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農林水産省

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グローバル・フードバリューチェーン推進官民協議会アフリカ部会(平成28年10月31日)議事概要


議事概要(PDF : 295KB)

日時:2016年10月31日(月曜日)16時00分-18時10分

場所:農林水産省7階講堂

議事概要

1.TICAD VIの報告(農林水産省)

本年8月ケニアにおいて開催されたTICAD VIには、アフリカ53カ国から35名の首脳級、我が国からは安部総理、農林水産省からは矢倉大臣政務官が出席した。関連イベントを含めて、国際機関や民間セクター等から1万1千人が参加した。会合では、3つの優先分野((1)経済の多角化・産業化、(2)強靱な保健システム促進、(3)社会安定化促進)を実現するための方策について議論が行われ、ナイロビ宣言が採択された。それぞれの優先分野に対応し、「フードバリューチェーンの構築」、「栄養改善」、「食料安全保障、気候変動対応」の取組を当省も推進していく。また、栄養改善シンポジウムなどのサイドイベントも開催した。

2.国際機関の取組について(国際連合食糧農業機関(FAO)駐日連絡事務所 ボリコ M.チャールズ所長)

FAOは自立した経済活動に基づく食料生産・調達の実現を目指す機関であり、食料安全保障の達成が重要な課題である。食料安全保障の要素は、(1)適切な品質の食料が十分に存在し、(2)合法的・経済的・社会的に食料を入手でき、(3)栄養バランスがとれたものであり、(4)いつでも安定して入手可能な状態であり、これらが全て満たされることが必要。

食料不安の要因は、貧困、人口増加、新興国における食生活の変化、食料価格の乱高下など、様々なものがあるが、食料のロス・廃棄もその要因である。食料総生産の3分の1がロス又は廃棄される状況であり、先進国においては、消費者まで届いた後消費されずに「廃棄」される率が高く、途上国においては、物流インフラ不足などにより、そもそも消費者まで届かない「ロス」の割合が大きくなる。1人が廃棄する量は小さくても同じ事を何億人もの人が行えば、総量は膨大になる。1人1人が改善に取り組むことが必要である。

民間セクターは、生産から流通までの幅広い過程、さらに関連するサービス、例えば金融、投資、保険、市場、貿易などのすべてに携わっており、FAOがバリューチェーンをより効率的、持続的、栄養を考慮したものにするためには、民間企業との協力が必要である。

FAO駐日連絡事務所長という立場を離れ、1人のアフリカ人として言えることは、まずは現地に行き、現地の人のためになることを実施することが最初のステップ。そうすることで現地において良い印象をもって認知される。それがその後のビジネスに繋がる。

3.パネルディスカッション

(1)モデレーター及びパネリスト

モデレーター   アフリカ農業についての学識経験者

東京農業大学 高根務教授

パネリスト   アフリカにおいて事業を実施している企業

豊田通商株式会社 アフリカ統括部事業推進グループ 金子鋭一グループリーダー
不二製油グループ本社株式会社 科野裕史執行役員
味の素株式会社 食品事業本部海外食品部 辻井毅事業戦略グループ長
株式会社前川製作所 楢原龍哉取締役
アフリカ開発銀行アジア代表事務所 横山正所長  

(2)進行方法

モデレーターからの基調スピーチに続いて各パネリストからアフリカにおける事業紹介の後、モデレーターから出された「論点」についてパネリストと共に議論を行い、モデレーターが議論をまとめた。

(3)モデレーターからの基調スピーチ「アフリカの農業発展と民間企業」

アフリカの農業にとって、経済生産活動の主体は、現地の小農や零細企業なども含めた民間セクターであり、民間セクターの活動が付加価値を生み、雇用を創出し、所得向上を実現させることができる。アフリカにとって外国企業の活動は、現地の人々に、技術、ノウハウ、マネージメント能力を伝達することに繋がり、アフリカにおける人的資本の蓄積に大きく貢献する。この人的資本は将来のアフリカを支えることとなる。近年のアジアの発展は、それまでの人的資本の蓄積があったことで実現したことに疑う余地は無い。

アフリカでは不足しているモノが目につくが、言い換えれば、これは需要が見込める分野ということであり、利益の拡大に繋がり得る。例えば生産技術、流通インフラ・技術、食品、医療などであり、その足りない部分を満たすことは、全体の底上げにもなる。アフリカの未開拓分野のポテンシャルは、大きなビジネスチャンスである。

日本企業とアフリカ社会の双方にとって利益になる取組について、日本政府が支援する意義がある。

(4)パネリストからの事例紹介

(ア)事例発表のテーマ

【生産への貢献】
Toyota Tsusho Fertilizer Africa in Kenya(豊田通商株式会社)

【現地での一次加工・海外へのフードバリューチェーン展開】
Fuji Oil Group in Africa(不二製油グループ本社株式会社)

【現地の生活と食文化に根ざした食品・販売事業展開】
アフリカでの食品事業展開について(味の素株式会社)

【保管・冷蔵技術及び人材育成によるフードバリューチェーン構築】
Introduction of REFRIGERATION Facilities The Development of Food Value Chain in Africa 2016(株式会社前川製作所)

【アフリカにおけるフードバリューチェーン構築に貢献するビジネスチャンス】
TICADを踏まえたアフリカビジネスの概観について(アフリカ開発銀行アジア代表事務所)

