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農林水産省

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更新日:平成29年4月7日
担当:消費・安全局農産安全管理課農薬対策室

作物群での登録とは(一般の皆様へ)

 一般の皆様へ 作物群での登録とは

農林水産省では、似ている作物をまとめた「作物群」を適用作物とする農薬登録の導入を検討しています。

ここでは、作物群での登録とその利点を紹介します。

農薬の役割と登録

安全な農産物を安定的に国民の皆様に供給することが農林水産省の最も重要な仕事です。農産物を安定的に供給するためには、農産物を生産する時に発生する病気により作物が枯れたり、害虫に収穫物を食べられるなどの被害を防ぎ、生産量を確保する必要があります。

しかしながら、農薬の成分や使い方によっては、人に毒性を示すことがあります。このため、農林水産省は、農薬の登録にあたり、農薬を使用した作物から収穫した農産物を食べた消費者の皆様の健康に悪影響を及ぼさないかどうかなどを科学的データに基づいて検討し、農薬を「使用できる作物」や「使用できる時期」、「使用してよい量」などの「使用基準」を決めています。

また、農薬を登録する際には、同時に食品の残留基準値を設定する制度となっています。

使用基準や残留基準値を決めたりするため、農林水産省は、農薬の登録申請を行う際に、「使用できる作物」に「使用できる時期」や「使用してよい量」などの使用基準に従って農薬を使用した場合の農産物中の残留濃度を確認する試験(以降「作物残留試験」といいます。)のデータを提出するよう農薬メーカーに求めています。この試験結果と各農産物の消費量に基づいて推定した農産物からの残留農薬の摂取量とその農薬の毒性を比べ、消費者の健康に悪影響を及ぼさないと判断した場合だけ、厚生労働省は残留基準値を決め、農林水産省がその農薬の登録をしています。

これまでは、農薬の使用基準を決める際、個々の作物を「使用できる作物」として、「使用してよい量」などを決めて、登録してきました。このため、使用方法が全く同じでも、例えば「もも」だけを「使用できる作物」として登録されている農薬を「すもも」に使用することはできません。「すもも」に使用したい場合、「すもも」で作物残留試験を実施し、「すもも」を「使用できる作物」として登録をとることが必要です。

今回お知らせする作物群を「使用できる作物」とする登録とは、

  1. 収穫する部位や形状などの農薬を使用した結果、農産物中に残留する農薬の濃度に影響するような作物の特徴が似ている作物をまとめて作物群とし、
  2. ある農薬を、その作物群に含まれる作物に同じ使用方法で使用することが必要な場合に、
  3. 農薬メーカーは作物群に含まれる作物のうち、代表的な作物で試験を行い、申請し、
  4. 国は消費者の健康に悪影響をおよぼさないかなどの評価を行い、問題ないと判断すれば登録し、
  5. その農薬を作物群に含まれる全ての作物に使用できるようになる、

というものです。

今までとこれから(作物群での登録)

個々の作物で登録する場合と作物群で登録する場合の違い

今回お知らせする案の中から、「核果類(かくかるい)」※という作物群を例にご説明します。

※核果類:「もも」、「ネクタリン」、「すもも」、「あんず」、「うめ」、「おうとう(さくらんぼ)」などのばら科のさくら属に属する果樹で、果実を収穫する作物の群です。その果実は硬い殻に包まれた種を果肉が包む形状をしています。

作物群の例(核果類とかんきつ類)

個々の作物を「使用できる作物」として登録する場合

農薬メーカーは、「もも」を生産する際に病気や害虫による被害が発生し、農薬による防除が必要、といったニーズがあると、防除したい病気や害虫に効果があり、「もも」に害が生じない適切な使用方法を検討(濃度、使用回数、収穫前日数)します。次に、農薬が最も残留する条件で作物残留試験を実施し、その農薬を「使用できる時期」、「使用してよい量」などを含む使用基準(案)を作成し、農薬の登録申請をします。

