ホーム > 報道・広報 > 2012年aff(あふ)2月号 > aff(あふ)バックナンバー > 07年9月号目次 > aff(あふ)
甲板でクレーンを動かす野本さん。捕れた魚の品質保持のため、大量の氷を移動させている
港に戻るとすぐに水揚げ作業。この日はサバが豊漁
|
「体が動くうちに長年の夢にチャレンジ。海の職場にストレスはありません」
有限会社 正徳丸
野本克弥さん(三重県紀北町) 紀伊半島南部、三重県紀北町(きほくちょう)の紀伊長島の漁港からほぼ毎晩、有限会社「正徳丸(しょうとくまる)」の巻き網漁の船団が出港する。巻き網漁とは、大きな群れをつくって回遊しているアジ、サバ、イワシといった魚群を大きな帯状の網で包囲し、網の下を引き締めて魚を捕る漁法で、「キンチャク」とも呼ばれている。 正徳丸の船団は7隻。網を投入する「網船」(本船)、生けすを備えた「運搬船」などの役割に分かれている。最も大きい「網船」の乗組員は13人だが、約半数は他業種からの転職組も含む県外出身のIターン漁師だ。 都内で建設業に従事していた野本克弥さんは、漁師に転職してちょうど2年。正徳丸の網船で、Iターン漁師たちの中心になって働いている。「昔から海で働きたいという希望がありましたが、どこに行ったら漁師になれるのかが分からなくて。『体が動くうちにやりたい』という気持ちが強くなっていた37歳のときに、『漁業就業支援フェア』があることを知って、面接を受けに行きました。ここで研修してそのまま働いています」と話す。 夕方出港して、明け方まで操業、港に戻ってきて水揚げ作業とハードな毎日だが、野本さんは「体力に自信がなければきついかもしれないけど、自分にとっては楽しさの方が大きい。収入は前より少なくなったが、人間関係も仕事内容も良くて、職場でストレスを感じたことがない。唯一困ったのが、地元の漁師言葉が難しかったこと」と笑う。東京に家族を残したままの“単身赴任”だが、「好きなことを出来るのはいいこと」と送り出してくれたという。 多くのIターン漁師を受け入れてきた正徳丸の石倉優一社長は「長島でも漁業に従事する人の高齢化が進んできて、7年前くらいから積極的にIターンを受け入れていこうと取り組んできました。漁業就業支援フェアにも初回から参加しています。最初はなかなか定着しなかったが、続けたくない人を無理に引き留めず、本人のやる気を重視するようになってから定着率が上がってきた。頑張ったら頑張っただけ報われる仕事だから、社員たちには『這い上がってこい!』と声をかけています」と話している。 |
![]() (有)正徳丸の石倉優一社長。船の上から漁師たちに指示を出す
|
![]() 明け方、2回目の操業。数十トンの魚がかかった網を、乗組員が総出で引き上げていく。網からは海水が流れ落ちる中での過酷な作業だ。写真奥、船尾に立つのが野本さん
|
![]() 捕れた魚をそのまま運搬船の生けすに移す。生けすには氷をたっぷり入れて魚の鮮度を保つ
|