードバリューチェーン構築の重心が、農業生産から流通・消費へ移動して、付加価値の内容も高度化する。流通においては、物流が先行して発展し、市場システムなどのソフト面のインフラ整備は遅れがちになる。その上、制度の構築や組織の形成などはさらに遅れがちになり、ステークホルダー全体に利益が行きわたるには、相当な時間がかかる。経済特区においては、法・制度の整備が進んでおり、バリューチェーンの構築がスムーズにいくが、特区からの横展開はどうしても遅れがちになる。
  このような課題に対しては、分断された部門間の連携を強化することが必要。日本企業が関わりながら、生産や流通に関連する事業者間が連携し、高付加価値食品を創造し、国内外へ販路を拡大すること、まさにフードバリューチェーンの形成が必要である。

【フードバリューチェーンを形成するには】相手国のニーズを知ることが何より大切である。二国間対話においては、相手国側からどのような企業の参入が望ましいのかが重要であり、現地の政府や企業の声を聞くことが必要である。また、パートナー探しには、ジェトロを介在させたマッチングが必要である。しかしながら、ジェトロのみで対応するには限界がある。個々の企業が固有に調査した結果をもとに、ジェトロや相手国政府と相談していく必要があろう。
  さらに、消費者需要を創造していくことも必要である。何を「売り」にするかについては、あらかじめ自社の強みを認識しておくことが必要。また、ステークホルダー間のネットワークの形成により、相手国との連携、投資先国における日系企業同士の連携などが消費者需要を創造していくであろう。
  我が国のアグリ・ビジネス界が積極的に新しいグローバル需要を取り込んでいくことが重要であり、それが結果的に国益に繋がるものと考えられる。

4 食のインフラ輸出について 資料2
(1)農林水産省国際部 山田英也海外投資・協力グループ長/参事官から「食のインフラ輸出について」プレゼンを行った。
(概要)今回は、食産業の海外展開を「食のインフラ輸出」という切り口で議論したい。「食のインフラ」の厳密な定義はないが、諸施設や資材などのハードインフラだけではなく、それを動かすためのシステムや人材などのソフトインフラも含めて考えたい。
  食のインフラ輸出は、政府全体で取り組んでいる「インフラシステム輸出戦略」において、新たなフロンティア分野として位置付けられており、政府を挙げた取組の一環。
  改めて述べると、食のインフラ輸出には、生産、製造・加工、流通、消費に渡り一連のものとして、取り組むことが重要であり、フードバリューチェーンの構築と表裏一体。
  食のインフラ輸出の事例として、(ア)カンボジアで日本企業が連携し、農業生産から流通、小売りまでのフードバリューチェーンを構築していること、(イ)ソフトインフラ輸出の例として、カンボジアで日本のGAPを基にしたカンボジア版GAPを提案し、今後実証すること、(ウ)生産段階を中心としたパッケージ輸出の例として、ミャンマー及びカンボジアで、日系企業の農業機械導入を見据えたほ場整備事業を実施していること、などが挙げられる。その他にも、人材育成、制度・規格基準の輸出、中長期的な官民連携での取組計画づくりなどに取り組んでいる。
  データ面で食のインフラ輸出の状況把握を試みた。統計として入手可能な、食品機械、冷凍・冷蔵関連機器、農業機械の輸出額を合計した額は、5年連続で増加している。
  食のインフラ輸出に関する今後の展開方向として、日本の強みを発揮してくため、施設等のハードと維持管理ノウハウ等のソフトとを組み合わせ、川上から川下までの輸出を推進していくことが重要、また、政府系金融機関や官民ファンドを活用し、コールドチェーン等の川下のインフラ整備を行っていくこと、現地の人材を育成し持続可能なインフラ整備を推進していくこと、が重要と考える。

