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![]() Profile くりはら・しんぺい
1978年東京生まれ。料理家、株式会社ゆとりの空間代表取締役専務。母は料理家の栗原はるみさん、父は食通で知られる元テレビキャスターの栗原玲児さん。小学生の頃から台所に立ち、母の手伝い以外にも自分のお弁当を自ら作ったという料理好き。大学卒業後、はるみさんが手がける生活提案型ショップ&レストラン「ゆとりの空間」に入社し、現在に至る。2003年に結婚。著書に「栗原心平さんの『居酒屋心平亭』へようこそ!」(主婦と生活社)などがある。 |
ひじきのゴマ煮、青菜のゴマ和え、炒り豆腐、きんぴらごぼう……わが家のテーブルにはいつもたくさんのおかずが並んでいたように思います。 母は、僕が幼稚園の頃から仕事を始めていて、僕が小学生の頃にはもう外での仕事が多くなっていたと思うんですが、父が家で食事をきちっと食べたいという考えの人だったので、夕食はいつも家族そろって食べていました。夕食の準備に時間がかけられなくても、母はいつもこの常備菜を作りおきしていたので、食卓はいつもにぎやか。ウチの夕食の時間は本当に長いんですよ。父が晩酌をするので、いつも2時間くらいはかかってたかな。ひと通りおかずを食べたら、最後にシメでカレーやパスタを食べる……カレーだけ、パスタだけってことがないんですね。普通にひと皿ひと皿の料理を作っていたら大変だと思いますが、常備菜がそれを助けてくれていたと思います。 それとタレ。ウチでは納豆のタレも手作りでした。僕は小さい頃から納豆が大好きで、卵を入れてバクバクにかき混ぜるんですけれど、そうすると納豆に付いているタレの量では足りない。だから母に「納豆のタレを作ってくれ」って頼んだみたいなんです。実は僕自身はよく覚えていないんですが(笑)、で、タレが手作りになったら、さらに納豆がおいしくなった。 こういったオリジナルのタレを使ったレシピはいくつもあります。すった花山椒(はなざんしょう)にゴマ油を入れて、煮切りみりんと醤油、砂糖を入れた山椒(さんしょう)ソースは、焼いた肉や魚にちょっと付けるだけでとてもおいしいし、粒マスタードにめんつゆとバターを合わせたものなんかは、カジキマグロの竜田揚げに最高に合います。あとは中華料理の油淋鶏(ユーリンチー)ソース、これはネギのみじん切りに醤油、酢、砂糖、ゴマ油を入れたものですが、これをウインナーにかけてみてください、ウインナー料理のレパートリーがひとつ増えたように、ガラリと変わったウインナー炒めになります。「毎日の献立を考えるのが大変」という方は多いと思いますが、実はソースやタレを変えるだけで、まったく違う料理ができる、タレは本当にすぐれものですね。 いまは結婚しているので母の料理を食べる機会は少なくなりましたが、いまも作る栗原家の味の代表格といえば、ゴマを入れた味噌汁でしょうか。母は静岡の下田出身で、いまでも下田に行くと祖母が作ってくれる下田の味です。味噌を入れて火を止めたらすぐにすってペースト状になった練りゴマを大さじ1、2杯入れるんですが、これがゴマの香ばしい味がして非常においしい。具は豆腐かナスがいいですね。 やっぱり料理って簡単にできるようで、実はひと手間をかけることが大事。その手間を楽しめれば「わが家の定番」となる味が、次々と生まれるんじゃないかと思います。 |