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農林水産省

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更新日:令和元年10月28日
担当:消費・安全局農産安全管理課農薬対策室

作物群での登録とは(農家の皆様へ)

農家の皆様へ

農林水産省では、似ている作物をまとめた「作物群」を適用作物とする農薬登録を導入しました。

ここでは、作物群での登録とその利点を紹介します。

作物群での登録とは

「もも」と「すもも」のように植物学的に近い作物は、発生する害虫も似ているため、必要となる農薬の使用方法が同じになることがあります。

しかし、今までは、同じ農薬を同じ使用方法で使う場合でも、「もも」に使いたいときは「もも」、「すもも」に使いたいときは「すもも」を適用作物とする登録が必要でした。

農林水産省では、「もも」と「すもも」のように似ている作物をまとめて作物群とし、同じ農薬を同じ使用方法で使う必要がある場合は、作物群を適用作物として申請・登録ができるようにしました。

今までとこれから

作物群の考え方

作物群にどのような作物を含めるかは、農薬の使用方法や農薬を使用した結果として作物中に残留する農薬の濃度(残留濃度)に影響するような作物の特徴を考慮します。具体的には、作物を収穫する部位、収穫物の形、実際に食べる部位などを調べて、特徴が似ている作物をまとめて作物群とします。

核果類とかんきつ類

作物群で登録する場合の評価の仕方について

農薬の登録申請の際には、農薬の効果に関する試験や残留性に関する試験など、多数の試験の結果を提出することをメーカーに求めています。その一つに、申請する使用方法で作物に農薬を使用した場合に、農産物中に残留する農薬の濃度を調べる作物残留試験があります。この作物残留試験は生産量に応じて必要な試験の数を決めており、生産量が非常に多い作物(30万t以上)は6試験以上、生産量が多い作物(3万t以上)は3試験以上、それ以外の作物は2試験以上としています。

我が国では、農薬の登録とあわせて残留基準値を設定する制度となっています。具体的には、作物残留試験の結果から、食事を通じた農薬の摂取量とその農薬の毒性から、消費者の健康に悪影響を及ぼさないかどうかを評価し、安全と判断した場合、作物残留試験の結果から厚生労働省が残留基準値を設定し、農林水産省が登録を行っています。作物群で登録をする際も、残留基準値を設定するため、作物残留試験の結果が必要であり、その試験結果で残留基準値を設定できれば、登録もできます。

農産物中の残留濃度は、同じ農薬を同じ使用方法で同じ作物に使用しても同じにはならず、実際に農薬を使用した際の作物の状況や気象条件等により違います。そのため、残留濃度がどのくらいの範囲に広がる可能性があるかを知るためには、より多くの作物残留試験を実施することが重要と考えています。

しかしながら、我が国は国土が南北に長く、多様な気候の地域があり、少し離れた場所でも収穫できる農産物が違います。このような自然環境を活用し、我が国では多様な作物が栽培されています。それらの作物の全てについて多くの作物残留試験を実施することは難しいと考えています。

このため、農林水産省ではこれまでも、「もも」の作物残留試験結果をよく似ている「ネクタリン」の登録申請時に使用できるようにするなど、他の作物の試験結果の利用を可能としてきました。また、作物群での登録では、作物群に含まれる作物のうち、残留濃度が高くなる可能性が高い作物、生産量や消費量が多く、残留農薬の摂取量を推定する際に重要と考えられる作物を代表作物として多くの作物残留試験を行い、生産量や消費量が少ない作物で少ない数の作物残留試験を実施しなくても申請できるようにしました。農林水産省では、代表作物の作物残留試験の結果を使い、作物群に含まれる作物全てについて、食べた場合の安全性を評価します。

代表作物(核果類)

例えば、「核果類」を適用作物として登録申請する場合、作物残留試験を代表作物である「もも」又は「うめ」で3試験以上、「すもも」で2試験以上、「おうとう」で3試験以上としています。これらの試験結果を使い、「核果類」に含まれる全ての作物からの残留農薬の摂取量を推定し、その摂取量から消費者の健康に悪影響を及ぼさないと判断できれば、「核果類」として登録し、代表作物以外の「あんず」などの「核果類」に含まれる全ての作物にも使えるようになります。このように、作物残留試験を実施する作物の種類を減らす代わりに、代表作物ではより多くの試験を行い、より多くの試験結果から評価や基準値設定を行うことが可能です。

試験数の例

作物群で登録する利点

使える農薬が少なかった作物にも、使える農薬が増えることが期待できます。

今までは、「もも」の試験成績からは「もも」の登録しかできませんでした。そのため、同じ農薬を「すもも」に使いたい場合は、「すもも」の試験成績、「うめ」に使いたい場合は「うめ」の試験成績が必要でした。

下の図のように、個々の作物に試験を実施して、順次適用作物を追加していましたが、全てをそろえて見てみると、結局似ている作物は、同じ病害虫による被害が生じ、同じ使用方法での防除が必要になることがありました。このように、病害虫が同じで、使用方法が同じになる場合は作物群での登録ができるようにしました。

最初の登録

ももの試験

ももの適用表

1回目の適用拡大

すももの試験

すももの適用表

2回目の適用拡大

うめの試験

うめの適用表

追加したい場合

作物群「核果類(かくかるい)」の登録は、代表作物の「もも」又は「うめ」、「すもも」、「おうとう」の試験結果で登録が可能です。「核果類」として登録された農薬は、「核果類」に分類されている「もも」「うめ」「すもも」「おうとう」以外の作物、例えば「あんず」にも使うことができます。「核果類」は一例ですが、他の作物群も同じです。

もし、ある都道府県で「あんず」の農薬を使いたいとの要望があった場合、今後は当該農薬に、既に「核果類」として作物群での登録があれば、「あんず」にも使用できます。

代表作物の試験

地域特産の作物などの農薬の登録が進まず使える農薬が少なかった作物も、その作物を含む作物群での登録が進めば、使える農薬の増加が期待できます。その結果、より効果的な防除が可能になり、地域特産の作物などの安定供給に寄与することができます。 なお、ある作物特有の使用方法が必要な場合もありますので、従来どおり、個々の作物での登録も可能です。

作物の分類が解りやすくなります。

これまでは、登録する際に細かく作物を区別していたため、地域特有の名称がある作物や、様々な品種があり、名前や形状が似ている作物がある場合、その農薬を使ってよいかが解りにくい場合がありました。その結果、実際には使ってよい農薬があるのに見つけることができなかったり、使ってはいけない作物に誤って使ってしまう事例がありました。

今後は、公表している作物群で、栽培している作物がどの作物群に入っているかを確認し、その作物が含まれるかどうかを確認することで、使うことができるかどうか解るようになります。また、都道府県で新たに開発した作物なども、それが含まれる作物群を確認した上で、その作物群での登録がある農薬であれば使うことができます。

詳しく知りたい方へ

さらに詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。

作物分類(平成29年4月~)

お問合せ先

消費・安全局農産安全管理課農薬対策室

代表:03-3502-8111(内線4503)
ダイヤルイン:03-3502-5969