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農林水産省

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環境との調和に配慮した事業実施のための調査計画・設計の手引き(第3編)『ほ場整備(水田・畑)』

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はじめに

第1章 目的と取り扱う範囲(PDF:64KB)

手引き(第3編)では、水田のほ場整備において環境との調和への配慮を行うための調査計画、設計、施工、管理の基本的考え方と留意事項、畑におけるほ場整備の環境配慮のポイントについて取りまとめている。

環境との調和に配慮した整備は、地区ごとの自然的・社会経済的・文化的条件が異なること、実施事例の蓄積が十分でないことから、現時点では基準とするのではなく、地域特性に応じて弾力的に運用することを前提とした手引きとして取りまとめることとした。


第2章 一般的事項(PDF:1,793KB)

水田の特徴

水田は、田面、畦畔、水稲の植生など空間的に様々な環境が存在し、さらに、周辺の用排水路やため池、雑木林等と有機的につながっており(ネットワ-クの形成)、様々な水生生物の産卵場所や生息場所として利用されている。

また、水田特有の水環境と農作業による人為的攪乱に適応した固有の植物が生育している。

農村地域の生態系の現状

ほ場整備は、農業生産性の向上等を通じて持続的な農業生産活動の継続を可能とし、多面的機能の発揮や耕作放棄の防止などに寄与している反面で、生態系に影響を及ぼしている。

一方では、耕作が放棄されて農地等の維持管理がなされなくなると、農地の多面的機能の低下、病虫害や鳥獣害発生の原因にもなり、周辺環境にも影響を及ぼす。

さらに、近年問題となっている外来種についても、農村地域の生態系に影響を及ぼしている。

環境に配慮したほ場整備の考え方

ほ場整備は、農地等の区画形質の変更を中心に、水路、道路等のほ場条件を総合的に整備するもので、未整備地区、整備済地区(再整備または更新整備)、あるいは傾斜地などの条件に応じて整備の方法が異なる。

未整備地区でのほ場整備は、現在の豊かな自然環境を大幅に改変することから、環境への影響をできる限り小さくする対策を検討する必要がある。また、整備済地区(再整備及び更新整備)のほ場整備に当たっては、かつて損なわれた自然環境を回復する対策を検討することも重要である。

環境配慮に当たっては、農業生産性の向上など事業の本来目的を踏まえた上で検討を進めることが重要であるとともに、ほ場整備は、農家の私有地である農地を対象とすることから、早い段階から関係農家の理解と合意を得ることが不可欠である。また、地域住民の積極的な参加を促し、地域が一体となって環境配慮に取り組むことが重要である。


第3章 調査、計画(PDF:1,465KB)

調査計画に当たっての基本的な考え方

地域の自然環境への影響をできる限り軽減し、積極的に生態系・景観等の保全や環境条件の改善に資することを目標として、環境情報を効率的に把握し、適切な環境配慮対策を検討することが重要である。

調査計画を進めるに当たっては、農家を含む地域住民等及び有識者などの多様な主体の参加及び合意形成の重要性を認識し、早い段階から体制整備を行うことが望ましい。

調査に当たっての検討事項

地域における生態系や景観等の特徴、事業実施が及ぼす影響の内容及び程度、地域環境ビジョンなど、環境配慮対策の検討に必要な情報を調査する。調査では、有識者の指導・助言、農家を含む地域住民等の意見を踏まえ、「概査」と「精査」を効率的かつ効果的に実施し、計画策定に必要な情報を把握する。

計画に当たっての検討事項

ほ場整備における環境配慮計画では、調査結果を踏まえ、環境保全目標の設定 → 保全対象生物の設定 → エリア設定 → 具体的な配慮対策の検討(区画計画、用水計画、排水計画、農道計画)→ 環境配慮に係る維持管理計画の策定の順に行う。また、地区全体の生態系ネットワ-クを捉え、生態系に配慮した区画の配置や規模の設定を行う。

エリア設定に当たって は、良好な環境が存在する場合には影響を回避するための「回避エリア」を設定するほか、損なわれた環境を回復する「回復エリア」など、地域特性に応じて必要なエリアを設定し、環境配慮対策を検討する。

環境配慮対策に係る合意形成を関係者間で十分に行った上で、将来的にどのような体制、手法、費用負担によって維持管理を行うかを検討する。

検討した環境配慮対策の基本思想や保全対象生物設定の考え方などを設計施工担当者に引き継ぐため、計画とりまとめと合わせて地区の環境配慮指針を作成する。なお、本指針については、施工や維持管理等の段階において、現場状況等に応じて適宜見直しを図り、内容の充実を図る。


第4章 設計、施工(PDF:390KB)

設計に当たっての基本的な考え方

環境との調和に配慮した設計に当たって は、安全性、効率性、維持管理作業性及び経済性などを十分に検討した上で、生物の生息・生育環境や景観の保全等を考慮した区画計画や施設整備計画の実現をめざす。

環境配慮に当たっては、特に「簡易な整備・直営施工を考慮した設計」、「自由度の高い設計」、「モニタリングを考慮した設計」などの点を工夫する。

設計に当たっての検討事項

計画段階で設定された基本事項を踏まえ、個々の現地条件から設計条件を設定し、(1)安全性、(2)経済性、(3)維持管理作業性等を踏まえた上で、保全対象生物の生息・生育環境や景観の保全等に配慮した区画計画と農道・用排水路等の施設設計を行う。

施工における留意事項

環境に配慮した施工に当たって は、「施工時期の工夫」、「生態系に配慮した段階的な施工」、「環境配慮対策の施工関係者への徹底」、「農家を含む地域住民等による施工」等について留意することが必要である。


第5章 維持管理、モニタリング(PDF:81KB)

環境に配慮して整備された水田が、多様な生物の生息・生育の場として機能していくためには、営農の継続とこれを支える維持管理が不可欠であり、維持管理計画に基づき、農家を含む地域住民等の参加及び関係機関等との連携による維持管理を持続的に行うことが望ましい。

モニタリングは、維持管理や環境学習の一環として行い、保全対象生物の生活史を十分に考慮した時期・場所を選定し、定期的・継続的に実施することが望ましい。また、モニタリング結果については、当該地区の施工、維持管理に反映させると同時に、新たな計画策定にも利用する。


第6章 畑における環境配慮の考え方(PDF:1,514KB)

畑の特徴

畑に生息・生育する生物は、畑の農作物や周辺の地形、植生などを含めた自然環境に適応している。特に、水田地域に分布している畑には、水田や周辺にあるため池を生息・生育空間にしている生物種が見られる。

畑におけるほ場整備と環境配慮

畑は水田の場合と異なり、ほ場に水辺空間が形成されないことから、ほ場整備における環境配慮についても陸生生物を中心に検討を行い、水路部分については条件に応じて水生生物への配慮も検討する。また、防風林や農道沿いのグリーンベルトなどの設置により景観に配慮することも重要である。一方、環境配慮の検討に当たっては、鳥獣害による被害発生又は拡大に留意しながら進めることが必要である。

 

参考資料(PDF:4,818KB)

 

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