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農林水産省

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WTO農業交渉日本提案に関する意見交換会概要(鳥取県)

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  1. 日時:平成13年3月9日(金曜日)14時30分~16時30分
  2. 場所:鳥取県庁「特別会議室」
  3. 出席者:生産者団体(10名)、消費者代表(3名)
                   (農水省)大坪国際経済課補佐、石井係長、近藤係長 
                   (鳥取県)上場農林水産部次長、河原課長
  4. 概要
    大坪補佐から、[1]「農産物貿易に関する世論調査」のポイント、[2]第5回WTO農業委特別会合結果概要、[3]主要各国の提案概要、[4]当面の主要国際関係日程、石井係長からWTO農業交渉日本提案概要についてそれぞれ説明。その後、意見交換を行った。意見交換概要以下のとおり。

 

(次長)本日は雪の中をお集まり頂き有り難うございます。昨年も、農林水産省はキャラバンということで地方の現場の声を聞こうという、又、今までの陳情でなく、提言を頂こうという姿勢になって5月頃キャラバンを実施して頂いた。その折りには、消費者の皆さんからも参加して頂き、野菜の値段が非常に安くなり、また、何処へ行っても農業を止めるという話ばかりで農家が無くなったらどうするのかという御意見があった。また、出席されていた農家の方が消費者の方の言葉によって勇気づけられたと後日述べられ、ほんの一言がずいぶん農家を励まして頂いたという思い出がある。

今日は、大変重要な国際交渉のことを説明頂いた。お話があったように、世界の中の日本という訳で、各国の異なった立場がある中で、その農産物貿易のルール作りにご苦心頂いている。その場合、一国の主張というのが誰の意見を反映しているのか重要。その意味で、我が国の主張が消費者の皆さんの意見を加えて頂いたというのは前回と比べると画期的と思う。

(生産者団体1)色々と話をお聞かせ頂き、提案内容につき提案に沿った方向で頑張って頂きたいと思うが、現在、色々な方面から外国農畜産物が輸入され、日本の農業が圧迫されている状況下で、我々はぎりぎりの所で農業を続けている。これらは、農業だけでの問題でなく、肥料、農薬等の農業のコストが下がらないという事情がある。そこで、まず水際で何とか最小限に輸入に留めて頂きたいこと、安全性の問題も勿論であるが、やはり国内においても多面的機能の発揮、食料安全保障ということを十分考えて欲しい。

(消費者代表1)私の辺りは、白ネギの産地。白ネギの価格が非常に下がり、生産者もかなり悩んでいる。また、我々消費者としても、スーパー等にはたくさん外国の商品が来ているが、安全性の問題等やはり地場のものを食べるのが安心できる。私自身は外国産は買うまいという不買運動を密かに行っている。

他に、農業の多面的機能については、環境問題に関し、我々婦人会では、森林、水を守ろうとか言っている中で、やはり耕地を守るということが大変大切なことと思う。野山を歩くと、荒れている土地が年々増えているので、これで良いのか、これで国土が守れるのであろうかという疑問を抱いている。

(消費者代表2)輸入は出来る限り留めて頂きたい。というのは、今後食料危機は本当にやってくると思う。今たくさんの農産物が輸入されて店頭に並んでいるが、食料危機が来たら輸出国はやはり自国を守らなくてはならず、その場合日本へ確実に送って来るであろうかという問題がある。そういう確実な保証もなく、現在のように安い安いという風に輸入されている状況は非常に懸念があり、出来る限り輸入を留めていただきたい。我々は、やはり生産者の顔の見えるものを食べたいという思いがある。

一方、生産者である農家も消費者のことを常に考え、消費者の購買意欲が無くなることは絶対避けなくてはならないと思う。子供・孫の時代になっても安心して暮らせるような所にしたいと思う。表示問題もある。我々は表示しか買い物をする際の目安がないため、表示は大事で、表示の徹底を是非御願いしたいと思う。

(消費者代表3)殆どスーパーマーケットで買い物している。以前は表示が無かったため、外国産か国産かわからなかった。最近は表示はあるが、急に外国産が増えている気がする。外国産は値段も安く、味もかわらない。国産は同じものでも生産費が高いため値段が高くなるというが、その高い生産費を引き下げる努力をするか、外国産が国産と同じレベルになるようにするかのどちらかを行わないと駄目。やはり値段の安い方に消費者の目は行く。

顔の見えない農業となっており、出来ている品物の安全性が我々にはわからない。

現在、外食産業が華やかであるが、特に最近の若い世代はそこで自分達が何を食べているかということをちゃんと理解していないと思う。だからそういう若い世代にそのような色々なことを教える機会を作って欲しいと思う。

(次長)以上の3人のご意見を集約すると、やはり表示は大事である。最近表示されるようになったが、加工品については未だ表示がなく、御願いしたいということで宜しいか?