(2)農林水産省平成28年度補正予算事業「食のインフラ輸出に向けた招へい・専門家派遣事業」結果について報告があった。
   (ア)持続的なフードバリューチェーン構築に向けた「農業の旭川」プロモーション事業 資料3
 (株式会社長大 事業推進本部 事業企画部 澤田義麿主任)
 (概要)ベトナムのクアンニン省は、世界遺産ハロン湾を抱え、年間7百万人の旅行客が訪れるものの、観光客や現地消費者の食のニーズに応え切れていない。そこで、北海道旭川企業連合が有する製品・技術・サービスで、この課題解決に貢献しつつ、旭川企業のベトナム進出への足がかりを構築するために、旭川企業の設備・資材を現地に導入するとともに、ノウハウの移転をめざす。
  事前にクアンニン省を訪問し、その結果を踏まえて、農林水産省の事業を活用し、クアンニン省から農業開発局、農業協会、現地企業の各機関の意思決定者を日本に招へいし、旭川企業の視察を行った。その成果として、旭川企業の洗浄・選別機械の購入について商談が進むなど、企業間同士での連携が進んでいる。
  課題としては、参画する企業が中小企業中心であり、海外との商取引の経験が少なく、単独では様々なリスクに対応するリソースが不足していることが挙げられ、それに対応するために、旭川企業とクアンニン省企業が参加するコンソーシアムを形成している。また、クアンニン省において、生鮮市場の建設を含めた地域でのフードバリューチェーンの構築を旭川企業で構築していくこと、そのためにも、現地パートナーの発掘が必要と考える。

(質疑応答)
質問:今後、売れそうな製品やコンソーシアムへの新規参加の予定などはあるか。
回答:旭川市内企業に、灌漑・水資源に関する整備事業の実施について打診がきている。また、コンソーシアムに、大学や食品卸売り会社が新規参加予定。
質問:誰が、プロジェクトの投資案件に資金を提供するのか。
回答:資金提供するのは、現地の事業会社である。なお、市場の建設はクアニン省とベトナム政府が資金提供する。
質問:コンソーシアムのベトナム側の企業は、どのように見つけたのか。
回答:コンソーシアムには、クアンニン省の紹介で、現地の農業事業会社に入ってもらった。その会社は、数百件の農家を抱える農業事業会社である。

  (イ)ロシア連邦サハ共和国における質の高いインフラ普及促進事業 資料4
(北海道総合商事株式会社 天間幸生代表取締役)
(概要)ロシア連邦サハ共和国から「安心・安全な地産の野菜を通年で収穫したい」との要請に応えるため、通年型園芸ハウスの施設建設及び栽培指導をセットにしたテスト栽培(1,000m2)とともに、規模拡張(最終的に3.2haまで)を計画中。
永久凍土の上に、冬場は-64℃、夏場は+40℃にも達する100℃の気温差、12月には1か月あたり日照時間が9時間、という過酷な条件での施設建設を請け負ってくれる企業がなかなか見つからなかったが、ホッコウさんに頼み込んで、1,000m2の実証規模であればと請け負ってもらった。比較的順調に施設の建設と冬場のテスト栽培が終わり、これから夏場の栽培に入る。栽培指導には、北海道での研修と栽培技術専門家の現地への派遣を組み合わせており、専門家派遣の部分に農林水産省の事業を活用した。メディアにも取り上げられたこともあり、他の寒冷地からの引き合いも来ている。
  今後の課題としては、大規模化に向けて、地域商社としてのファイナンススキームのコーディネイト能力の向上に加えて、他国との受注競争に向けて、ハードとソフトを一体化させた、生産だけではなく流通面も含めた提案をしっかり行っていくことが必要。

