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農林水産省

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九州の女性農業者等とのWTO農業交渉に関する意見交換会概要

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  1. 日時:平成13年3月16日(金曜日)13時00分~15時00分
  2. 場所:博多グリーンホテル第2号館第7会議室
  3. 出席者:
    (参加者)奥野「女の階段」愛読者の会全国代表世話人会会長他  女性農業者、消費者15名
    (農水省)谷村総合食料局国際経済課総括補佐
                      村山総合食料局国際経済課総括係
                      植竹総合食料局国際経済課調整第2係
  4. 概要

(先方)輸入農産物が増え続ける中、農業交渉は21世紀の食と農の将来を左右する。日本農業を守り、子供達へ安全な食べ物を残すという女性の声を伝えようという趣旨で1万通のハガキ運動をし、皆思いは同じであることを示そうとした。地域においては農業農村を守ることが必要だと確認できた。昨年、我々の声を谷津大臣に受け取ってもらい話をする機会があった。それが縁で今日は直接来ていただき、お話をしてもらうこととなり大変嬉しく思う。

(谷村)昨年大臣とのやりとりがあり、大臣からも今回メッセージを頂いてきた。それで奥野さんに連絡をしたところ、このような膝詰めの会を持つことになった。本日は、先日行われたWTOの特別会合で日本提案を説明したが、その結果を紹介しながら提案が世界でどのように思われているか等お話をして、その後率直な意見交換をしたいと思っている。昨年の1万通のハガキの一部を読んだが、その中から、日本の農業を守って欲しい、日本の安全な食を守ってほしいという切実な思いが伝わってきた。今後の農産物ルール・今後の食と農の方向を決めることになる。皆さんのように、実際に農業をやっている方が農業の実態、農業の将来に危機感を持っているうちに、また、我が国の農業の体力があるうちに何かをしなくてはいけない。折角、よい施策を打ち出しても、20,30年先に今の子供達が大人になり、農業の体力が無くなっていたとしたら、どうしようもない。それでは、12月に一度説明をしたが、日本提案について簡単に説明したい。

-提案1枚紙を説明-
-特別会合の結果についてを説明-

哲学の違いがあるのは当然だが、輸出国サイドからはかなり失礼な発言があった。ただ、逆にそれくらいの提案をしていくことが日本の農業を守るということを世界に強烈に主張しているという証でもある。なお、各国が失礼な発言をしたことに対しては、国際部長が日本提案は1年以上かけ、国民各層と共にまとめられた、いわば日本国の哲学であるものにもかかわらずそのような発言をすることは日本国民への冒涜であると強く言った。ただ、我々としても中傷合戦ではなく、建設的にしっかりと議論する旨発言している。

-国際会議の日程を説明-

2月くらいからできる限り交渉担当者が直接各地を回り、意見交換会を行っている。このような取組がみなさんの力の集結となり、国際会議の時にも力強い後押しとなる。ただ、このような会も我々だけでは限界があり、みなさんが更に外に広めていってほしい。待っているだけでは情報は来ないということも理解して欲しい。そして、これからも是非関心を持ち続けていただきたい。大臣も農村の力は女性の力であると言っていた。皆さんには地域の起爆剤としてアクションを継続していただきたい。

みなさんは、WTOでの主張と地元でやっていることとなかなか頭の中で結び付かないのではないか。しかし、決してそうではなく、地域レベルの取組が積み上がって国レベルの主張になる。例えば、食料安全保障。これについては、いつも、国内生産が基本と言っている。これは、基本となるのは地域で作ったものを作ったところで食べるのが一番おいしい、地域でつくったものを地域で大事にするという一人一人の心である。これが、県、国へと広がって、日本のものを日本で食べるのが一番おいしい、日本農業を大切にしようという動き、うねりに連なる。このように、地元の取組とWTOにおける主張は繋がっている。今回の出張でもこんな取組を聞いた。八女では週3回の米飯の時、土地の野菜を紹介した上で子供達に食べさせていた。また、大山町では地域でとれた梅を出していた。これらの取組が広がっていけば力となり、日本の主張に心を入れることになる。WTOでの主張を身近に感じてほしい。国際交渉の場においても力強いものとなる。

