農業の枠組みの提案(21か国提案)
アルゼンチン、ボリビア、ブラジル、チリ、中国、コロンビア、コスタリカ、キューバ、エクアドル、エルサルバドル、 エジプト、グァテマラ、インド、メキシコ、パキスタン、パラグアイ、ペルー、フィリピン、南アフリカ、タイ及びベネズエラによる共同提案
加盟国は、農業の根本的な改革を通じて公平で市場指向の貿易システムを確立するという目的を含む、ドーハ宣言のパラ13及び14で確立された目的を再確認する。加盟国は、すべての交渉分野での改革は相互に関連していること、途上国のための効果的で使用可能な特別かつ異なる待遇は交渉での不可欠な部分であること及び非貿易的関心事項が農業協定に示された形で考慮されるべきであることを認識する。
閣僚は、市場アクセス、国内支持及びすべての形態の輸出補助金という鍵となる顕著な問題に係る削除/撤廃の約束及び関連規律への以下のアプローチを採択するという方法を含む、ドーハでの目的を改革モダリティに翻訳する作業に力点を置くことに合意する。また、閣僚は、2005年1月1日までに交渉をまとめるのに間に合うよう、包括的な譲許表の草案を提出する約束を強調することに合意する。
この文脈において、閣僚は、以下に合意する。
1.国内支持
ドーハ宣言は、「貿易歪曲的な国内支持の実質的な削減」を求めている。すべての先進国は、より高い貿易歪曲的な補助金を有する加盟国がより一層の努力を行うことで貿易歪曲的支持の実質的削減を達成するものとする。
- 1 大幅な削減は、以下の様式で行われることとする。
(1)すべての貿易歪曲的な国内支持は、[ ]%-[ ]%の範囲で、品目ごとに削減する。上限と下限の差は、[ ]ポイントより小さくすることとする。[…]の期間において平均以上の国内支持の水準を享受した産品は、高い削減水準に従うものとする。それぞれの場合に適用される削減率にかかわらず、実施期間の最初の12か月間でのすべての貿易歪曲的国内支持措置に対し、最低[ ]%の第一次削減が適用されるものとする。
(2)過去[…]年間の平均でその産品の世界輸出の[ ]%以上の割合で輸出している国内支持を享受する産品については、当該国内支持は、撤廃を視野に入れた高水準の削減に従うものとする。
(3)農業協定第6条5を削る。(青の政策の撤廃)
(4)先進国のデミニミスを[ ]%削減する。
(5)AMS及びデミニミスの合計は最低[ ]%削減するものとする。
- 2 先進国の緑の政策の直接支払(農業協定附属書2パラ5から13まで)は、上限を設け、かつ/又は削減する。追加的な規律について議論・合意する。
特別かつ異なる待遇
- 3 農業協定第6条2は、焦点を定め対象を限定した施策を含むよう、範囲を拡大するものとする。
- 4 途上国のデミニミスについては、現行の水準を維持する。
2.市場アクセス
- 1 先進国の関税削減フォーミュラは、各要素が効果的かつ計測可能な形で市場アクセスの実質的な改善に資するようなブレンド方式とし、以下のようなフォーミュラとする。
(1)タリフラインの[ ]%は、[ ]%削減する。タリフエスカレーションへの対処の観点から、加工品の関税が未加工形態の産品の関税よりも高い場合、加工品に対して、未加工品の[ ]倍の削減率を適用する。
(2)タリフラインの[ ]%は、係数[ ]のスイス・フォーミュラによる。
(3)タリフラインの[ ]%は、無税とする。
- 1.1 (1)及びiを合わせた平均関税削減率は最低[ ]%とし、かつ、いかなる場合であっても、(1)での削減率よりも大幅に高くするものとする。
- 2 [ ]%の上限を超えるタリフラインについては、加盟国は、当該タリフラインを当該上限まで削減する。(リクエスト・オファーのオプションは削除)
- 3 関税割当は国内消費の[ ]%まで拡充し、枠内関税は無税とする。関税割当の運用に対して厳格な規律が合意される。さらなる関税割当の拡充又は創設は、リクエスト・オファー方式による。
- 4 先進国は、特別セーフガード(SSG)を撤廃するものとする。
- 5 すべての先進国は、途上国からの輸入の最低[ ]%分の農産品及びすべての熱帯農産品その他の農業協定前文に示された産品に対して無税のアクセスを提供する。
特別かつ異なる待遇
- 6 途上国における地域開発及び食料安全保障の必要性にかんがみ、途上国は、交渉で決定された条件の下、特別品目(SP)の確立に加え、より低率の関税削減及びより長期の実施期間を含む特別かつ異なる待遇を享受するものとする。関税削減に適用されるフォーミュラは以下のとおりとする。
(1)すべてのタリフラインは、平均[ ]%、最低[ ]%削減する。
(2)途上国は、関税割当の拡大及び枠内関税の削減の義務を負わない。
- 7 交渉で決定された条件の下、特別セーフガード措置(SSM)を途上国の利用のために確立することとし、その範囲は2.6における関税削減の影響によるものとする。
3.輸出競争
- 1 許容される輸出補助金の予算及び数量に関しては、
-加盟国は、以下に掲げる途上国の特別関心品目に対する輸出補助金を[X]年間で撤廃することを約束するものとする。[……]
-加盟国は、その他の品目に対する輸出補助金を[Y]年間で撤廃することを約束するものとする。
- 2 公的な支援を受けている輸出信用、輸出信用保証及び輸出信用保険に関しては、輸出補助金に係る約束の迂回を防止するための既存の規律を損なうことなく、「改革過程が後発開発途上国及び食料純輸入開発途上国に与えうる負の影響に関する措置に係る決定」のパラ4を考慮しつつ、ルールに基づくアプローチにより、規律を課すこととする。このルールに基づくアプローチは、特に、補助金的要素を特定して撤廃するものとする。
- 3 食料援助の実施を通じた商業貿易の代替を防ぐための追加的規律に合意する。
特別かつ異なる待遇
- 4 農業協定第9条4の規定は存続する。
4.その他
- 1 交渉で決定された条件の下、特恵浸食の問題を扱うものとする。
- 2 新規加盟国及び後発開発途上国(LDC)の特定の関心事項を扱うものとする。
(以上)
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