(一同)大賛成です。

(次長)内外価格差の問題では、労働賃金が10倍近くあり、生産者サイドでの引き下げ努力を行うにしても、肥料・農機具等が高いという問題もある。このような生産者側の情報を消費者にもっと提供しても良いのではないか?

(生産者団体1)日本提案そのものの大筋は農業団体も合意している。要は、国民に向け大運動を起こそうということであるが、我々の立場では、全国的な運動もさることながら身近な県民運動を今後展開していこうと思っている。

日本提案に対する私の考えとして、キーワードの一つとしての多面的機能をより具体的に内外に向けきちっとしておかないと理解もし難いし、崩されてしまうおそれがある。日本の自然的条件は雨が多く、地形的に平地が少ない、その中でコメを中心とした水田のシステムが発達してきた。このコメに絞って物事をきちんとまとめるというのが一番わかりやすいと思う。新基本法を作る際もそうであったが、国内でこれだけコメ消費の減少がある中で消費拡大するには、自給率を上げることが前段にあって、しかし、食生活にまで関与することはできないということでストップしてしまっている経緯がある。しかし、外、つまり、WTOに向けて「日本の農業は多面的機能で農業は云々」と述べてコメが非常に大事ということであるなら、やはり国民の方も、そのコメを食べるという考え方の結びつきを付けていくべき。主食というような考え方をきちんとすべき。日本型食生活と言われるものがやはり基本。そうでなければ、所謂多面的機能というのは発揮できない。コメが崩されて来ると、他の作物では、農地を活用したり、環境保全に繋がるということにはならないと思うため、まず、コメを軸にした展開で分かり易く、国民の方もそれに協力し、理解するという、そこから始められるような仕組みを作ることが重要と思う。

(次長)そうでしょうか。前回のUR時にはコメだけでやってしまったため、損したところがある。また、今回の提案を見るとうまく煙幕が張ってある。

(大坪補佐)明確に日本のコメをという形で抜き出して主張するのは、WTO加盟140カ国が各々提案を出して農産物貿易ルール作りをするという交渉の中ではやりにくい。日本のコメと言った瞬間、日本だけの問題になってしまう。各国とも色々な問題を抱えている訳で、多面的機能の問題を全面に出し、その中で、お互いに共有できるような貿易ルール作りを目指す。連携国が幅広く出来るような交渉の仕方が今回は重要と考えている。そういう観点で今回の提案の中には「コメ」ということを明確には入れていない。

また、今、3人の方からの話を伺い、意を強くしたが、農業サイドと消費者という国民全体の信頼感ということが交渉の中で非常に重要。世論調査結果でも国民全体で日本農業に対する期待が依然強いというのは大事にして行かなければならない。狂牛病が最近問題になっているが、先日も独の農業大臣が更迭された。これは独の国内で農業大臣も含め農業界が独では大丈夫、問題ないと言い続けていたが、その後国内から狂牛病の牛が続々見つかり、独農業界に対する消費者の信頼が一気に失われた結果である。ヨーロッパ域内全体で農業界に対する信頼感が非常に低下している。ヨーロッパの消費者にとって域内の肉の方が不安だと感じられるようになってきた。このように、現在は日本の消費者の方々に日本農業を応援して頂いているが、一端信頼を崩すと全く逆になることもあり得る。生産者サイドが安全で良いものを消費者側に供給するという常日頃の活動と両者の信頼感というものが一層重要となってくる。

次に、輸入を水際で止めて欲しい等の話、或いは不買運動の件だが、政府、国として強制的に輸入しないとか、不買運動をするということは難しい。あくまで消費者と生産者側との信頼関係、やはり日本の農産物が良いという人が増えていくような信頼感を如何に作っていくかそれが今後非常に重要。それが根本にあって輸入品より国産農産物を買う消費者が増えていくことが望ましい。

(生産者団体1)良くわかるが、多面的機能として攻めていく中で、コメが一番分かり易いのに、国内ではコメが次第に減少してきている。そして一方では多面的機能と言っている。

(消費者代表3)今コメを作っている生産者が高齢となって離れて行く人があるが、生産者団体としては、それをどうするつもりか?離農した結果耕作放棄地等が出来るがそのための対策は?