登録申請がなされた後、厚生労働省は、作物残留試験の結果から、農産物を通じた農薬の摂取量を推定し、安全が確認された場合に残留基準値を設定します。それにあわせて農林水産省は、残留基準値とメーカーから示された「使用基準(案)」を確認し、問題がなければ「使用基準」を確定し、農薬を登録しています。

ももの試験

「もも」の登録をした後、同じ農薬を「すもも」や「うめ」にも使う必要があるというニーズがあれば、農薬メーカーはそれぞれの作物で作物残留試験を行い、登録申請を行います。登録申請後の評価などの手続は「もも」の場合と同じです。

すももの試験

このように個々の作物で作物残留試験を行い、個々の作物を「使用できる作物」として登録を行っています。

作物群を「使用できる作物」として登録する場合

「もも」を「使用できる作物」として農薬を登録する場合と、「核果類」を「使用できる作物」として登録する場合を比べると、申請から評価、登録までの手続きは同じですが、一点だけ違うことあります。それは、作物群を代表する作物(以降「代表作物」と書きます。)(※)の作物残留試験のデータを作物群全体の評価に使うということです。

(※)代表作物は、残留濃度が高くなる可能性が高い作物、生産量や消費量から残留農薬の摂取量を推定する際に重要と考えられる作物などを選びます。

核果類の代表作物

作物群を「使用できる作物」として登録する場合のメリット

多くの作物残留試験のデータを用いて評価を行うことで、安全性に関する評価が向上します。

農産物の農薬の残留濃度は、同じ農薬を同じ方法で使用しても、農薬を使用した作物の状態や気象条件など様々な要因により異なります。作物残留試験は、その農薬の使用方法のうち、最も残留する条件で行う試験ですが、やはり試験をするたびに残留濃度は異なる値になります。

農薬が残留した農産物を食べた場合の安全性の評価は、作物残留試験のデータとその農産物の消費量から推定した農薬の摂取量とその農薬の毒性を比較して行っています。また、同じ作物残留試験のデータから、農薬の使用基準を守って適切に使用した場合に、収穫した農産物が法律違反とならないように残留基準値を決めます。

このような評価をよりよく行うためには、農薬の残留濃度がどのくらいの範囲に広がる可能性があるか知るために、できるだけ多くの作物残留試験のデータが必要と考えています。例えば、作物残留試験の数が少ないと、偶然、残留濃度の広がりの低い方だけのデータが得られる場合があります。そうすると、残留農薬の濃度を実態より低く想定してしまうため、次のような問題があります。

  1. 残留農薬の摂取量を低く見積もってしまい、消費者の健康への影響を十分に評価できない。
  2. 残留基準値を実態より低い値に設定してしまい、農家の方が登録された使用方法どおりに農薬を使ったにも係わらず、生産した農産物が残留基準値違反となってしまう。

そのため、農林水産省では、より多くの作物残留試験のデータを用いて評価を行うことがよいと考え、登録申請に必要な作物残留試験の数を農産物の生産量に応じて増やしました。


(平成26年3月まで)

全ての作物 2試験以上

(平成26年4月以降)

生産量が非常に多い作物(30万t以上) 6試験以上

生産量が多い作物(3万t以上) 3試験以上

それ以外の生産量が少ない作物 2試験以上



しかしながら、日本は国土が南北に長く、多様な気候の地域を有しています。この多様な気候を活用し、多様な作物が生産されており、国民の豊かな食生活を支えています。これらの作物の中には、ある地域でしか生産できない作物や植えられている木の数が少ない作物があります。このような作物は、そもそも、作物残留試験を行うことが難しい場合もあり、全ての作物で多くの作物残留試験を行うことは難しいと考え、生産量が少ない作物については従来どおり2試験以上としています。

作物群を「使用できる作物」として登録する場合、生産量や消費量が多い代表作物で作物残留試験をする案としています。例えば「核果類」では、代表作物である「もも」で3試験以上、「うめ」で3試験以上、「おうとう」で3試験以上としました。

