ホーム > 報道・広報 > 2012年aff(あふ)5月号 > aff(あふ)バックナンバー > 07年11月号目次 > 特集2 日本の食卓を彩る こだわりの伝統調味料特集(1)-1/2-
| 体がほかほかに温まる味噌汁も、つややかな煮物も、和食のおいしさは醤油、味噌、みりんなどの伝統調味料あってこそ。 身近な名脇役たちだからこそ、その真価を見直してみませんか。 |
![]() プロフィール ふじた・ちえこ
1961年生まれ。フリーライター。日本酒の味わいとともに酒蔵文化に魅せられ、全国の酒蔵をめぐる。日本酒と発酵調味料をともに紹介し、“醗酵仲間たち”の魅力を伝える「醗酵リンク大会」を主宰。著書『杜氏という仕事』(新潮社)、『これさえあれば・極上の調味料を求めて』(文藝春秋)など。![]() 味噌汁は伝統的な日本食メニュー。味噌の味には地域の特色がよく表れるという
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時間を重ねて、じっくり発酵した伝統調味料の味わい
「白いご飯に味噌汁、小鉢にはかつお節、魚の干物にはタラリと醤油を……。そんな日本の朝ごはんを思い浮かべれば、醤油、味噌、かつお節といった発酵食品だらけ。日本の食卓は、発酵食品なしには成り立ちません」 そう語るのは、ていねいに造られた日本酒と発酵調味料をともに紹介する「醗酵(はっこう)リンク大会」主宰者の藤田千恵子さん。味噌、醤油、酢、みりん、魚醤(ぎょしょう)といった日本の伝統調味料は、本来すべてが発酵食品。 1本1本のびんに詰められているのは、ただの液体ではなく、造り手の手間と発酵をとげるために必要な長い時間、と藤田さんは続けます。 「例えば豆腐に醤油をたらせば、たったの3秒で冷奴のできあがり。ほかほかのご飯で味噌おむすびを作るなら30秒。だしをとって味噌を溶かせばすぐに味噌汁が完成。なぜそれほど簡単に、おいしいものが食べられるかといえば、1年、2年といった歳月をかけてじっくり発酵をとげた醤油や味噌があるからです。そんな日本の食文化は、食べる側にとっては手軽でおいしいファーストフードですが、造り手にとっては長い年月と手間が必要なスローフードといえます」 そうした発酵文化は、食べものを大切に扱ってきた先人たちの知恵によって発達してきました。いまでこそ「おいしいから」「体にいいから」という理由で食べられている発酵食品ですが、もともとは限りある貴重な食べ物をいかに長く保存するかを考え抜き、先人たちが必死に知恵を出し合ってきたもの。醤油も、味噌も、酢も、日本の伝統調味料のルーツをたどれば、ほとんどが中国大陸より伝えられたものとされます。しかし、日本に伝来した後は、各地の気候風土に合わせて個性豊かな調味料がつくられてきました。中でも、もっとも地方色が表れているとされるのが味噌。赤、白、黄、茶褐色……と、色とりどりの味噌が全国各地で造られています。 「日本は小さな国ながら、北から南まで縦長の国土なので、雪国あり、南国ありと地域によって気候が変化に富んでいます。そのため、もちろん地域ごとに収穫できる農作物も異なり、さまざまな発酵文化が育まれてきました。例えば、代表的なものが味噌。全国で消費されている味噌の約8割が、米こうじと大豆で仕込む“米味噌”ですが、米こうじと大豆の比率や熟成期間などの違いによって、さまざまな味わいが生まれます。また、温暖な九州では、大豆の生産量が少なかったことから、大麦や裸麦を使用した“麦味噌”が主流に。高温多湿の東海地方では、発酵が進みすぎてしまうのを防ぐために、発酵しにくい大豆だけを原料として1〜3年という長期熟成に耐えうる“豆味噌”が誕生しました」 |