更新日:平成16年11月4日
平成15年度農産物安全対策業務調査点検結果の概要について
この度、平成15年度の調査点検結果を取りまとめましたので、お知らせします。 なお、この結果については、別途都道府県等に通知し、農薬の適正使用の推進に向けた農家等への指導に活用していただくこととしています。 |
1. 使用状況調査
(1) 調査方法
農産物販売農家3,820戸を対象として、地方農政事務所等が農薬使用記録簿を配布し、農家に農薬の使用状況を記帳してもらい、農産物の出荷時期に農薬使用記録簿を回収した。農薬使用記録簿に記帳された内容を基に、使用された農薬の適用農作物、使用時期及び使用回数に不適正な事例がないか確認を行った。
(2) 調査結果(別表1(PDF:8KB))
- 不適正使用のあった農家
調査対象とした3,820戸の農産物販売農家のうち80戸の農家において、何らかの不適正な使用が認められた。 - 不適正使用が多く認められた作物
調査農家数の多い農作物のうち、不適正な使用が認められた農家数の割合が相対的に高かった農作物は、にんじん、はくさい、きゃべつ、ほうれんそう及びだいこんであった。 - 使用できない作物への不適正な使用の事例
農薬登録上適用がない農作物に対して農薬を使用した農家が25件あったが、いずれの事例においてもラベルに表示された適用農作物の確認を行わず農薬を使用したことが原因であった。
また、このうち16件は、
ア 使用した農薬と同一の有効成分を含有する他の農薬には、使用する農作物に適用があること(9件)、
イ 使用した農薬には、同じ科に属する農作物に適用があること(10件)、
等により、適用があるとの思いこみから確認を行わなかった事例であった。 - 使用時期が不適正であった事例
ア 農薬使用後の経過日数を確認せずに農作物を収穫し、出荷した農家が19件、経過日数の起算日を誤った農家が2件あった。
イ これら21件のいずれの事例においても、使用時期が「収穫14日前」以上とされている農薬であり、さらに13件は「収穫30日前」以上の農薬であり、使用から収穫までの日数が長く設定されている場合ほど違反しやすくなる傾向がみられた。 - 使用回数が不適正であった事例
ア 同一の病害虫に対して、同一の農薬を繰り返し使用し、有効成分の総使用回数を超過した農家が23件あった。(農林水産省・環境省令第5号(農薬を使用する者が遵守すべき基準を定める省令)の改正により、平成17年6月より有効成分毎の総使用回数を規制することとなっている。)
イ 同一の有効成分を含有する農薬を数種類使用し、有効成分の総使用回数を超過した農家が20件あった。
(3) 不適正使用の回数・割合等の推移
平成11年度から15年度の農薬の不適正使用の回数・割合等の推移を以下に示した。平成14年度までの調査結果については、不適正な使用のあった農家数ではなく不適正に使用された回数として集計を行ってきており、比較のため、平成15年度についても不適正に使用された回数として集計した。この結果、改正農薬取締法の施行された平成15年度においては、使用した農薬の適用農作物、使用時期、使用回数のいずれにおいても不適正な使用の回数が大幅に減少していた。
調査年度 |
調査農家数 |
農薬の |
農薬の総使用回数のうち |
|||||
誤った作物に |
誤った時期に |
誤った回数で |
||||||
平成11年度 |
7,916 |
43,040 |
1,972 |
(4.5%) |
1,101 |
(2.6%) |
974 |
(2.3%) |
平成12年度 |
7,967 |
50,665 |
2,955 |
(5.8%) |
877 |
(1.7%) |
764 |
(1.5%) |
平成13年度 |
1,975 |
13,239 |
1,361 |
(10.3%) |
436 |
(3.3%) |
579 |
(4.4%) |
平成14年度 |
3,492 |
22,502 |
709 |
(3.2%) |
463 |
(2.1%) |
495 |
(2.2%) |
平成15年度 |
3,820 |
26,599 |
31 |
(0.1%) |
25 |
(0.1%) |
60 |
(0.2%) |
(4) 指導状況
- 不適正使用のあった80戸の農家に対し、地方農政事務所等及び都道府県が農薬の適正使用の徹底を図るよう指導した。
- 今回の調査結果を都道府県に通知するとともに、農家等使用者に対してあらためて農薬の適正使用の周知徹底を図るよう要請した。
2. 農薬残留状況調査
(1) 調査方法
- 分析対象農産物の採取及び分析等
使用状況調査を実施した3,820戸の農家のうち、619戸の農家から収穫物の一部の提供を受け、地方農政事務所等を通じて独立行政法人農林水産消費技術センターに送付し、ガスクロマトグラフィー等による分析を実施した。
分析対象農薬は、一斉分析法により検出可能な農薬(野菜・果実76農薬、茶45農薬)及び農産物の提供農家から提出された農薬の使用記録簿に記載された農薬を原則として分析した。
- 分析対象農産物(分析点数)
ア 野菜(420)
だいこん(147)、キャベツ(64)、はくさい(38)、ほうれんそう(36)、レタス(30)、にんじん(16)、ねぎ(13)、トマト(13)、ブロッコリー(12)、きゅうり(12)、やまのいも(10)、にら(6)、さといも(6)、ピーマン(5)、みずな(5)、ばれいしょ(4)、こまつな(1)、実えんどう(1)、さやいんげん(1)
イ 果実(63)
日本なし(18)、りんご(15)、みかん(8)、いちご(8)、かき(8)、いよかん(5)、ぶどう(1)
ウ 茶(136)
(2) 調査結果
- 野菜の分析結果(別表2(PDF:16KB))
420点の野菜について残留農薬分析を実施した結果、92点から農薬が検出されたが、残留農薬基準又は登録保留基準を超過する事例は認められなかった。
みずな1点について、登録農薬の適用農作物に含まれておらず、みずなへの使用が禁止されているプロシミドンが検出された。当該みずなの生産農家に対する調査を行った結果、当該農薬の使用は認められなかったものの、農薬散布器具を他作物と共用していることによる混入が原因と考えられたため、散布器具の洗浄等について指導を行った。 - 果実の分析結果(別表3(PDF:15KB))
63点の果実について残留農薬分析を実施した結果、38 点から農薬が検出されたが、残留農薬基準又は登録保留基準を超過する事例は認められなかった。
日本なし1点について、登録農薬の適用農作物に含まれておらず、日本なしへの使用が禁止されているEPNが検出された。当該日本なしの生産農家に対する調査を行った結果、当該農薬の使用は認められず、周辺ほ場から当該農薬が飛散してきたことが原因と考えられた。 - 茶の分析結果(別表4(PDF:11KB))
136点の茶について残留農薬分析を実施した結果、農薬は検出されなかった。
お問合せ先
消費・安全局農産安全管理課農薬対策室
代表:03-3502-8111(内線4500)
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