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![]() Profile いずみ あさと
1956 年、東京都新宿区生まれ。慶應義塾大学商学部卒。「週刊TVガイド」などの編集者を経てフリーコラムニストに。雑誌、新聞などを中心にコラムを執筆する一方、テレビのコメンテーターとしても活躍。主な著書に『東京23区物語』『地下鉄の友』『散歩のススメ』『大東京バス案内』『東京版アーカイブス』などがある。 |
カレーライス…を食べるときのことを考えてみたい。もとから一皿にカレーとライスが一緒くたに盛られた場合はともかく、別盛り仕立てになっているとき、なかには一気にカレーをライスにぶっかけてしまう人もいるかもしれないけれど、多くの人は適量ずつカレーをかけて味わっていくことだろう。 適量というのも人それぞれだが、誰もがそれなりの“配分計算”をしながら、うまいことごはんを食べてやりたい……などと考えている。ちょぼちょぼと、ときにはドバッとカレーソースをライスの上にかけていく……その過程が僕は好きである。人の愛らしさのようなものを感じるひとときでもある。 配分を誤って、カレーが残っても、ライスの方が残っても、おもしろくない。もっともたまにはカレーそのものの味や、ナンタラ米とか銘打たれた名産米の味覚を個別にじっくりと堪能してみることもあるけれど、だいたいは両者が配分よく口に収まってフィニッシュを迎える格好が心地よい。純粋な白いごはんもいいけれど、やはりごはんは何らかのオカズや添え物と一緒に口に含んでこそ、よりその旨味を発揮する食品、と僕は思っている。 カレーに限らず、様々なオカズとともに食卓に置かれた一膳のごはんを、さてこれからどういった段取りで、ごはんとコラボレーションさせて食べていこうか…と思考する時間は愉しい。酒のある席だとまた別(やはりごはんは後回しになる)だけれど、通常の食事の場合、刺身、焼魚、シチュー、佃煮…いろいろな具と順に組み合わせて味わっていきたい、と思う。 昭和30年代の初めに生まれた僕は、子供の頃に様々なビン詰め物(海苔の佃煮やナメコ…)やフリカケの類を愛用して育った世代、ということもあって、食卓にそういったもんが並んでいると、手を出さずにはおれない。起用しないとなんだか勿体ない気分になる。定食屋などで程よく残しておいたごはんに、食卓のフリカケをまぶして最後のシメとばかりに味わうとき、なんともいえない充足感に浸る。 そんな“最後の切り札“というか、“定番のセーブ投手"”のようなネタを一つ挙げるとしたら焼海苔だろう。カレーでもシチューでも納豆でも、ちょっと残ったオカズと残飯を海苔でくるっと巻いていただく。このオーラスの海苔巻きごはんの味はこたえられない。まさに、日本人に生まれて良かった…と思う瞬間である。 |