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農林水産省

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WTO農業交渉についてご意見をお聞かせ下さい

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平成12年5月
農林水産省

本年から21世紀の農産物貿易ルールを決めるWTO農業交渉が始まりました。今後、年末までに各国から交渉についての提案を行うこととなっており、この提案の中では現行のWTO協定に関する論点ごとに我が国の考え方を具体的に示すことが必要です。

つきましては、農業分野におけるこれまでの各国の主張及び議論を踏まえ、農業交渉に関する論点を以下のように整理しましたので、これらについて皆さんの御意見を投書又はEメールでお聞かせ下さい。御意見は御関心のある項目だけでも結構です。なお、※で御意見を伺いたいポイントを例示しておりますが、これにこだわることなく、幅広く御意お聞かせ下さい。

また、以下の論点以外にも農業交渉に関する御意見があれば、お聞かせ下さい。


【項目】

  1. 貿易交渉における農産物の扱いについて
    農産物貿易の議論をするに当たり、農産物をテレビや自動車などの工業製品の貿易と同じルールで扱うべきといった意見があります。これは農産物の関税を将来はゼロにすることを目指して限りなく引き下げていくなど、工業製品の貿易と同様に自由化していくことを意味しています。
    これに対して我が国は、農業は人が生きるために不可欠な食料を生産する産業であり、また、食料供給を行う以外に自然環境や国土の保全といった役割も果たしており、工業と同様に扱うべきではないと主張しています。

    貿易交渉で農産物を工業製品と同様に扱うことの是非など。
  2. 農業の多面的機能について
    [1]農業の多面的機能への配慮
    農業は食料の生産供給以外に様々な役割、すなわち多面的機能を果たしています。ちなみに、この多面的機能とは、例えば、水田が雨水を貯めることによる洪水の防止や、ホタルやメダカ等が住む自然環境の保全、美しい田園風景の形成などのことです。
    このような機能は、お金で買えるものではなく、もちろん農産物と一緒に外国から輸入することもできないため、これらの機能を維持発揮していくためには国内の農業生産が将来にわたり継続されることが必要です。
    このため、我が国は農産物貿易については農業の持つ多面的機能に十分配慮して議論を行うべきと主張しています。
    これに対して、多面的機能はその概念規定や内容が明確でなく、農産物貿易の自由化を阻害するための議論であるとする意見があります。

    農業の多面的機能に配慮することの是非など。

    [2]食料安全保障について
    我が国は、どんな場合でも国内に食料を安定的に供給することが国の義務であること、人口の急増等により世界の食料需要が大幅に増加することや砂漠化の進行などにより食料増産にも限界があることなどを考えれば、各国が輸入に過度に依存することは問題であり、食料供給は国内生産を増大させることを基本にすべきと主張しています。
    これに対して、輸入国における食料の安定供給のためには、輸入先を多元化するなど安定した輸入を確保するための努力や貿易の自由化を推進し食料をいつでも買えるようにすることが大切であり、国内生産だけにこだわる必要はないとの意見があります。
    食料供給は国内生産を増大させることを基本とすることの是非や食料の安定供給が確保できる貿易ルールなどのあり方など。
  3. 多面的機能を有する農業に対する措置について
    今回の農業交渉では、農業に関する補助金や農産品に対する関税の削減のあり方について議論されます。
    我が国は農業に対する支援については各国の国土条件自然条件の違い、多面的機能の発揮の観点などを十分踏まえて検討を行い、各国の農業を将来にわたり維持していくための補助金や関税といった措置は認められるべきという主張を行っています。
    これに対して、農業に対する支援は競争力のない産業を保護し、貿易を歪めるものである、したがって農産物貿易はできる限り自由化すべきであり、農業に対する支援は削減撤廃すべきとの意見があります。

    補助金などによる農業に対する支援の是非や措置のあり方など。
  4. 輸出国と輸入国の権利義務バランスの回復について
    現在の農産物貿易ルールにおいては輸入国が輸入する農産物の数量を制限することは原則として認められていませんが、輸出国が輸出する農産物の数量を制限することは緩やかな規律になっているなど、輸出国の権利に偏っている点があります。
    我が国は、このような輸出国と輸入国の権利義務のバランスを回復することを主張しています。

