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![]() Profile C.W.ニコル
作家、財団法人C.W. ニコル・アファンの森財団理事長。英国南ウェールズ生まれ。カナダ水産調査局北極生物研究所の技官・環境保護局の環境問題緊急対策官やエチオピアのシミエン山岳国立公園の公園長など世界各地で環境保護活動を行い、1980年から長野県在住。荒れ果てた里山を購入して「アファンの森」と名付け、森の再生活動を実践している。 http://www.afan.or.jp/ ![]() 『マザーツリー〜母なる樹の物語〜』(静山社)
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僕がいま、好物をひとつ挙げろと言われたら、迷うことなく「鹿肉のハンバーガー」と答えます。作り方は簡単。鹿肉のミンチを6割、シイタケのみじん切りを4割の割合で混ぜ、軽く塩コショウと好みのハーブで味を調えて焼くだけ。肉は脚の部分など他の料理では使わない部分を、シイタケも形が悪くて出荷できないようなものを使います。これは僕のオリジナルレシピですが、子どもたちだけでなく、鹿肉は低カロリーなので女性にも好評です。 僕が鹿肉を食べるのは、自然保護の意味もあるんです。増えすぎた鹿は森を破壊するからね。北海道でも、幹の周囲が2メートルもあるような大木が、鹿に皮を剥がれて立ち枯れていました。日本では鹿の天敵だったオオカミが絶滅していますから、森の生態系を守るためには、人の手で鹿の数を調整する必要があります。殺さなければならないなら、きちんとその肉を食べてあげなくちゃ。ウェールズの本家アファンの森では、森のレンジャーが処分した鹿を飲食店などに売るシステムが出来上がっています。日本人も輸入した牛肉を食べるくらいなら、自分の国の自然を破壊する鹿の肉を食べてみてはいかがでしょうか。日本人はよく「鹿の肉は臭い」なんて言うけど、きちんと料理すれば、こんなにおいしいものはありませんよ。 僕は最近、大地に根を張り、天に枝を広げて五百年を生き抜いたミズナラの物語『マザーツリー』を書きました。長野県黒姫山の麓に移住して、かつて“幽霊の森”と呼ばれていた場所も、20年の時を経てよみがえった。 森の保護というと放置することだと思っている人が多いけど、放っておいても森は昔のような状態には戻りません。荒れた里山など、放置しておけば何百年後かには大木が育つようになるかもしれませんが、その間に、かつて里山に住んでいたさまざまな生き物たちは絶滅してしまうでしょう。僕はこれまで、日本で放置されて荒れた森の手当てをしてきましたが、最近では、森づくりを一から始める仕事もしています。「日本には何も資源がない」と言うけれど、森と川があれば十分豊かに暮らせる時代があったことを忘れていないでしょうか。戦後の高度成長期は、ある意味で「日本が自然に戦争を仕掛けていた時代」だったと言えるかもしれません。 日本の豊かな自然は、人々にさまざまな恵みを与えてきました。そして日本人は、その恵みを上手に生かす天才だと思います。 食材ひとつとっても、山では山菜やキノコ。僕は日本に来たばかりのころ、山菜やキノコの種類が豊富なことに感動しました。英国では、キノコといえばマッシュルームしか食べない人が多いんです。そして海からは魚。実は、僕はクジラの肉も大好きなんです。和歌山県の太地町(たいじちょう)に住んでいたころは、クジラの内臓を煮込んだ料理が好物でした。欧米では間違ってもこんなことは言えないけどね(笑)。 |