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石川三知の「たべもの歳時記」 第5回

炊き込みご飯の知恵


炊き込みご飯の知恵 食に関わる仕事をしている私は、日々、多くの献立を目にし、考えています。その中で、個人的に好きな献立のひとつに「炊き込みご飯」があります。

幼いころ、食の細かった私が、炊き込みご飯だけは、おかわりをするほどたくさん食べました。そのときに家族が褒めてくれた記憶がよみがえるからです。そして、大人になって炊き込みご飯の起源を知り、さらにその思いを強くしました。炊き込みご飯は、単に「おいしい食材や調味料と組み合わせた味付けご飯」ではないのです。

もともと炊き込みご飯は、新米収穫前の、最も米の味が落ちる時期に、いかにおいしくお米をいただくか…そんな発想から生まれたのだそうです。水分も香りも乏しくなってしまったお米が、旬の野菜やきのこ、木の実と一緒にお出汁で炊き上げることで、足りないものを補うだけでなく、滋味深い一品に生まれ変わります。季節の便りを運んでくれる、華やかささえ感じさせてくれます。

そこには、味の落ちたものをいかにおいしく食べるかといったプラスマイナスの思考にとどまらず、人と自然が育んだ作物に対する感謝と、自然と調和して生きてきた先人たちの知恵が感じられます。深く感動するとともに、頭の下がる思いです。

日本人の知恵や思いが込められた献立は他にも数多くあるはずです。そうした献立にもっと出会いたい、そしてそれを次の世代に伝えていきたいと思います。

石川 三知さん
Profile いしかわ・みち
スポーツ栄養アドバイザー。スピードスケートの岡崎朋美選手、陸上短距離の末續慎吾選手など、多くのトップアスリートの栄養指導を担当。「カラダは食べ物でできている」がモットー。全国の小中学校でも、食べることが紡ぐ命の大切さについて講演している。著書に『トップアスリートになるための食事と栄養学』(日本文芸社)がある。

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