    輸出国と輸入国の権利義務のバランスを回復させるための方法など。
  5. 途上国への特別な配慮について
    WTO加盟国の大半が途上国であり、途上国の事情に十分配慮し、途上国がWTO体制に積極的に参加できるような貿易ルールを構築することが重要です。
    我が国は、途上国について、その置かれた状況、ニーズに応じ、例えば、飢餓栄養不足問題を抱える途上国の食料安全保障問題の解決のための支援など特別な配慮を払うべきであることを主張しています。

    途上国へ特別な配慮を行うことの是非など。
  6. 食品の安全性など新たな課題への対応について
    我が国は、今回の交渉において、GMO(遺伝子組換え体)をはじめ、新たな課題について、食品の安全性、環境問題などの消費者を含む需要サイド(買う側)からの関心に適切に対応することが必要だと考えています。

    WTOで議論すべき新たな課題の内容や対応のあり方など。
  7. さらに、次のような事項について具体的な御意見があればお聞かせ願います。
    [1]国内農業助成に対する規律のあり方
    [2]関税やアクセス約束など国境措置のあり方
    [3]輸入急増による国内産業への悪影響を防ぐためのセーフガード措置のあり方
    [4]輸出競争など輸出国に対する規律のあり方
    [5]途上国のニーズ問題に対する配慮のあり方
  8. その他農業交渉に関する御意見等があればお聞かせ下さい。[募集終了]

(参考1)WTO農業交渉関連用語解説

WTO

世界貿易機関(World Trade Organization)の略。1995年1月に発足。2000年5月現在136ヶ国・地域が加盟。貿易に関する協定を管理運営するとともに、加盟国間の貿易交渉の場を提供する。

ウルグァイ・ラウンド農業合意

各国の農業政策に関し、国内支持、国境措置、輸出競争の3つの分野にわたり、1995年から2000年までの6年間にそれぞれの保護水準を引き下げることを約束している。

農業交渉

ウルグァイ・ラウンド農業合意における約束の実施期間は1995~2000年までの6年間であり、農業分野については実施期間の終了の1年前、すなわち2000年から次の交渉を開始する旨現行WTO農業協定第20条に規定されている。

  • 農業協定第20条    改革過程の継続(抄)
    加盟国は、根本的改革をもたらすように助成及び保護を実質的かつ漸進的に削減するという長期目標が進行中の過程であることを認識し、次のことを考慮に入れて、実施期間の終了の1年前にその過程を継続するための交渉を開始すことを合意する。

農業の多面的機能

農業が、農業生産活動に伴い食料生産供給以外に果たしている様々な役割のこと。
(例:国土・自然環境の保全、文化の伝承、食料安全保障    等)

国内支持

国内農業に対する補助金や価格支持。貿易や生産を歪める程度に応じて区分付けされ、削減の対象とするものとしないものに分けられている。

「緑」の施策

貿易や生産に対する影響がないか又は最小限と認められる施策であり、削減対象から除外。

「青」の施策

生産調整を前提とする施策であり、一定の面積頭数又は一定の生産水準の85%以下の生産について支払われる補助金であり、削減対象から除外。

「黄」の施策

削減対象外の措置を除く全ての国内支持。基準期間(1986~88年)の平均の助成合計総量を1995~2000年の6年間で20%削減することになっている。

国境措置

輸出入の際に講じられる措置のこと。ウルグァイ・ラウンド合意により数量制限等関税以外の全ての国境措置は原則として全て関税措置に置換えられた。(関税化)

アクセス水準

ウルグァイラウンド合意で関税化された品目のうち、基準期間(1986年~88年)の平均輸入数量が

[1]国内生産量の5%以上あったものはその平均輸入実績割当数量(機会)を維持すること(カレント・アクセス)

[2]国内生産量の5%未満だったものは、基準期間の国内消費量の95年には3%、以降毎年0.4%ずつ増加させ2000年には5%の最低限の輸入機会(ミニマム・アクセス)を提供することが合意された。

コメのミニマム・アクセス

コメについては、関税化の特例措置を適用したことにより、ミニマムアクセス水準は95年には国内消費量の4%、以降1998年まで毎年0.8%ずつ増加してきたが、1999年4月より関税措置に切り換えたことにより、毎年0.4%増加となり、2000年は国内消費量の7.2%(76.7万玄米トン)となった。

タリフ・ピーク

一定水準以上の高関税のこと。輸出国はこの大幅な引き下げを求めているが、国際的定義はない。なお、経済協力開発機構(OECD)の分析では、我が国の農産物のうち、関税率が15%を超える品目のシェアーは18%となっている。