意見交換会(先方)提案は難しい。多面的機能や食料安保は少し分かる気はするが。輸出する国と輸入する国とのルールの不均衡とあるが、輸出する国にはペナルティがないということですか。

(谷村)輸入国は食料の輸入量を制限できない。つまり関税を払えば受け入れざるを得ない。一方、輸出国は出す量を制限することができる。

(先方)輸出国がもし国内で足りなくなったとしてもちゃんと輸出してもらわないと困る。

(谷村)ただそれは現実には無理ではないか。輸出国は必ず輸出すると約束したとしても空手形でしかない。不均衡の是正という主張を行い、現在、輸入国が輸出国より如何に厳しいルールにあるかを理解させることが重要。そもそもUR時には世界で農産物が余っている時代であった。輸出国は補助金を出して過剰農産物を国際市場で売りあいしていた。その過剰時代のルールがアジアで食料不足があったりFAOの飢餓人口半減計画が15年遅れると見込まれるような今日的問題に対応できるのかというのが我々の問題意識。

(先方)スーパーに行ったらなすも椎茸も外国の安いものばかり。なんか負けているような気がする。

(先方)安いけれどもコメではなく野菜にしていかないといけない状況だ。MA米は入ってくるしコメが安定していれば野菜が変動しても何とかなると思うのだけれど。

(谷村)提案ではコメを含め具体的品目での議論をしていない。最初からコメというとコメ提案ととられてしまい、各国と連携しうる主張にはならない。また、国際的にも国内的にもコメのための提案であるととられてしまう。コメの水準だけの議論になってしまってはいけない。ただ、よく読んでいただければMAに対する考え方は分かるように書かれている。基本的な問題点として、輸出入国間のバランスの問題点を指摘しつつ、実体的なコメの圧力を下げるため、技術的問題点を3点言っている。一点目は、MAは86年から88年の消費量を基準として設定されている。この頃は国内のコメの消費量は1100万トン弱あまりであった。今はコメ離れで消費量が減っており、以前の基準で決めるのは今の実態とは離れている。つまり基準は現在の少ない消費量とするのが適切であると提案している。二点目は、特例措置によってMA数量がかさ上げをされていること。日本は途中で関税化し、特例措置を続けているよりかさ上げ率は減ったが、それにしても4年遅れたペナルティを今後ずっと払い続けるのは4年遅れのペナルティとしては重すぎるので見直すべきだとの主張。三点目は、小麦や大豆は国際貿易量がそれぞれ17%、27%、車にあっては45%、それに対しコメは国内消費が基本であり、世界生産のうち5%程度しか貿易されていない。このような品目毎の事情を考慮せず、同じアクセス機会を与えるというのは果たして適切であるのか。国際市場が混乱する可能性も高くなる。このように、日本は単に国内で余っているからいらないから入れたくないといっているのではなく、現行制度の問題点の指摘をしている。一方、国際的には日本は高く買ってくれるからいい市場である。そのため、輸出国は、日本の市場を狭めることを嫌がる。

(先方)現在、検討が進められていると聞く農家を単位とした安定対策は重要とは思うが、ただ、農業を意欲的にやろうとする若い人にとっては活気が湧かないような気がする。

(谷村)頑張らなくてもある程度保証されるというモラルハザードに対し、制度上どう仕組んでいくかは十分検討すべき点である。農業の不安定さを安定させてやることで農家が将来に対し意欲を持って取り組むことが必要ではないか。また、市場価格に直接介入するわけではないので、ある意味、消費者的にも受け入れやすいのではないか。

(先方)そちらとこちらというと言い方は変だがそちらの言っていることも分かる気はするが、こちら的には違う点もある。消費者は安全で安心でないと食べない。その辺がちょっと盲点となっている。国は国際的に大きな観点からものを考えるが、国土を作りながら食の提供をしている者に対しては優遇とまでは言わないがもっと真剣に考えてもらわないと困る。

