宇和島の段々畑
| このコーナーでは、百年後も残したい農山漁村の風景を、四季折々の美しい写真で紹介していきます。 |
海に向かって切り立った斜面に、石垣を積んだ段々畑。愛媛県宇和島市の人々は「太陽が3つある」という。空の本物の太陽と、海からの照り返し、最後は石垣に反射する日光だ。
豊後水道に突き出した針のような三浦半島の中程に、遊子・水荷浦(ゆす・みずがうら)の段々畑がある。江戸時代の始めごろから、漁師たちが食料の自給自足のため、山を開墾し芋類を植えたのが始まりだという。雨で土が流されることを防ぐため、しだいに石垣で固められるように。地域に子どもが生まれるたびに人々が手作業で開墾を進め、やがて山頂まで畑が広がった。
戦後、段々畑にも栽培設備が整い、作物も芋から柑橘類へと変化、さらに最近では耕作地が減少する中で、水荷浦の段々畑は昔のままのジャガイモ栽培が続けられている。
地元には「耕して天に至る」と刻まれた碑文がある。日清戦争後にこの地を訪れた清の要人がこの景色を見た感想だと伝えられている。(写真提供/アフロ)