ニューサンス・タリフ

一定水準以下の低関税のこと。輸出国は3%や2.5%以下の関税は保護機能が低く無意味であるとして撤廃を求めているが、国際的定義はない。なお、OECDの分析では、我が国の農産物のうち、無税を除いた関税率が5%以下の品目のシェアーは22%となっている。

タリフエスカレーション

加工度が高くなるにつれて、税率が高くなる関税構造。開発途上国は付加価値加工品の輸出を阻害するとして従来からその是正を求めているが、国際的定義はない。

マキシマム・タリフ

関税水準に上限を設定すること。ウルグァイ・ラウンド農業合意により関税化した品目については内外価格差を基に関税率を計算した結果、100%を超えるような高関税品目が出てきたため、輸出国を中心にマキシマム・タリフを設定すべきとの意見が出ている。

セーフガード

輸入急増による国内産業への悪影響を防ぐためにWTO協定で認められている緊急措置。農産物を含むモノ全般を対象とし、一定要件の下で関税引上げや輸入数量制限ができる「一般セーフガード」と、ウルグァイ・ラウンドで関税化した農産物だけを対象とし、一定要件の下で関税引上げができる「特別セーフガード」の2種類がある。

関税割当制度

一定の数量以内の輸入品に限り、無税又は低税率の関税(一次税率)を適用し、この一定量を超える輸入分については比較的高税率(二次税率)を適用する制度。

(参考2)農業分野に関する日本提案のポイント(1999年6月WTOに提出)

  1. 農業の多面的機能の重要性
    <主張のポイント>
    農業は、自然環境と調和した生産活動を通じて、国土や自然環境の保全、良好な景観の形成等人間の生活に欠くことのできない多様な役割、すなわち「多面的機能」を果たしています。
    この「多面的機能」は、それぞれの国において持続的に農業を営むことにより発揮されるものであり、貿易で確保することはできません。

農業の多面的機能は国際的にも認められています。

  • OECD農業大臣会合コミニュケ(1998年3月)
    「農業活動は、食料や繊維の供給という基本的機能を超えて、景観を形成し、国土保全や再生できる自然資源の持続可能な管理、生物多様性の保全といった環境便益を提供し、そして、多くの農村地域における社会経済的存続に貢献することもできる。」
  1. 食料安全保障の重要性
    <主張のポイント>
    平和を維持することと食料を安定的に確保することは、どの国にとっても、国民に対する国の基本的な責務です。
    したがって、世界のどの国でも、最低限必要と考える食料を得る権利、食料安全保障の重要性が認められるべきです。
    この場合、今後の国際的な食料需給のひっ迫の可能性や開発途上国の飢餓栄養不足問題を考慮すれば、それぞれの国において、その国の国内生産が基本とされるべきです。

食料安全保障は世界的な課題です。

  • FAO世界食料サミットにおける整理(1996年11月)
    「食料安全保障は、すべての人がいかなる時にも彼らの活動的で健康的な生活のために必要な食生活のニーズと嗜好に合致した、十分で、安全で、栄養ある食料を物理的にも経済的にも入手可能であるときに達成される。」
    「生産力の高い地域及び低い地域において、家庭、国、地域及び地球レベルで十分かつ信頼できる食料供給にとって不可欠で、(中略)持続可能な食料、農業、漁業、林業及び農村開発政策と行動を追求する。」

我が国は世界最大の農産物輸入国であり、先進国に例を見ないほど低い自給率となっています。

  • 主要国の農産物の純輸入額(1995年)

(単位:億ドル)

日本 ロシア EU(15ヶ国) ドイツ イギリス イタリア
394 111 103 182 97 90

  • 人口1億人以上の国の穀物自給率
国名 人口 穀物自給率
中国 12.4億人 94%
インド 9.6億人 100%
EU 3.7億人 126%
米国 2.7億人 138%
インドネシア 2億人 91%
ブラジル 1.6億人 85%
国名 人口 穀物自給率
ロシア 1.5億人 93%
パキスタン 1.4億人 104%
日本 1.3億人 28%
バングラディシュ 1.2億人 89%
ナイジェリア 1.2億人 94%

注:日本は1997年、EUは1992年、その他は1996年の数値。

農業生産は、次のような特質から、その需給は不安定になりやすいものです。
[1]土地条件や水利、気象といった自然条件の制約を強く受ける。
[2]生産量が変動しやすい。
[3]生産に一定の期間を要し、生産物の貯蔵性も乏しいことから、需給事情の変動に迅速に対応することが困難。

