このページの本文へ移動

農林水産省

メニュー

第3回WTO農業交渉に関する意見を聞く会」議事録(東海農政局)

  • 印刷

日時:平成13年2月23日(金曜日)13時30分~16時00分

場所:愛知芸術文化センター12F  アートスペースA

政府側出席者:和田東海農政局長、木下東海農政局次長、前原企画調整部次長

参加者:県、農業団体、消費者団体、農業者、消費者等  127名

 

東海農政局前原企画調整部次長より、WTO農業交渉日本提案の概要等について説明後、以下のような意見交換が行われた。

(市町村関係者)
国は米の在庫を減らすため、緊急生産調整で5万haの転作を求めている一方で、韓国では、日本人の嗜好を研究しながら5万haのハウスでミニトマトを作っている。このような状況の中で、政府としての対応は。

もう一つ、セーフガードの発動を早めるなどの対応はできないものか。

(農政局)
アメリカ、韓国では既にセーフガードを発動した実績がある。今回、発動すれば日本として初めてとなる。発動しないとする対応はおかしいと、与党内で議論が高まり、昨年末に政府としても3品目の調査を開始することを決定したところである。トマトが今回の政府調査品目から外れたが、セーフガードを発動するためには客観的な数字が求められ、外国産ミニトマトは日本のトマト市場全体では1%に過ぎないため、今回は調査品目にはならなかった。ただし、緊急監視対象品目として調査していく。韓国とは2月5日に政府間協議を行い、今後民間団体レベルでも協議が開始される手はずになっている。

また、野菜をめぐる生産流通に関しては、松岡副大臣のもと、生産対策と市場のあり方を検討するプロジェクトチームを立ち上げることとしている。

3品目については、3月22日が利害関係者からの証拠提出及び証言の期限、4月27日が証拠等の閲覧、利害関係者からの意見表明等の期限となっている。協定上は政府が調査を開始して1年以内に結論を出すことになっているが、農産物ということで早めている。1万5千もの調査票があるため、集計に時間がかかる。セーフガードを発動するかどうかは4~5月頃になると考えられる。明白に認定できるようであれば、調査完了前に暫定発動する可能性も探られている。

(環境団体)
WTO体制下にあっても、基本的に何を守るべきなのか考えなければならない。すなわち、[1]各国民の人権、生存権を脅かさない、[2]各国が食料安全保障をもちうる、[3]食料主権(各国が国内で生産できることの確保)、[4]持続可能な生産活動の展開の4つが重要であると考えている。ウルグアイなどは「今回の日本提案はバッド・ジョークである」とまで言っている。そこで次の2点について教えていただきたい。

[1]スイス、韓国、ノルウェーなどフレンズ諸国との会合を持つ予定はあるか、[2]農産物を工業製品と同一視すべきではないという考えは、各国に受け入れられる可能性はあるか。

(農政局)
御提言されたようなことをベースとして、我が国は現行体制の見直し論を主張している。今回の議事概要は本省にも必ず伝えるし、ホームページでも公開する。30ヶ国余りのフレンズ諸国とは、これまで連携してやってきたし、今後も精力的に会合を持つこととしている。先般、EUのラミー委員(農業担当)が来たときも、谷津農相は多面的機能などで若干異なる部分もあるが、ケアンズグループの分断戦略にはのらないことで意見は一致した。

農産物と工業製品は異なるとする主張への各国の理解については、はっきりとしたことはお答えできないが、交渉の場でお互いに主張し合うこととなる。

(農協関係者)
第1点は、日本提案のパンフレットの14頁にあるロールオーバーとは何か、解説していただきたい。
第2点は、GMO(スターリンク)など防疫関係の問題がどうなっているのか教えていただきたい。
第3点は、セーフガードの措置において、WTOの加盟国と非加盟国の取扱いの違いを教えていただきたい。
第4点は、キク、バラ、カーネーションなど花きにも野菜と同様に輸入増の問題があるが、これについてどう考えているのか。
第5点は、輸入業者への規制・自粛要請は不可能なのか教えていただきたい。

(農政局)
1点目だが、ロールオーバーとは、輸出補助金を削減する過程で、当該年度の未使用分を次年度以降へ繰り越すことで、協定上もこうした柔軟な対応は可能となっている。なお、このことについて、我が国からは対応が不適切であると意見を出している。

2点目の防疫関係については、今明確にお答えすることはできない。後日調査の上で連絡する。なお、我が国としては食品の安全性は、WTOではなくコーデックス食品規格委員会で整理すべきとの立場である。

3点目の加盟国・非加盟国の取扱いの違いについても、調査の上で後日連絡する。

4点目の花きについて、現時点ではセーフガード発動を検討する動きがあるとは承知していない。国民経済上への影響についてどう捉えるかが問題になるかもしれない。ただ、花きもセーフガードの対象外ではないと思われる。

5点目の輸入業者への規制は正直なところ難しい。国内の農産物を供給する側が、業者に対し、国内農産物のメリットを説明し、理解を求めていくことが大事であると考えられる。

