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農林水産省

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WTO農業交渉日本提案説明会の概要(関東農政局)

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日時:平成13年2月13日(火曜日)14時00分~16時00分

場所:さいたま新都心「ラフレさいたま」3F多目的ホール櫻

出席者:地方公共団体、生産者、消費者、食品産業事業者、関係団体等218名

 

関東農政局角企画調整部長より、WTO農業交渉日本提案の概要等について説明後、以下のような意見交換が行われた。

~質疑応答~

(消費者団体)
ミニマムアクセスの削減問題で、米と麦の一体化論がよく言われるが、そういうことも念頭に置かれるような対応をとられるのかどうかについてお伺いしたい。もしとられないのであれば、その理由はどういうことなのか。

(農政局)
現在、提出している農業交渉日本提案では、個別品目毎の具体的な数量には一切触れておらず、新たな農産物貿易のルールの枠組みの提案しか示していない。個別品目についてどうするかというところまではいっていない。UR合意の時には、国内支持について米麦一体論の議論があったように記憶しているが、全農産物をまとめたAMSになったので、米麦一体という結果にならず、全農産物でAMSを決定した経緯がある。

ご関心のあるのはアクセス数量の件だと思うが、これを具体的に詰めていく段階で、それぞれに関心国があり、米についてはアメリカ・中国・タイ・オーストラリアが日本に米を輸出している。長いUR合意農業交渉の経緯、その決着等からかんがみると、米と麦をセットにするのは難しいのではないかと考える。むしろ日本政府がその交渉提案をまとめる過程で、米の現在のアクセスの7.2%をどうするのかという議論を国内で盛んにやっていた経緯からすると、米は米ということになろうかと思う。麦は麦で、カレント・アクセスということで、交渉でいろいろな議論が行われていくのではないかと考える。

結論としては、米麦一体ではなく米は米、麦は麦ということで具体的な中味に入っていくのではないかと考える。パンフレットの27頁、(2)の[3]のイ「関税化の特例措置を適用した品目――国際的には日本の米も入っているが――にあっては、実施期間中に関税化された場合にも、それまで加重されていたアクセス数量が将来にわたり継続されるという問題があり、その改善を行う。」という提案をしているということからも、なかなか一体論にはならないのではないかと思う。

(消費者団体)
それに関連して、米のアクセス数量の削減目標というのは、今回の段階ではまだ明確化されない削減という形ではあるかと思うが、念頭に置かれている数字等を教えていただければ。

(農政局)
現在、特に政府としてきちんとした数字はない。繰り返しになるが、アクセス数量については現在の制度に関する指摘を3~4点して、アクセス数量を削減できる枠組みをつくるという方向にもっていきたいという提案。現在、具体的な数値について、公式に政府で言える状況ではないということでご理解いただきたい。

(農民運動団体)
今、農産物の価格が大きく暴落する中、農家が自殺するという状況も生まれている中で、農家の所得を確保するという点から見て、やはり日本提案は非常に弱腰だと思わざるを得ないという点で、意見を述べさせていただきたい。

一つは、ミニマムアクセスについてである。この提案の中味でも「輸出国には輸出する自由も輸出しない自由もあるけれども、輸入国にはそうした自由が認められていない」ということが言われた上で、「これを改善する必要がある」と述べられているが、もし本当にこの自由を確保するという点に立つならば、改善ではなくミニマムアクセスの廃止がどうしても必要だと思う。今回この提案の中では、一つは消費量の変化ということと、関税化したことによってミニマムアクセスの率が下がるということで削減を求めている。先ほど、政府としての数値はない、と言ったが、私たちが試算したところでは50万トン、今の72万トンから20万トン程度減る数字だと思う。50万トンと言えばミニマムアクセスが最初は40万トンだったわけだから、その水準にすら達しない下げ幅しかないということだと思う。今、米価の暴落で困っている農家のことを本当に思うならば、WTO協定の抜本的な改正を求めるのが日本政府の立場だと思う。

もう一つは、セーフガードの発動についてである。今、ご説明があったように、セーフガードの発動は早くて4月過ぎである。先日、ある農協の組合長さんの話をお聞きしたが、「今、政府が求めている資料を作成するためのデータはあるけれども、書き写すだけでも4人で1週間かかる。実際にこの資料を提出してもセーフガードが発動されるかどうかはわからない。」と憤っていた。先ほどの説明では、今やっている措置は国内法令に基づく手続きである。この手続きをもっと簡素化して発動するということが本当に農家を守っていく立場でもあるし、セーフガードを主張していく国の立場だと思う。