中長期的な世界の食料事情はひっ迫の可能性があります。

  • FAOによる食料需要の予測(2050年/1995年)

(単位:倍)

  アフリカ 中南米 アジア 北米 途上国 先進国 全体
人口の増加 3.14 1.80 1.69  1.31 1.95 1.02  1.76
食生活の変化 1.64 1.07 1.38 1.00 1.40 1.00 1.28
全体 5.14 1.92 2.34 1.31 2.70 1.02 2.25

資料:FAO「食料需要と人口増加」(1996年)

世界の耕地面積が今後大幅に増加する可能性は低いといった観点からも、
輸入国において可能な限り国内生産力を維持することは重要です。

  • 世界の耕地面積及び穀物収穫面積はほぼ横ばい
耕地面積 12.7億ha(1961~63年)→13.6億ha(1994~95年)
穀物収穫面積 6.5億ha(1961~63年)→7.0億ha(1994~95年)

(FAO資料)

  • 過度の放牧、森林の過伐、塩類集積による砂漠化の進行
合計 500万ha/年以上
うち、かんがい農地 100~130万ha/年
天水農地 350~400万ha/年

この他、放牧地でも多くの面積が砂漠化している。

(UNEP(国連環境計画)報告(1991年))

  1. 輸出国と輸入国間の公平性
    <主張のポイント>
    ウルグアイ・ラウンド農業合意により、輸入国には多くの義務が課せられ、国内需給の状況にかかわらず輸入数量を制限することは原則として認められていませんが、輸出国には輸出数量制限の規律が緩やかであること等、現行のWTO農業協定は公平性を欠いています。
    こうした状況を見直し、輸出国と輸入国間の公平性を回復することは、世界のいずれの国にとっても公平で公正な貿易ルールを構築する上で不可欠です。

現行の農業協定の規律は、輸出国側に偏った内容となっています。

  • 輸入側と輸出側の規律に関する対比表
  輸入側 輸出側
関税削減率 輸入関税は農産物全体で平均
36%(品目ごとに最低15%)削減を約束。
輸出税に係る削減義務なし。
輸出入の数量制限 輸入数量制限等は原則として認められていない。 輸出禁止・規制は一定の条件のもと存続。
アクセス機会の提供 輸入実績が国内消費量の5%以下の産品について最低限の輸入機会を設定。 義務なし
輸出補助金   財政支出額で36%削減、対象数量で21%削減。
ただし、毎年の削減率について柔軟性をもたせる。

 

輸出国による輸出禁止措置、輸出税は現在も存続しており、輸出国側の事情により発動されています。

  • 米国の輸出禁止・規制の仕組み
根拠法 発動理由 輸出禁止事例
1979年
輸出管理法
  • 安全保障上の理由がある場合
  • 外交政策上の理由がある場合
  • 国内で供給不足の場合
  • 大豆及び大豆製品の輸出禁止(1973年)
  • 旧ソ連、ポーランドに対する小麦の輸出規制 (1974年、75年)
  • 旧ソ連に対する穀物の部分的輸出禁止(1980年)
  •  輸出税の実施の事例
国名 品目 実施期間 背景
インドネシア パーム油 98年4月~ ・国内相場不安定
国内における不足
アルゼンチン 大豆 95年1月~ ・国内の供給確保
(製品である大豆油には輸出税は課されていない)
牛皮 92年5月~99年12月 ・国内の供給確保
  1. 途上国への特別な配慮
    <主張のポイント>
    多様性と共存の時代である21世紀においては、それぞれの国の置かれた状況やニーズに配慮した対応が大切です。
    特にWTO加盟国の大半を占める途上国については、輸出先進国とは異なる立場を理解していく必要があります。例えば、飢餓・栄養不足問題を抱える途上国の最優先の政策課題である食料安全保障問題の解決のため、途上国の国内の食料生産能力向上に向けた取組みへの支援は欠かすことができないものです。
    この交渉では、途上国に対する支援を含め特別な配慮を払うことにより、先進国と途上国との間の公平性を図り、途上国がWTO体制に積極的に参加できるような貿易ルールを構築することが必要と考えます。

今回の交渉において途上国に配慮した対応を行うことは、WTO農業協定第20条にも明記されています。 

  • 農業協定第20条(抄)
    「加盟国は、根本的改革をもたらすように助成及び保護を実質的かつ漸進的に削減するという長期目標が進行中の過程であることを認識し、次のことを考慮に入れて、実施期間の終了の1年前にその過程を継続するための交渉を開始することを合意する。