個々の作物で登録をする場合のように、生産量が少ない作物で少しずつ作物残留試験を行うのではなく、代表作物で多くの試験を行い、多くのデータを評価に使うことで、安全性に関する審査をより科学的に行うことができると考えています。

多様な作物の安定的な生産に寄与します。

地域特産の作物の場合、病気や害虫の被害を防ぐための農薬が少ないことが多いです。農産物の生産に農薬を使用する必要がなければよいのですが、病気や害虫の被害を防がないと、農産物を安定して供給することができない場合があります。

また、例えば、地域特産の作物には非常によく似ている作物にそれぞれ地域特有の名称がついている場合(例えば「○○菜」、「□□菜」のように地域名などが名称に入っている作物など)もあります。しかし、個々の作物を「使用できる作物」として細かく区別して登録していると、どの農薬が使ってよい農薬なのかがわかりにくい場合があり、その結果、使ってはいけない作物に誤って使ってしまう事例がありました。このような作物は、実際には非常によく似た作物(もちろん味や風味は異なることがありますが、農薬の残留の観点ではほとんど同じと考えてよい場合があります。)で、必要となる使用方法が同じ場合がありますが、「○○菜」として登録されている農薬は「□□菜」には使用することができず、「□□菜」の病気や害虫の被害を防ぐためには使用できません。

作物群を「使用できる作物」として登録すると、その作物群に含まれる作物全てに使用することができるため、これまでは使うことのできる農薬が少なかった地域特産の作物に使用できる農薬の増加が期待でき、それら作物の生産を行う際に、効果的な防除を行うことができ、安定した生産を支援することができると考えています。

このように、作物群を「使用できる作物」として登録をすることにより、より科学的な安全性の評価を行うとともに、多様な農産物の生産に必要な農薬の確保を行うことで、国民の豊かな食生活を支えていくことができると考えています。

なお、作物群を「使用できる作物」とする登録は、使用方法が同じ場合にできます。ある作物特有の使用方法が必要な場合などもありますので、従来どおり個々の作物を「使用できる作物」とする登録は行っていくこととしています。

国際的な動向及び今後 

欧米を中心に海外でも食料の安定供給のため、作物群での登録を進めています。また、食品の国際的な基準を定める機関(コーデックス委員会)※では、現在、既存の作物群の見直しを進めており、農林水産省も我が国の状況を踏まえた作物群となるよう議論に参加しております。農林水産省では国際的な議論を踏まえ、次のような国による違いも考慮し、我が国のための作物群や代表作物の案を作成しています。

(作物群の作成や代表作物の選定の際に考慮する国ごとの違い)

・国によって食習慣が異なります。

例:同じ作物群に入る作物でも、国によって消費量が多い作物が違います。

例えば、今回の案の中では、「仁果類(じんかるい)」という作物群がありますが、「りんご」や「なし」は欧米の方もよく食べられていますが、「びわ」は欧米ではほとんど食べられていません。

・国によって生産量が多い作物が異なります。

例:同じかんきつでも、日本では「みかん」の生産量が多いですが、海外では「オレンジ」などの方が多くなります。

そのため、海外と全く同じ作物群、代表作物では、日本の実情を反映した評価が行えないことが考えられます。このことから、農林水産省では、コーデックス委員会で作成した作物群を参考にしながら、我が国の生産量や消費量も考慮した作物群や代表作物の案の作成を進めています。

今回は、まず果樹について、作物群ができましたので公表します。今後も国際的な議論を踏まえて果樹以外の作物の作物群の作成を進め、新たな案ができましたら、順次、皆様にお知らせして行きます。

(※)コーデックス委員会:消費者の健康の保護、食品の公正な貿易の確保などを目的としてFAO及びWHOにより設置された国際的な政府間機関 

詳しく知りたい方へ

さらに詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。

 

お問合せ先

消費・安全局農産安全管理課農薬対策室

代表:03-3502-8111(内線4503)
ダイヤルイン:03-3502-5969
FAX番号:03-3501-3774