(生産者団体1)集落ぐるみで土地をまとめて雑草や水管理等を行い、農業そのものは大規模農家に来てもらって十分農地を活用する、そういうものを提供できるような受け皿をきちんとしようという話が出てきている。そのようにして、皆で農業を守っていくような、続けていけることができるようなシステムを作っていこうと考えている。

(次長)立派に農業をやっている人達もいる。困っている高齢農家もいる。今度、本当にしっかり農業をやっている人と消費者との意見交換会を是非やりましょう。

(生産者団体2)前回のラウンド交渉時は、米国等に押されっぱなしであったが、今回はかなり頑張ってもらっているなという感じを持っている。国民の全体の後押しをもってこれからもしっかりとやって欲しい。それから、マスコミの影響もあったとも思うが、今まで生産者と消費者の利害が対立しあって来たような形で来ていたが、最近になり、消費者・生産者でなく、国民という目で日本の農業をどうしていくかという考え方が出てきたということを大変嬉しく思う。

また、差し当たり困っているのが、コメとネギの値段の下落。国民全体の生活水準、物価水準が高いのであるから、この辺で下げ止まってもらいたい。そのためにもWTO交渉は頑張って欲しい。ネギはここまで下落しているのは大変深刻な問題であり、やはりセーフガードを実施していただきたい。全ての貿易と自由化を防ぐと言うわけではないが、一定の秩序を保った形でのお互い国の理解の上での貿易秩序を望む。

もう一つは、消費者の方に御願いしたいが、建前としては国産品ということであるが、いざとなると価格の安いものを選ぶ傾向があるため、是非よろしくお願いしたい。

(消費者代表3)外国の生産者がどういう作り方をしているのか良くわからないので安全性に不安がある。

(消費者代表2)一つは、質の良いものであれば高くても買うという人がいる一方で、子供が多い家族は、やはり安い方を選んでしまうということもある。そこを日本の生産者もちょっと考えていただきたい。「これだけ努力しているのだから、これを買って下さい。」というようなことをされると我々消費者もやはり考えると思う。生産者・消費者がお互いに歩み寄ってやっていくことが重要と思う。

(生産者団体3)セーフガードの発動については非常に時間がかかる。自給率の指標というものが各国の多面的機能を位置づけるということができれば、食料自給率の指標を示し合って、それを越えるような輸入急増があれば、セーフガードを発動できるような仕組みはできないか?

(大坪補佐)WTOで認められている一般セーフガードでのルールの下できちんとやるということが重要と思う。セーフガードの発動については、ルールの上では一般の鉱工業品と同じルールでやらざるを得ず、きちんと調査し、被害の状況等について明確に立証する義務がある。

(次長)要するに雪崩の如く一度に行って来るため、産地は対応のしようがない。従って、セーフガードのルールの上でやっていただきたい。しかし、中国側には、「中国でネギを作っているのは、日本の種苗会社と貿易商社である。中国人は雇われて、若しくは搾取されている。」という中国人は本当は潤っていないという意見もある。この問題については政府がセーフガードに向けて努力する反面、中国の色々な階層の人々と民間レベルで話をするとか本当に何が正しいかという行動を起こす必要がある。

(消費者代表2)先日、TVでタイ・韓国等日本の市場を狙えという風にすごい力でやっていたが、ああいうものは阻止できないのか?日本の政府は生やさしいと思う。本当に食料危機をどのように政府は考えているか聞きたい。

(大坪補佐)同番組は私も拝見した。非常に驚いたが、ただ「日本市場を狙え」というその部分だけテレビに出ており、韓国政府が日本だけをターゲットにしているのか等全体の話は分からなかった。ただ、韓国としても、国としては先進国等多くの国に色々な産品を輸出し、外貨を稼ぐ必要がある。日本もそうである。日本を含め、色々な国の市場開拓努力を日本政府が駄目であるとは言えない。

(消費者代表2)日本の農協も負けないで頑張って欲しいと思う。農協は原点に戻って、カネ儲けばかり考えず、農家をやる気にさせるという指導をちゃんとやって頂けたら太刀打ちできるのではないかなとも思う。

(次長)このようなディスカッションを今後も行うようにしたい。

(生産者団体4)今日は、消費者のリーダーの方々の意見を伺い非常に心強く思っているが、ただ、現実には、今スーパーの売場そのものが、輸入品で抑えられているということは現にそれが売れているという事実があるからである。それは、価格の問題である。現に農家が生産を止めている事実もあり、やはり再生産の価格は維持できるようにして頂きたい。勿論我々も努力はしているが自ずと限界がある。

(次長)それでは、丁度時間ともなったので閉会とさせて頂きます。我々も消費者・農業者一体となって頑張りたい。

(以上)

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