最後に、今、農産物価格が冷害等で高騰している。これはもとを正せば農産物価格の大暴落によって農家の生産意欲が薄れている、基本的な生産力が落ちているということである。したがってそういう政策は農家だけでなく消費者の利益にもつながらないということを付け加える。

(農政局)
ミニマムアクセスを廃止してはどうかという議論は、確かにある。ただ、ミニマムアクセスのルールについては、93年12月のURの最終合意ということで国際的に確立されたことである。これは当時、協定を締結するときに、全加盟国が結果的には賛成して結ばれているということであるので、こういう国際的に統一されたルールを改定することは極めて困難ではないかと考える。

わが国はミニマムアクセスを受け入れる時に、同時に枠外税率として内外価格差は切り込まない形で、99年4月に350円/kgだったと思うが、高い関税をセットした経緯がある。ミニマムアクセスの分についても、マークアップ上限値、290円/kgぐらいのマークアップを取れるという措置を取っているし、また国家貿易の仕組みも残すということで導入した。この議論を始めると、関税について代償措置を取らされる等、様々な問題点もあり、提案としてはミニマムアクセスの数量が削減できる仕組みをまず国際的に理解していただいてルール化した上で、具体的な数値の議論に入っていこうということであり、これを全く廃止するということについては、国際的にはあまりにも反響が大きすぎるのではないかと考えている。

セーフガードについては、現在かなり綿密な調査をしている。なぜ綿密な調査をやっているかというと、セーフガードを発動したあとにわが国のセーフガードに反対する輸出国のほうから、「セーフガードに根拠がないのではないか」という反論が予想されるからである。反論が出るかどうかはわからないが、予想はされることから、そういう場合に備えてデータを整備していこうということで、現在調査している。国内法令の簡素化の話については、前回、本省針原国際経済課長からもご説明があったが、国内法令の簡素化の余地があるかないか、農林水産省も経済産業省なり財務省と協議をしているという話は伝えられている。

(農民運動団体)
一言、やはり農水省というのは本当に農家の現状を知らないと思う。米価の暴落によって、あるいは野菜価格の暴落によって、本当に農家の中には自殺者が出ている。そういう状況を本当に見て欲しいと思った。

(東京都)
二点質問したい。

一つは、今日のテーマも「WTO農業交渉」とあるが、WTO自体が合意に至らなかったという中、農業交渉が農業の特質性を説明し、日本としての全体的な説明では、一方で「工業製品の非関税障壁を撤廃するのだ」という議論がある。農業交渉についてこういうかたちで私どもに説明される中で、私自身も農業に携わっているが、WTO全体の目的と農業が持つ関わりがどうも十分に説明されていないと私自身は思っている。まさしく省庁が再編される中で、日本の政府としてWTOの中で農業をどういうふうに位置づけるかということをもう少し教えていただきたい。

もう一点は、東京都も多面的な機能ということで、農業について都民の方等々の支持を求めるかたちで説明しているが、率直に言って多面的機能というのがアメリカやケアンズ・グループに受け入れられないというのは、「受け入れがたい」という言い方だと思うが、具体的にどういう点が問題になるのか。例えば今、農水省は学術会議のほうに多面的機能の数量的あるいは貨幣的な試算を求めているとは聞いているが、価値がある哲学的な議論がされるのか、それと代替不可能な議論とされるのか。「受け入れがたい」という側面をどういうふうな理由としてお考えなのかを教えていただきたい。

(農政局)
まずWTOの中の農業の位置づけであるが、WTOは前回のUR合意の時に、公共的な国際機関をつくろうということでWTOができている。WTOの交渉分野はいくつもあり、前回のUR合意では確か14か15の交渉分野があった。WTO全体は、世界の貿易を発展させていこうという狙いもあるが、わが国では農業については多様な農業の共存を求めていこうということで、農業の在り方として、先ほど説明したような農業には多面的機能があるのではないか、人口問題等もあり、食料の安全保障についての配慮も必要だということで、これらを配慮した上で今後の貿易の枠組みをつくっていこうと考えている。

多面的機能についてケアンズ諸国等が受け入れがたいということであるが、「受け入れがたい」と言っているのはケアンズ諸国であり、彼らは「多面的機能という概念や内容が明確でないのではないか」ということを主張しているようである。もう一点、先ほどは説明しなかったが「多面的機能の発揮」について、各国は、貿易歪曲的ではない方法で実現すればいいのではないかという主張も、併せてしている。