(イ)事例発表により見いだされた視点

 (アフリカの潜在性)
   ・ 現時点で主要な食糧が自給できていない上に、今後の人口増加が見込まれる。
   ・ 世界の耕作可能地域の65%はアフリカにある。膨大な可能性のある地域。
   ・ アフリカは広大な面積を持ち多様性に富んでいるため、アフリカ全体を見るのではなく、国ごとに見ることが重要。
   ・ 世界銀行グループによる2016年の資料に基づきアジアとアフリカのビジネス環境を比較すると、アフリカには、ベトナムよりビジネス環境が良いとされる国が6カ国、インドネシアより良いとされる国が10カ国、カンボジアより良いとされる国が14カ国、ミャンマーより良いとされる国が36カ国存在する。
   ・ビジネスチャンスを見ていくにあたっては、リスクをどのようにマネージするかという視点で、リスクや課題に対して、対処方法を考えておくことが必要。これらについての情報収集には、アフリカ開発銀行も活用されたい。

 (現地で受け入れられるために)
   ・現地パートナー、大学、国際機関、相手国政府と協力していきたい。
   ・現地生産物への代価支払いに加え、現地で一次加工することにより付加価値をつけ、雇用創出や所得拡大にも貢献している。さらにヨーロッパに輸出しており、外貨獲得にも貢献している。
   ・現地の食文化を徹底して研究し、商品の味、サイズ等を現地に適合させている。

 (人材育成)
   ・現地の人がビジネス感覚を持つことで価値が繋がる。現地でビジネスのノウハウの蓄積が必要。
   ・持続可能な資源管理の取組も、フードバリューチェーンの構築に必要な要素ではないか。
   ・ABEイニシアティブを活用している。技術及びマネージメント能力ある人材を育て、お互いにWin-Winの関係を構築したい。

(5)ディスカッションの概要(モデレーターから提示された論点についてパネリストの発言)

(ア)アフリカでビジネスを行うにあたって、中長期的に注目する地域や分野

(地域)
         ・実施する取組が面的に広がる可能性のある地域。
         ・すでに現地にある拠点を中心にした今後の展開。
         ・食関連産業から見ると、人口と人口増加のポテンシャルのある地域。

(分野)
         ・現地パートナー企業との協力による事業展開。
         ・例えば、ある国のスーパーでは他国からの産品ばかりが売られている。この状況について、改善の余地があるのではないか。
         ・ヨーロッパ勢との違いを打ち出していくことが必要。
         ・現地で普及が進むスマートフォンをビジネスに活かせないか。
         ・中間層の拡大に伴い需要が拡大することが明らかな分野が存在する。
         ・アフリカは様々なものが不足していることがボトルネックとなっているが、見方を変えれば、ビジネスチャンスでもある。

(イ)アフリカでビジネスを行うにあたってのチャレンジ
         ・アフリカでは一般的に法制度が未整備であり、投資のための法規制も整っていない。相手国の政府と改善に向けた議論を行っているが、難しい面がある。なお、この議論は、自社のみではなくすべての企業に裨益するもの。
         ・アフリカでは資本コストが高い。
         ・日本からの出張者の安全確保が課題。
         ・現地通貨の為替が乱高下する状況への対応に苦慮している。
         ・困難な時も自力のみで対処せざるを得ない状況。
         ・どのように信頼のあるパートナーを見つけるかが課題。
         ・アジアでは日本企業の名前は知られており、パートナー探しに有利な面もあるが、アフリカでは日本企業が必ずしもよく知られていないため、アジアとは状況が異なる面もある。他方、関係の深い旧宗主国へは複雑な感情を持つが、日本に対してはそれが無いことが利点となる。
         ・単独でアフリカに進出するには困難な面が大きい。パートナーは第三国企業も含めて検討するとよいのではないか。

(6)ディスカッションのまとめ

         ・幅広いフードバリューチェーンの分野の中においては、一企業でできることが限られており、フードバリューチェーンにおける各段階での企業間の連携が必要。また、それがフードバリューチェーン全体をアップグレードすることにつながるのではないか。
         ・フードバリューチェーンの縦の連携だけではなく、横の繋がり、例えば日本及び相手国政府、現地の人々との連携が重要ではないか。

4.平成28年度フードバリューチェーン構築推進事業(うちアフリカ2回廊における日本企業の展開支援委託事業)について、野村総合研究所より中間報告

  ・アフリカとアジアからいくつかの国をピックアップし、人口データ、一人当たりGDPデータ、物流インフラ整備状況及び事業環境評価を示した。International Logistics Performance Indexなどを比較すると、国ごとに違いはあるが、実はアフリカとアジアで経営資源・農業資源・バリューチェーンの成熟度等の面では、それほど大きな違いはない。
  ・西部アフリカについてはブルキナファソの各種産品を付加価値化したコールドチェーン等のインフラ整備も含んだ広域バリューチェーン等をモデル案として策定中。また東部アフリカについては、ケニアのモンバサ港を拠点に、北部回廊を活用した加工工場・コールドチェーン等の物流網構築によるフードバリューチェーンのモデル案を策定中。
  ・官民が連携したファイナンスも含んだ事業モデル構築が必要であるので、関心がある方はご連絡頂きたい。

5.モンバサ経済特区について、外務省(国際協力局 今福孝男開発協力総括課長)より説明

日本が包括的に開発協力を実施し、ケニアのモンバサSEZ(経済特区)を開発していく計画。食関連産業についてもポテンシャルのある産業であり、本日のディスカッションを踏まえた具体的な進出先の一例として御検討いただきたく、ご関心の向きは、ご連絡頂きたい。

6.閉会の挨拶(GFVC推進官民協議会の篠崎副代表(株式会社前川製作所企業化推進機構リーダー))

このグローバル・フードバリューチェーン推進官民協議会の趣旨は、官民連携で海外展開をめざすものであり、この観点から、本日はロシア及びアフリカへの展開について具体的な提案があった。今後の展開に向けて、皆様と連絡を取り合いたい。                                                                                                                                                                     
                                                                                                                                                                      以上

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