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農林水産省

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日露農業セミナー(第6回ロシア極東等農林水産業プラットフォーム会合・グローバル・フードバリューチェーン推進官民協議会ロシア部会)の概要

議事概要(PDF : 271KB)
日時:平成30年5月11日(金曜日)16:30-18:00
場所:TKP赤坂駅カンファレンスセンター

1.開会挨拶(農林水産省 松島農林水産審議官)
・お忙しいところ、参加してくださった皆様に感謝申し上げる。2018年は日露相互交流年であり、その一環として、本日はロシア農業省のグロムイコ次官やロシア民間企業の皆様をゲスト・スピーカーに迎え、「日露農業セミナー」として開催させていただく。
・グロムイコ次官からはロシア農業省が極東で進めている物流ハブ計画について、ロシアの各民間企業からは各社事業概要について、また、本年秋に開催されるロシア農業展示会「黄金の秋」の補助事業者から参加企業募集についてご案内させていただく。
・農林水産省は、日露の緊密な連携のもとで両国のビジネス推進に貢献していく考え。当セミナーをきっかけに日露間のビジネスが増々発展することを期待する。

2.議事
(1)ロシア農業省からの物流ハブ計画に関する説明
 (ロシア農業省 グロムイコ次官)
・近年、日露関係はあらゆる分野で改善が進み、農業分野でも省庁間での協力が進んでいる。本日は両省で次官級会議を執り行った。
・現在、ロシアの農業生産高は増加し、国内の産業分野で主要な位置を占める。農産品の輸出額も伸び、特に小麦は3年連続世界第1位となり、アジア諸国への輸出が拡大。今後も安心できるパートナーと組んで2024年までに輸出額を450億ドルまで増やしたい。
・ロシア政府は、農業発展のペースを一層上げる方針。特に極東地域からの輸出に注力する考えでおり、製造・技術・育種・加工・保存・運輸などの分野では、国からの支援が設けられている。中でもインフラ整備は、大統領が今年3月に行った年次教書で、今後3年の間に、ウラジオストクからロシア西部国境までの輸送を7日に短縮する目標を掲げた。現在は20日程度かかるが、物流ハブを作ることで実現可能。
・沿海地方に巨大な物流ハブを作り、陸路と海路の両方を使って、ロシアの農産物を急速な発展をとげるアジア太平洋地域やEUに輸出する。インターネットショッピングの需要に応える。敷地の選定や、投資家との話し合いが進んでいる。
・シベリア鉄道沿いにドライ・ポートと保管倉庫機能をもった卸売・配送センター、加工施設等の複合施設、農産物加工施設等を建設する。
・中国との国境に近接するポグラニチヌイに自由貿易区域を設け、卸売向け保管倉庫やロシア産農産物の免税棟、スーパーマーケット、オンラインストア向け物流複合施設、農産物加工施設等を建設する。
・ウラジオストク及び近隣のザルビノ、ナホトカ等に、冷蔵・冷凍施設や保管倉庫、水産物の加工場・競売場を有する農水産物専用港を整備する。
・物流ハブは、日露関係をより双方向にする。その他ロシアで進行中の様々なビジネスプロジェクトも、農産物に関するあらゆる関係者にとって興味深いもの。中国からも関心が高まっているので、日本もぜひ積極的に参加してほしい。

<質疑応答>
質問:物流ハブの場所は、まとめて1カ所か、輸出入先や品目によって沿海州の中に複数か。
回答:水産物については、既にある場所の中から、特に加工・保存に適したいくつかの場所に限る見込み。農業省の役割は民間に対し、関連情報を提供すること。

質問:最近は極東地域で酪農が増加しているが、糞尿処理の方法や問題は。
回答:生活廃棄物の処理や環境保護は、ロシアの重要課題。生活廃棄物に関するプログラムが採択され、全土で廃棄物処理工場の建替え等が進んでいる。この10年ほどは家畜数が減り有機肥料も減っている。現在、どの農業プロジェクトでも糞尿の適切な処理が盛り込まれていないと承認できない。担当局が厳しく管理し、指定場所・規定量でないと保管が認められないことになっている。ただし、いわゆるグリーン法はロシアにはまだなく、関連法整備を進めている。土地は重要な資源であり、当該分野でも日本からの協力を得たい。