(谷村)安全・安心な食品の確保に関しては、買う側である消費者も考えていかないといけないことがある。消費者団体等と会ったときに言うことだが、政府は、表示や農薬の問題に対する制度は作ると思う。しかし、政府はそこまで。強制的にあれを買え、これは売るなとは言えない。結局は、消費者が受け入れないのなら売る方の態度や意識は変わるということであろう。一方、生産者とすれば、生産者が本当にどれだけ多面的機能や国土保全を真剣に考えているか、安全・安心に気を配っているかを消費者に伝えていかないといけない。そうしないと消費者の大多数は安い方を選んでしまうだろう。我々は、仕組み、枠組みは作っていく。しかし、それを生かすのは皆さんであり、安全・安心を与える我々の努力、受け取る側の努力、両方が必要だ。

(先方)安全・安心の意識調査をすると年代によって結果が違ってくる。若い年代ほど安いものを好む。これは子供の教育、食べ物に対する教育が大事なのかと思う。最近は精神の安定していないキレる若者が多いが、これも何か影響が出ていることなのではないか。

(谷村)私はいつもコメ関係の陳情を受けると、その方々に朝ご飯に何を食べたのかと聞いてみる。そうするとコメ農家も意外にコメを食べていない。コメの価格を上げろとか消費拡大を推進しろとか我々に言っているのに自分がコメを食べないとはどういうことですかと言っている。作ったところで食べるのが一番おいしいということを農家自身が誇りを持って欲しい。最近は自分の手足で実際に土に触れる機会が少ない。大分に行った際、新規就農を目指す女性がいて、なぜなるのかと問うと保母をしていたが子供が土にふれることがないということにショックを受け、自分で幼稚園生を相手に農園を作りたいからと言っていた。10年後次の世代に伝えていく今の子供達が大事だ。地道だが確実に跳ね返ってくる。我々としても日本の農業に触れる機会を持つよう関係府省とも連携して仕組んでいきたい。その時、みなさんにも実体験を伝えられるリーダーを育てておいてもらいたい。昨日佐賀県のクリーク公園に行った際、50年間そこに住み、今までかけて穀倉地帯を作ってきたおばあちゃんが自分の歴史をいきいきと語っていた。このようなことに対し、国などは施設の補助はできるが人的な資源に対してはそれぞれが取り組むしかない。それがないと歴史が途絶えてしまうことになるのでみなさんの時代を伝えていける人材を育てていくよう、切にお願いしたい。

(先方)そういう大切さはあると思う。一方、土地の流用(転用)がひどいがどう考えればよいのか。

(谷村)旧基本法では農地は、農業をやる人に集まり、規模拡大が出来るものと考えていた。しかし土地代が上がり、資産として重要になったことにより土地流動化が進まなかった。これは旧基本法の最大の誤算の一つであろう。一方で土地には公的財産として個人の権利を制限するという考え方もある。とはいえ実際私財であるのでどこまで制限できるのかという問題もある。また、農道の周囲は、1級農地として、本来転用せず農業基盤として重要なものであるが、農道を通すとその周りから転用されていってしまう傾向にある。かといって農道は必要であるので通さないわけにもいかない。この辺が我々としてもジレンマを持っているところ。最後は農家、地域の気持ちの問題。我々は枠組みや支援は行うがそれを受け取る側の気持ち次第であると思う。