(愛知県)
セーフガード発動に向けたモニタリング体制は整備されたが、早期発動が求められる中で省庁間の協議はどうなっていくのか。

(農政局)
今般の政府調査及びモニタリング体制の整備で一応の体制は出来上がった。農水省から財務・経産両省への情報提供もスムースに行われ、セーフガードを速やかに発動できる体制が整いつつある。なお、セーフガードを農水省で一元的に実施できるようにとの要望もあるが、その点については引き続き今後の検討課題としたい。

(生協関係者)
食品の安全性についてはコーデックスの委員会で検討すると承知しているが、真剣に検討・交渉するよう本省の担当部局へ伝えてほしい。

農業経営を安定させるための措置が検討されているという新聞記事を見たが、農業経営所得安定対策の内容とWTO農業交渉の国内支持との関係を説明してほしい。

(農政局)
新基本法の中に「望ましい農業構造の確立」が唱われており、これが今回の施策検討の基礎になっている。

持続的な農業の発展のためには、望ましい農業構造を確立する必要があるため、従来の価格政策とは別に検討されているもの。春から夏にかけて本格的に検討が進められ、12月には大綱がまとまる予定。なお、現行の国内支持の基本的枠組みは維持する方向であり、削減対象となるAMS(国内支持総額)の約束水準は各国の農政改革の妨げとならない現実的なレベルとするよう提案している。

(消費者団体)
輸入によって食糧の安定が図られるとは考えられない。当面は食料自給率45%を目標としているようだが、将来的にはどの程度まで上げようとしているのか。

(農政局)
新基本法で初めて自給率の向上が明確に位置づけられた。食料自給率低下への国民の不安感は強く、新基本法に基づく基本計画は衆院で全会一致で決議されている。

実現可能性も考えると45%という数値にもかなりの努力が必要。生産者の努力もさることながら、消費者の方々も消費の構造形態を変える等の努力が必要と考える。

基本計画は10年後の目標として45%という目標を策定したものであるが、種々の努力を積み重ねていくことにより、我が国も将来的には50%以上とすることが基本と考えている。

(個人)
先ほどの環境団体の方の提案を前提にすると、WTOの交渉が進展しないのではないかと素朴に疑問に感じる。羽田農相時代には与野党そろって「一粒たりとも入れない」の大合唱であったが、自由貿易体制の進展に伴い、結局はMA米を受け入れざるを得なくなった。自由貿易体制なので、輸出国の論理が大きく主張されがちであるが、砂漠化等による耕地の減少は続いており、地球温暖化の問題等と同じように、地球規模で農業生産可能地の拡大に取り組む必要がある。

ちなみに、農産物輸出国の中で農家の多面的機能について賛同している国はあるのか教えてほしい。

(農政局)
WTOの発足により自由貿易体制はガット当時よりも強化されたが、WTOがもたらした恩恵は輸出国のみという批判も出ている。途上国での食料不足はむしろ拡大している。シアトル閣僚会議の失敗が示すように、もはや環境NGOを無視しては交渉事も成功しない。農水省としては、国民各層の意見を幅広に聞き、情報開示も積極的に行うこととしている。

ケアンズ・グループは自由貿易歪曲的なものは一切受けつけない姿勢であるが、農業は農産物の生産以外にも種々の機能を有しており、それを失わせるようなルールではダメ。日本は非貿易的関心事項の一つとして農業の多面的機能を主張しており、WTO交渉の検討対象外と主張する一部輸出国の批判は当たらない。また、輸出国の中にも日本の主張する農業の多面的機能について一定の理解を示す国はEU諸国や韓国、ノルウェーなどが挙げられる。

 

【2月23日意見交換会における質問に対する回答(未回答分)】

  • 防疫関係問題の最近の状況
    (スターリンク問題)
    食品用トウモロコシへの「スターリンク」の混入防止対策については、昨年11月21日に米国農務省と我が国の厚生省(現在の厚生労働省)との間で船積み前検査等の手続きが合意されたところであり、米国側業者によって一定の検査が実施され、スターリンク陰性のもののみが船積みされるよう措置されました。また、こうした検査の実施状況をモニタリングする目的で、米国農務省が一定の頻度でサンプリングを行い、当該サンプルの半分ずつを日米双方(日本には空輸)で検査することとしたところです。
    飼料用については、我が国は米国に対してスターリンクが輸入されないための措置を講ずるよう強く要請し、その結果、米国内における飼料用とうもろこしの輸出前検査手続きについて、12月18日に日米間で合意したところです。これにより、スターリンクが我が国において流通する以前に米国内で検査できる体制が整ったところです
  • WTOの加盟国と非加盟国におけるセーフガード措置の違いについて
    セーフガード協定には、絶対的な輸入量の増加がある場合、3年間は対抗措置を行使できず、また対抗措置はセーフガードによる措置と実質的に等価値でなければならない旨規定されています。
    現時点では、非加盟国はWTO協定(セーフガード協定)上の義務を負わないため、加盟国が非加盟国に対してセーフガードの発動を行った場合、非加盟国から一方的な措置をとられ、加盟国はそれをWTOパネル等で訴えるすべがないというのが実態です。

お問い合わせ先

大臣官房国際部国際政策課対外政策調整室
ダイヤルイン:03-3591-0758
FAX:03-5512-7652