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農林水産省

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久万盆地に農業用水を引いた山之内彦左衛門

岩山を切り開いた用水路

愛媛県久万高原町
1614年(慶長19年)~1698年(元禄11年)

仰西渠の取水口
仰西渠の取水口

トンネル内部
トンネル内部

久万盆地を流れる久万川は、深い谷となっているため、そのままでは水田に水を引くことが出来ず、人々は川の上流にせきをつくり、そこから数十もの「掛樋※」を連ねて農業用水を引いていました。ところが、台風や大雨の洪水によって、掛樋はたびたび流されました。その修理に多くの日数をかけていたのでは、稲は枯れてしまいます。江戸時代の農民は、重い年貢(税)を納めなければならず、急いで掛樋の修理をするのですが、その苦労は大変なものでした。

この苦しみから人々を救うため、商家山田屋の主人山之内 彦左衛門(後に仏門に入り仰西と名のる)は、掛樋の代わりに岩山を切り開いた用水路をつくる工事に着手しました。彦左衛門は、私財を投じて、岩を掘るときに出来る石粉1升と米1升を交換するという約束で多くの人夫を雇いました。

岩山は安山岩という固い岩で、半日で1升の石粉が出来かねるという大変苦しい工事でしたが、 3ヶ年の歳月をかけて、幅1.2メートル、深さ1.5メートル、長さ57メートル(途中約12メートルはトンネル)の水路が完成しました。
この水路は「仰西渠」と呼ばれ、この用水路により、米の収穫量は安定し、新たに多くの水田が出来ました。仰西渠は、現在も当時そのままの姿で残っており、今なお40ヘクタールの水田を潤しています。
掛樋:水を通すために木のしんをくりぬいた樋(とい)を地上に設けたもの。

参考情報

  • 参考文献:仰西(山之内仰西翁300年誌)、愛媛の土地改良史
  • 施設位置:久万高原町西明神

担当

愛媛県 農林水産部 農業振興局 農地整備課 計画係
TEL:089-941-2111(内線2539)
FAX:089-912-2534

お問合せ先

農村振興局整備部設計課

代表:03-3502-8111(内線5561)
ダイヤルイン:03-3559-6338
FAX:03-5511-8251