桜海老の天日干し
| このコーナーでは、百年後も残したい農山漁村の風景を、四季折々の美しい写真で紹介していきます。 |
3月も下旬を迎えると、静岡県由比町(ゆいちょう)の富士川河川敷は一面桜色に染まる。ソメイヨシノの開花と足並みを合わせるようなこの光景は、桜海老の天日干し作業。毎年、春(3月下旬〜6月上旬)と秋(10月下旬〜12月下旬)の桜海老漁の時期に、この美しい風景を見ることができる。
水揚げされたばかりの桜海老を天日干しにするのは先人の知恵。太陽の熱で乾燥させることで、長期間の保存が可能になるばかりでなく、旨みやカルシウム含有量もアップする。
桜海老漁の歴史は意外と浅く、明治27(1894)年に由比の漁師が、アジの網引き漁をしていたときに、偶然、網が深く潜ってしまい、大量の桜海老が捕れたことが始まりといわれている。6月から9月までは、繁殖期にあたるため禁漁とされている。長年にわたるこうした資源保護の取り組みによって、豊かな海の幸が、いまも私たちの食卓を彩ってくれている。
3月、静岡県由比町の富士川河川敷。鮮やかなピンク色が春の訪れを告げる。(写真/横山正次)