(2)ロシア民間企業からのプレゼン
(ア)極東投資誘致・輸出促進エージェンシー ドゥブロフスキー常務取締役
・プーチン大統領は極東開発を21世紀の優先課題と述べている。ロシア政府は極東開発を担当する大統領補佐官や極東開発省・極東投資輸出庁などの機関を置いている。極東は、税制優遇策が取られ、優先的社会経済発展区域(TOR)の手続料は安く、極東開発基金による投資支援もある。特に農業は国や地方の支援により、ここ数年発展している。極東はアジア太平洋地域の一大消費地に近く、巨額の食料品需要がある。耕作可能な土地は広大なので、日本もロシアの官民と協力して、土地を活用してほしい。
・極東地域には農業向けTORが3カ所あり、既に多額の投資が為されている。インフラ分野では、日本企業の協力も得て、最新技術を利用した温室プロジェクトを進めている。畜産分野では、特に極東で牛肉を生産する企業を求めている。畑作分野では、極東ではナタネやそばが育つが、日本の技術で収量を増やしたい。乳製品は、既にベトナムや中国の企業が工場建設に参加している。

(イ)レスルス社 戦略発展担当 ターリン取締役
・レスルス社は鶏肉など食肉の生産・加工・販売までを一括して行う、垂直統合型のグループ企業。自社土地でトウモロコシなどの穀物・ひまわり油・飼料も生産。ロシア南部に位置し、輸出面でメリット。ハラールに対応。研究所を有し、最新技術を用いた品質管理、衛生管理を行い、抗生物質にも十分な注意を払っている。日本にも品質の高い食肉を供給したい。また、日本の高い品質の肉を入手したい。

(ウ)ダマテ商社 ゴルジェエヴァ社長
・ダマテ商社は、七面鳥や乳製品の生産・加工・販売を行っている。七面鳥でハラール認証を受けた。工場稼働開始以来、生産量を増やし、現在ロシアで第1位。餌の生産や卵の孵化から販売まで自社で担い、完全なトレーサビリティを実現。加工設備は日本企業の協力も得て、AIも活用した管理を行っている。エアチリングなどの最新技術を導入し、36種類の製品を出している。七面鳥はヘルシーな食品で、健康に関心の高い日本にお勧めできる。乳製品の投資額・生産量も年々増えている。フランスのダノン社とも契約し、原料の生乳の提供などを行っている。今後の輸出を増やす上で、あらゆる基準や要求に応える用意がある。一度当社工場を訪問してほしい。

(エ) エム・カ・エルキャピタル社 クルィロフ社長
・米や大豆を生産するプロジェクトを計画中。ハンカ湖は、気候の特性上、沿海地方で唯一米を栽培できる地域。中国やインドなどへの輸出を計画。このプロジェクトでは、日本の技術を使う方針となっている。ロシア農業省はじめ関係省庁や、極東投資・輸出エージェンシーの支援のもとで行われる。極東での日露協力による取組は特別な融資枠、税制でも様々な優遇措置があるので、ぜひ当該プロジェクトに参加して頂きたい。

(3)プラットホーム等の活動報告・活動予定
(ア)これまでの活動及び30年度の活動予定
 (農林水産省 大臣官房国際部海外投資・協力グループ 佐藤参事官)
・これまで、プラットホーム会合5回、国内セミナー2回、極東への官民ミッション2回、各種事業化可能調査を実施した。本年度は、本日含め、プラットフォーム会合3回、国内セミナーを2回、極東への官民ミッションを2回実施予定。また、委託補助事業を通じて、日本企業のロシアでの事業展開を支援する。特に本年10月のロシア農業展示会「黄金の秋」には、パートナー国として参加し、日本ブースを設置予定。日本企業の技術や商品の素晴らしさをロシアでPRできる貴重な機会なので、参加を検討頂きたい。

(イ)日本・ロシア極東農業ビジネスフォーラム2018の開催について
 (千葉大学環境健康フィールド科学センター 高垣 美智子様)
・「極東ロシアの未来農業に貢献できる領域横断型人材育成プログラム」に基づき、連携校である沿海地方農業アカデミーの依頼で、昨年、一昨年とロシアにて実施されたフォーラムを、本年は日本にて開催した。
・本年のフォーラムでは日本からは、学生交流・人材育成のプログラムや、施設園芸・施設工場の注目技術として、接ぎ木と植物工場を用いた育種について、最新のトピックを紹介した。時間の関係で企業からの発表についての紹介は割愛した。
・ロシアからは、園芸・温室・そば・デントコーン・かぼちゃなどの投資を優先していて、温室野菜の自給率の上昇傾向や、極東の野菜生産を高めて自給率を挙げたいとの話があった。沿海地方での企業協力の提案として、飼料生産・温室野菜生産・養蜂の3分野が挙げられたほか、サハリンにおける有機農業の事例紹介や、冬季の野菜供給不足などの説明があった。日本への輸出の有望な品目はベリー類のほか、薬用植物・畜産・ハチミツ・きのこ類など。また、ロシアの若者の就農支援、観光連携への期待などが紹介された。
・ロシア国内において日本の関連企業の情報公開を進めたいとの希望が出されたため、フォーラム参加企業へwebでの情報公開の可否を問い合わせ、対応した。
・本フォーラムは5月になって「ロシアにおける日本年」の行事リストに加えられたとの連絡がロシア側からあった。

