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農林水産省

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WTO農業交渉日本提案説明の概要(兵庫県WTO研修会)

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  1. 日時:平成13年2月21日(水曜日)13時40分~15時40分
  2. 場所:兵庫県農業会館
  3. 出席者
    本省:柄澤国際貿易機関室長、北村国際貿易機関室係長
    出席者:安部県農林水産部長、廣田総合農政課長、農業団体、生産者団体、県・市町村職員等約180名
  4. 概要
    柄澤室長から、[1]WTOの現状及び我が方の基本姿勢、[2]WTO農業交渉日本提案の概要、[3]WTO農業委特別会合の結果概要等について説明。
    説明後の質疑応答の主なものは以下のとおり。

農業交渉の手法

(県)国内支持における通報で米国の農家救済等が未通報となっているが、このことに対してペナルティはあるのか、またはWTO協定上問題はないのか。次に我が国は世界最大の食料輸入国として多くの農産物を買っており、また、途上国にはODAも出している。パラグアイやグァテマラへは恐らく日本からODAが出ていると思うが、何故援助している国から日本提案に対しこのような反論を言われなければならないのか、外務省との関係はどうなっているのか。
[柄澤]米国の農業救済等が未通報であったことについては、国内でも議論があったことは確かである。本来この通報は60日以内に行わなければならないが、各国にも米国と同様なケースがある。WTOでは交渉とは別に年4回、通報を相互に監視し合う農業委員会通常会合があり、あまりにひどい通報に対しては、各国が是正を求めるが、あまり米国のようなケースを追求していくと我が方にも影響が出てくることも考慮する必要がある。

ODAの件は与党の先生からもまったく同じように指摘がなされ、三者会談の場でも議論になった。本件は外務省でも検討しており、少しづつ変わることを信じている。また、ODAだけでなく、農水省としても同様の取組みは可能なので、やれることはやりたいと考えている。

(農林事務所)交渉の結論は、最終的にはどういう形で決まっていくのか。

[柄澤]WTO意思決定は形式的には3分の2以上の多数決で決めることは可能だが、それを行ったことは無く、現実には全会一致というコンセンサスが無いと決まらないのが慣例となっている。ただし、最初から140カ国全会一致で物事を決めていくと言うことではなく、農業の場合は、米、EU、日本及びケアンズグループ(代表は豪州)の四極或いは加を入れて大筋を決めているのが通常のやり方である。URの時と違うのは、途上国の発言力が圧倒的に大きくなっていること。以前は日・米・EUでおおよその事が決まったが、今回は印或いはエジプト、南ア、ブラジルと言った中堅途上国の発言力が強くなっており、これらが交渉に加わらないと決まらなくなってきている。しかしながら日・米・EUの影響力が大きいのは事実である。

GMO等の安全性

(農林事務所)遺伝子組み替え作物について、米国から今後益々輸入が増してくると思われる。自由貿易の中で最初は安く物が入ってくるだろうが、これが世界を制覇するという形にでもなると問題が出てくるだろう。GMOの表示がされると、消費者はそれを購入しなくなる可能性があると思うが、4月1日から始まるJAS法によるGMO表示の関係で、米国がこれを問題として持ち出し新たな輸入障壁として取り上げることになることはあり得るか。また、農薬等の基準について、輸出する国が承認したものは我が国も輸入しなくてはならないのか。WTO協定上、食品の安全性の問題はどのように取り扱われているのか。

[柄澤]GMOの表示の問題は、2年ぐらい前にJAS法を改正し、この4月から施行されることとなっている。この表示制度を決めた際、米国を含め色々な国が懸念を表明していたが、この2年間でかなり事情も変化し米国の消費者の考えも変わってきている。現段階では、これがWTO協定に違反していると言っている国はないと承知している。GMOについては、表示以外にも色々な問題がある(例えばGMO開発の知的所有権等)。WTOではそれぞれの分野のルールがあり、知的所有権に関する問題はTRIPS、表示問題はTBT、輸出入に関する問題にはSPSがあるが、各協定それぞれの枠組みが規定されている。また、例えばWTOには表示一般のルールがあるだけで、GMOの表示基準はWTOではなく食品の専門家であるCODEXという別の国際機関で議論し基準を作っている。そこで基準が出来上がったらWTOのルールに当てはめて基準を貿易の立場で使うことになる。検疫についても、検疫の専門家が作成した基準をWTOが使っていくことになる。

安全性の基準について言えば、SPS協定では、相手国の基準を必ずしも我が国が認めなければならないということはない。ただし、基本的には合理的根拠が求められる。

(農業団体)新聞等によれば、日本は弱腰のようであると報道されているがもっと強気で交渉に挑んでもらいたい。コメ生産農家は困難に直面しているが、畜産、野菜も含めきめの細かい対応を今後ともお願いする。

[柄澤]我々も色々なところから厳しい意見・実態を聞いているところである。少しでもこの提案の実現によって役に立ちたいと思っている。

農業の多面的機能

(町)多面的機能の関係でOECDにおいても共通の認識が形成されているとテキストにあるが、一昨日(19日)OECDのアッシュ次長が棚田を視察に来た際、彼は「もっと広いところでやれば農業も生産性が上がって良いのではないか」と言っていた。この多面的機能についてOECDではどのように認識されているのか。農業の多面的機能が認識されるようしっかり主張して頂きたい。

[柄澤]我が国は、従前より多面的機能を主張しているが、ケアンズグループなどは、これは保護主義の隠れ蓑に他ならないと主張している。例えば自動車産業についても同じように多面的機能があるとして、繰り返し議論をしてきたところである。これは日本だけで主張しても仕方ないので、1~2年前にOECDに持ち込んだ。ようやく共通の認識がオーソライズされてきたところであるが、これはあくまで概念自体の議論であるが、次のステップとして、OECDの場で政策措置等について議論を進めるよう取り組んでいる。アッシュ次長の事情は良く分からないが、共通の認識を持っているものと思われる。

その他

(参加者)農業交渉を有利に進めるため、農林水産省としてはどのようなことを期待するのか。

[柄澤]外国に行って何かを主張する前に国内で色々な方の理解と支持を得なければ、すぐ足下を見透かされることになる。今回は提案を出した最初の段階であり、交渉は最低数年は続くと思われるので、各課程においてこのような試みを継続していきたい。ついてはこのような機会を随時設けたいと思うので、是非また足を運んで頂きたい。或いは情報はいち早くお知らせするので、皆さんがコアとなって他の方にも関心を広めて頂ければありがたい。

以上

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大臣官房国際部国際政策課対外政策調整室
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