(c)非貿易的関心事項、開発途上加盟国に対する特別のかつ異なる待遇、公正で市場指向型の農業貿易体制を確立するという目標その他前文に規定する目標及び関心事項 」

WTO加盟国の約4分の3は途上国が占めており、途上国の事情に十分配慮した貿易ルールを構築することは、WTO交渉全体を成功裡に導くために不可欠です。 

  • WTO加盟国数(2000年5月現在)                                         136ヶ国
    そのうち、農業協定上途上国待遇となっている国数    約100ヶ国

開発途上国を中心とした人口増加、栄養不足人口の状況は極めて深刻です。我が国は主要先進国のうち最大の農産物純輸入国として、途上国と共通の課題を抱える食料輸入国の代表という認識を持って交渉に臨みます。

  • 開発途上国を中心とする人口増加
    (1996年国連人口推計)
    1950年 1998年 2010年 2025年 2050年
    25億人→ 59億人→ 69億人→ 80億人→ 94億人
  • 開発途上国においては依然として多数の栄養不足人口が存在
    栄養不足人口    7億9千万人(1995/97年)
    (FAO資料)
  1. GMO等新たな課題への対応
    <主張のポイント>
    近年、遺伝子組換え体(GMO)を含む食品の安全性、環境問題等に対する消費者の関心が高まっており、これら新しい課題に適切に対応していくことが不可欠です。
    例えば、遺伝子組換え食品の取扱いについては、その生産や輸出入、表示、権利保護等多くの課題が生じています。
    このような市民社会の関心が高く、ウルグァイ・ラウンド交渉時には想定していなかったような課題については、現状分析、問題整理を多角的に検討するための場を設置し、幅広い視点から積極的に取り組んでいく必要があります。

遺伝子組換え作物の生産は、ウルグァイ・ラウンド合意後の96年以降急増。その栽培は、米国、アルゼンチン、カナダの3ヶ国に集中しています。 (全体の99%、うち74%)

  • 世界の遺伝子組換え作物の栽培面積の推移

(単位:万ha)

  1996年 1997年 1998年
面積 170 1,100 2,780
  • 米国、カナダにおける遺伝子組換え作物の栽培状況(種子の販売状況から推定)

[カナダ]

作物名 作付面積(万ha) 全作付け面積に対する割合(%)
ナタネ 1997 約96 約20%
1998 約200 約38%

[米国]

作物名 作付面積(万ha) 全作付け面積に対する割合(%)
大豆 1997 約320~400 約11~14%
1998 約800 約27%
トウモロコシ 1997 約240 約7%
1998 約750~1,100 約23~34%
  • ウルグアイ・ラウンド農業合意の概要
    ウルグァイ・ラウンド農業合意においては、各国の農業政策に関して、国内支持(農業補助金等)、国境措置(関税、輸入制限等)、輸出競争(輸出補助金)の3つの分野について、実施期間(1995年~2000年までの6年間)中に、保護水準を引き下げていくことを約束している。
政策分類 削減対象 削減方式(1995年~2000年の6年間で実施)
国内支持 価格支持
補助金等
全ての国内支持を生産を刺激するか否かに応じ、削減対象外となる政策(「緑」の政策及び「青」の政策)とそれ以外の削減対象となる政策(「黄」の政策)に区分し、「黄」の政策について助成合計総量を計算し、実施期間中に20%削減
国境措置 関税 原則として
ア.輸入数量制限など全ての関税以外の国境措置を
イ.内外価格差を基に関税相当量を計算し関税に置換え。
       ※農産物全体で平均36%(品目毎に最低15%)削減

<最低限の輸入機会の設定>
基準期間(1986~88年)における輸入実績がわずかな農産物について、最低限、実施期間の1年目に国内消費量の3%、6年目に5%のミニマム・アクセス機会を設定。

輸出競争 輸出補助金 金額で36%、対象数量で21%削減(我が国はなし)

(注)我が国の場合、基準期間の輸入実績が3%未満である品目はコメだけであったため、コメについてのみミニマム・アクセスを設定。
なお、コメについては、関税化の特例措置を適用し、これによりミニマム・アクセス機会は実施期間の1年目に国内消費量の4%、以降1998年まで毎年0.8%ずつ増加してきたところであるが、これを1999年4月1日より関税措置に切り換えたことにより、毎年0.4%増加となり、2000年の水準は国内消費量の7.2%となった。

お問合せ先

輸出・国際局国際戦略グループ

ダイヤルイン:03-6738-7891