(ウ)ロシア進出企業へのヒアリング及び極東からの乾牧草(チモシー)の輸入の可能性の調査結果について
 ((株)JSN 東京事務所 河尾 基様)
・ロシアはチモシーの生産能力があり、日本で需要が見込まれているが、極東ではほぼ商業化されていない状態。そこで、輸入が可能かについて予備的調査を行った。
・ロシアは口蹄疫非清浄国のため、輸入にあたりチモシーの加熱処理が必要。そこで、実際に加熱処理を行い、結果について日本の専門家にもコメントを頂いた。加熱によっても品質は低下しないが色が悪くなり、日本市場では商品価値が下がるという指摘があった。また、調査時期が冬であることや、商業生産されていない中で良いサンプルを見つけづらく、今後比較の調査が必要であり、現時点で正確な評価は難しいという指摘があった。今後、条件を整え、詳細な調査と評価を行いたい。

(エ)「黄金の秋」2018への日本ブース出展について
((株)JTB 新宿第2事業部 秋庭孝之様)
・「黄金の秋」は、毎年秋にモスクワで開催される、ロシア農業省主催の農業展示会。本年は20回目を迎え、全ロシア博覧センターにて、10月10日から13日まで開催。
・JTBは補助事業者として、日本ブースを設置・運営し、プレゼンテーションエリアを設け、日本の技術・製品・設備等のPR活動、ロシアの政府や企業とのネットワーキング活動の支援を行う。ブース内では試飲・試食も可能。
・出展者数は10社前後を予定。出品物は展示会の対象6分野に含まれれば広く出展可能。スペースは出展者数により調整予定。詳細は申込企業に別途案内する。スペースや基本設備は全て無料だが、旅費・パンフレット・製品輸送費などは、出展者負担。
・出展者をwebサイトにて本日から6月8日(金曜日)まで募集中。不明点はJTB事務局までお願いする。

(オ)「黄金の秋」について、主催であるロシア農業省からの追加説明
 (ロシア農業省情報政策・特別プロジェクト局 クラスノフ局長)
・「黄金の秋」はロシアの農業分野で最大級の展示会。農業を主要産業とする自治体や各州知事が集まる。本年は第20回という記念年。開会式には首相も参加。
・参加すればロシアへの投資機会、ビジネスパートナーを見つけることができる。農業分野のイノベーション・投資・食料品生産を行う企業はもちろん、ロシア産品を輸入したい企業にも来てほしい。
・会場ではグルメイベントが開催され、世界的に有名なシェフがロシア産の食材で料理を作る。日本のシェフにも参加頂きたい。
・モスクワ中心部のクレムリン劇場では、日本の芸術団体による文化プログラムも予定されている。10月までの間、大規模なPRキャンペーンが行われるので、日本の製品やテクノロジーをPRするこの機会をぜひ利用して頂きたい。

(カ)平成29年度日露経済協力(飲食店のロシア出店に向けて)の報告
 (農林水産省 大臣官房国際部海外投資・協力グループ 佐藤参事官)
・農林水産省は平成29年度に、日露経済協力の一環として、日本ラーメン店のウラジオストクでのテスト営業を実施した。本事業により得られた情報をもとに、ロシア進出を検討している外食事業者などに活用頂くために、ロシア進出の際に直面する現地の法規制や手続などを整理し資料を作成した。農林水産省のHPにも掲載予定。問い合わせ先は、食料産業局食文化市場開拓課まで。

(4)総括(当協議会代表 東京農業大学 板垣教授)
・日露において、農業のみならず様々な分野で情報共有が進み、経済的な距離が近くなった。ロシアの豊かな農地・水・森林・水産資源と、日本が培ってきた技術・知識・アイディア、それぞれをお互いに交換し合い結合することによって、新たなビジネスチャンスが生まれる。
・ロシアは、税制・金融・インフラ整備などの改革が着実に進んでいるようなので、日本企業もロシアで自らのノウハウなどを十分に発揮できると思う。日本にとっては様々な投資機会があり、生産されたものをEUやアジアに輸出できるチャンスもある。また、「黄金の秋」に日本企業が参加して友好関係が深められれば、協議会としても有意義と考える。
・将来、世界的な食料不足が懸念される中、極東ロシアを中心とした豊かな資源が、食料資源確保の明るい展望をもたらす。極東ロシアの開発は、グローバルな食料安全保障につながると考える。

3.閉会

以上

 

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