(先方)それぞれがどれだけ大切に思うかということですね。

(先方)私はアジアの砂漠に緑をという運動をしている。ただ、今中国から野菜が入ってきて、自分の国が栄えていないのに技術、機械を持っていくのはどうかとも思っている。

(谷村)日本の機械は性能がよいということで中古を持って行っている。外国は農業技術を教えてくれと言ってくる。ただ、自分の国で食べる分は協力するが日本に輸出するためであればダメですよと言わなければならないだろう。一方のことだけを考えるものであってはいけない。お互いが共存するのが重要。そういうことを日本提案では言っている。輸出国からは批判を受けるほどの内容にしている。ただこれらの提案も全てが実現するかどうかは分からない。数年後、自分のポストに就いた者がその結果を伝えに来ることがあると思うが、できそうなことだけを言うのは昔のやり方。今は国際的に決まったから国内でやるのではなく、国内でやりたいから国際的な場で主張していく。その感触をみなさんに伝え、より主張するところ、妥協するところをみんなで考えていく時代。これは数年後に主張が実現できていないとの批判があるかもしれないが、しかし一緒に議論をして皆に理解してもらいながらやることで結果に対しても理解してもらえるのではないかと考えている。

(先方)このような会に参加し、みなさんが協力してやっているのを見て敬意を表します。日本農業に懸念を持っていたが、昔主婦会をしていた時には、消費者の間では安全・安心に関しての動きがあったが、生産者の動きはなかった。今では国、日本と外国との関係が変わり、外からどんどん物が入ってきている。レモンなどは薬を大量にかけて放置している。みなさんが自ら乗り出して子供の学校教育で安全について教えていくことが一番大事。もう少し農協などがそれに携わってもらわないといけないのではないか。とにかくいい勉強になった。頑張ってください。

意見交換会の様子(先方)大事な話であり、勉強になった。まずは、朝ご飯でコメ・野菜・みそ汁を食べようと思う。それが第一歩となるのではないかと思う。

(先方)学校給食に野菜を出している。子供達にどのメニューが好きかアンケートをしてみるとみそ汁・ほうれん草のお浸しが出てくる。野菜・豆腐・魚・いりこ等地元でとれた物を出している。コメも地元でとれる物を出すことになった。これがかなり人気が出てきて福岡市内から引っ越してくる人もいる。私自身には後継者はいないが、子供達に農業の良さを伝えていきたい。

(谷村)地の物はおいしいに決まっている。食べれば分かる。大人が子供にその機会を与えてやらねばならない。そうすれば、色の付いていない子供が判断すると思う。このような活動が行われていることはありがたい。心強い。

(先方)最後に若い方からも一言づつどうぞ。

(村山)私は、農水省に入省してから3年目になります。現在の課に来てからまだ1年に満たないのですが、日々の仕事におわれ、口では農業の重要性、食品の安全性を守るといっていながら、自分自身の問題として本当の意味で実感することがありませんでした。しかし、私ごとですが、昨年子供が産まれ、この子には本当に体にいいもの、本当の美味しいものを食べさせてやりたいなと思えるようになりました。そんな折、みなさんがやっていた「1万人の声はがき運動」のはがきを読み、「21世紀の子供たちへ安全な食を」など切実な思いによって、自分の気持ちが更に刺激を受けました。それがきっかけで、今回このような機会を持つことができたのですが、はやりその方法、過程は違えども向かうところは同じだなとペーパーでは伝わらない思いを身をもって感じることができました。是非、今後も、この会の担当としてはこのような会を継続していきたいですし、一緒に取り組んでいければと思います。

(植竹)自分は昨年の4月に入省し一年目です。東京生まれの東京育ちで、農業というものを間近で見たことがありませんでした。今回、こちらに来て農業を間近で見ることができとても良かったと思います。厳しい現状のなかでも一生懸命頑張っている人たちに出会い色々な意見を聞くことができました。今までは、野菜なんてみんな同じだろうと思って安い方を買っていましたが、自分の目で農家の方々の一生懸命な姿、野菜に対する一生懸命な気持ちを聞き、ただ安いだけではなく安全性や農家の方々の気持ちが入っている日本産の野菜を買おうと思いました。自分はこちらに来ていろいろなものを見ることができたのでこう思いました。なので自分のような農業にふれたことのない人たちも、こういう経験ができればきっと自分と同じようなことを思うのではないかなと思います。若干ではありますが本当に初めて農業の現場を垣間見ることができ、とても良かったと思います。

-大臣からの手紙を手交-

手紙を手交(以上)

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大臣官房国際部国際政策課対外政策調整室
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