「受け入れがたい」ということについては、概念が明確ではないということを言っているので、これについては先ほど説明したように、OECDでここ数年来議論が進められており、近くこれらの諸国を含めたかたちで国際的なコンセンサスを得ていこうということになっている。「受け入れがたい」根本については、これは個人的な話になるかもしれないが、多面的機能を受け入れてしまうと、当然のことながらそれに配慮していこうということであり、輸出国としては輸出機会が奪われるのではないか、あるいは輸出機会が減るのではないかということで、恐らくそういう国益も背景にあって、多面的機能の概念がまだ国際的にきちっとしていないというところを突いてきているのか、ということだろうと思う。農林水産省として日本学術会議にも諮問しているが、これは多面的機能について第三者機関、必ずしも農業の色がついていない格式の高い会議でご議論いただき、その議論の結果を待ちたいということで諮問しているということである。

(消費者団体)
今の農業の多面的機能の議論について、ケアンズ・グループからの反論ということもそうだが、これからの交渉の過程の中で、日本政府内の足並みの乱れが起きてくるという不安も私どもは感じている。例えば自由貿易ということでメリットを感じている省庁、あるいは利害関係の方からすれば、農業の多面的機能ということでいつまでも各国の批判を浴びているようでは交渉が進展しないから、ある程度おろす部分もあり得るのではないかという感じもしてしまうが、消費者側の立場としては、食品の安全性の問題やこういった農業の持つ重要な機能ということは最後までおろして欲しくないと感じている。

この問題について、交渉の過程の中で絶対に最後までおろさないというおつもりがあるのかどうか、そういう心意気をぜひお伺いしたい。

(農政局)
多面的機能について国内で異論があるのではないか、それが日本の交渉の足を引っ張るのではないか、という趣旨の質問かと思う。この交渉をまとめるにあたっての世論調査の結果を前回ご説明したと思うが、この提案自体、国内の関係省庁で十分協議して決めたものである。足並みの乱れということは前回のUR交渉時にはずいぶん言われたが、今回は幅広く議論しているし、関係省庁とも十分協議をしているので、足並みの乱れはなかろうかと思う。もし万が一あったとしても、多面的機能についておおいにPRをしていかなければいけないということで、今回はあまり心配ないのかと思っている。むしろ輸出国の理解を十分得られるかどうかということのほうが大切だと思っており、これについては現在も精力的に行われている。各国に出向いてわが国の実情なり多面的機能の具体的な説明をされているようで、各国の理解を得て交渉を進めていかなければいけないということだと考えている。

(公益法人)
日本の提案の中に、例えばアメリカのマーケティング・オーダー、あるいは輸出保証制度は入っているのか。これは非関税障壁というSPSとは別のものなので、そのへんが入っているのか入っていないのか、教えていただきたい。

例えば、日本からアメリカに農産物を輸出する場合に、アメリカ国内の品質規格にあわないと輸出できないシステムはある。果物では、アメリカ国内の規格にあわないものは一切輸入できないということが品目によってあるが、それは独特の制度である。それが前回のWTO協定でもいろいろ問題になったが、大きくはならなかったという話が一点ある。二点目は、開発途上諸国に農産物を輸出した場合、代金を回収できなかった場合は日本の貿易保険とは別に全額農務省が輸出者に金を払う制度がある。それがここの中の輸出規律、あるいは国内支持の中でどういうふうになっているのかを教えていただきたい。多分入っていないのではないかと思う。回答は、今この場でなくても結構だが。

(農政局)
輸出信用に関する規律の強化ということで、アメリカの穀物商社が輸出する場合、米国内で信用保険制度というものがあり、これが各国から批判されているということで、この規律を強化していこうということが一つの提案としてある。

前者の規格については後日ご回答したい。

<2月13日説明会における質問に対する回答(未回答分)>

  • アメリカにおける輸出規格について
    規格については、WTO農業協定ではなく、「貿易の技術的障害に関する協定」(TBT協定)に規定されている。
    この協定では、「加盟国は、国際貿易に対する不必要な障害をもたらすことを目的として又はこれらをもたらす結果となるように強制規格が立案され。制定され又は適用されてはならないことを確保する。このため、----(中略)----正当な目的の達成のために必要以上に貿易制限的であってはならない。」とされている。
    この協定の実施に係る問題については、TBT委員会で協議できることとなっているので、指摘のような問題についてもWTOの場で提起できるものと考える。
    なお、TBT協定の見直しについては、本協定には農業協定のように継続交渉に関する規定がないため、包括交渉が立ち上がった段階で交渉の対象分野となるかどうかが決定されるものと考えられる。(電話で口頭にて回答)

(以上)

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大臣官房国際部国際政策課対外政策調整室
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