(質疑応答)
質問:現地の電力供給において、停電や電圧の変化など、安定性への不安はあるか。
回答:極東では電力の価格が高い上に、停電もあった。これに対応するため、ガス発電機を導入する予定。現地のガス価格は北海道の1/15であり、有利。また、使用した3層のフッ素フィルムは、当初、断熱性が良すぎるのではないかと少し懸念されていたが、そのおかげで、停電の時に中の植物の全滅を免れた。ドイツ製でも日本製でも良いが、ガスエンジンによる電力供給の安定化が課題。
質問:アジア各国に農産物生産のためのプラントを作りたいと思っているが、韓国、中国、オランダ勢を前に苦戦している。日本の強みについてもう少し詳しく聞きたい。
回答:過去にオランダ企業が温室栽培にチャレンジしたが、オランダ式のガラス温室ではガラスが割れてしまった、とのこと。一般的なエリアであればオランダ勢に負けるかもしれないが、このような過酷な環境に適した提案ができたこと。使用するフィルムについては、北海道でも-60℃になることはないので、北海道大学で-100℃まで耐えられることを実証してから提案したことなど、慎重な提案ができたこと。また、最初の交渉において、施設の建設と栽培指導をパッケージで実施することを条件として示したこと。また、流通面まで含めた提案を行ったこと。本当の現地とのパートナーシップで取り組んでいること、などが挙げられる。
質問:生産物の現地での価格競争力はどの程度あるか。
回答:中国から空輸されるトマトは600円/kg、温室のテスト栽培のトマトは700円/kgで、若干高いが大きな価格差ではない。規模拡大にあたっては、連邦政府及び地方政府の政策に合致しているため、地方政府からの現地銀行への利子補給により、現地銀行から金利5%保証を付けた融資による資金調達ができること、イニシャルコストの25%は連邦政府の補助金を受けられる予定であること、さらに、連邦政府のロシア極東発展基金の活用も考えており、生産物の価格は、十分に現地に受け入れられる価格となる見込み。さらに、生産量を安定させることも、現地に受け入れられるための重要な要素だと考えており、採算が取れると見込んでいる。

  (ウ)インドにおけるコールドチェーン整備のための物流支援事業 資料5
(サイエスト株式会社 塚崎義直代表取締役)
(概要)インドで生産された農産物の40%が廃棄されているという課題の解決に向けて、日本の技術を用いてインドでのコールドチェーン構築を目指した。
  インドには40カ所程度の冷凍・冷蔵設備があるが、稼働しているのは2~3カ所との情報もあり、まずは「段階1:既存の冷凍・冷蔵倉庫のオペレーションの技術移転」し、その次に「段階2:新たな冷凍・冷蔵設備を建設」を経て、「段階3:インドでのコールドチェーン構築」に移行する仮説を立てた。
  農林水産省の事業を活用して、「段階1:既存の冷凍・冷蔵倉庫のオペレーションの技術移転」のために、インドから物流業者、食品業者、政府関係者を招へいし、日本の施設の視察を行った。今回は、1対1のマッチングではなく、10対10の顔合わせであり、また、次の行動に移すための方策を、日本に招へいしているうちに詰め切れなかったが、招へい事業実施後のアンケートによると、日印双方から長期的なビジネスチャンスの可能性を感じたことがわかった。
  課題としては、インドの農産品に日本の技術を導入するコストメリットをどのように示すことができるか、である。

(質疑応答)
質問:日本企業がインドにおいてビジネスをする課題として、常に価格競争力の問題があるが、どう考えるか。
質問:現地のインド企業自身がそのサービスを差別化できるかどうか、に加えて、更に付加価値をつけた提案を行えるかがポイント。
質問:まだ具体的な成果には結びついていない、との説明であったが、それでも何か成果はなかったのか。
回答:オペレーションの大切さはよく理解してもらったので、インド側から、日本での研修についての要請があったこと、インドの物流会社と日本企業の提携が始まったことが挙げられる。

5 平成29年度の予定等について、農林水産省からの報告
  農林水産省から、(ア)2月にインドへのプロジェクトファインディングミッションを実施したこと、(イ)6月に日フィリピン農業協力対話第2回会合(政府間会合)を開催し、(ア)次回会合においてフードバリューチェーン構築に向けて今後両国が取るべき対応の骨子について策定を目指すこと、(イ)次回の官民フォーラムの開催に向けて両国で調整することなどについて合意したこと、を説明。また、(ウ)今年度の二国間政策対話等の実施状況及び今後の予定、(エ)今年度のフードバリューチェーン構築に関する調査計画について、説明を行った。

6 閉会
  板垣代表からご挨拶として、海外展開の取組についての三社の説明の中にあったように、厳しい岩盤に穴をあけるような企業の取組によって、市場フロンティアが拡大する、このような取組を支えるには、情報や交流が必要で、また政策としても支えることが必要である、政府と民間企業が同じ目線で取組を進めるこの官民協議会は先端のプロジェクトであると認識している、との発言があった。

                                                                                                           

             

PDF形式のファイルをご覧いただく場合には、Adobe Readerが必要です。
Adobe Readerをお持ちでない方は、バナーのリンク先からダウンロードしてください。

Get Adobe Reader