ホーム > 報道・広報 > 2012年aff(あふ)5月号 > aff(あふ)バックナンバー > 08年5月号目次 > 旬のインタビュー 第14回
| 日本の食料問題を考える上で、コンビニは無視することのできない存在。そこで、新浪社長にコンビニと食の未来について聞きました。 |
![]() ![]() Profile にいなみ・たけし
1959年、横浜市生まれ。81年、慶應義塾大学経済学部卒業、三菱商事入社。91年、ハーバード大学経営大学院修了(MBA取得)。95年に給食会社のソデックスコーポレーション(現・レオックジャパン)社長に就任。その後三菱商事に戻り、99年外食事業チームリーダー、2001年ローソン事業ユニットマネージャー、02年3月ローソン顧問を経て同年5月から社長。 |
「先進国中最低の39%という水準は、もはや『改善と向上』でクリアできるレベルの問題ではない。食料安全保障という観点から見ても、これは国家的な課題と言えるでしょう。危機が目の前までやってきたときには、もはや遅すぎるんです」 株式会社ローソン代表取締役社長CEOである新浪剛史さんは、日本の食料自給率についてこう語る。 「新たに農業に参入したいという人をどう増やしていくか、農業の法人化がうまくいかないのはなぜか…国、産業界、国民が一緒になって真剣に考えるときです。昨年の食品偽装事件や今年初めの冷凍ギョーザ事件の影響などもあって、消費者の『少々コストがかかっても安心して食べたい』というニーズは確実に高まってきている̶̶国産品の消費を拡大するには絶好のチャンスなんです。この機会を活かして『品質の高い国産品を応援しよう、国産品を食べよう』という国民運動にしていかなきゃならない。私たちもコンビニエンスストアという立場から、何ができるかを常に模索しています」 その言葉どおり、ローソンでは2003年から、全国17の都道府県と提携し、各地域の食材を使った商品づくりを行っている。 「各自治体に地元のおいしい食材を紹介していただこうという試みです。日本各地には、良質でおいしい食材がたくさんありますから。“地産地消”はすでに行われています。これからは“地産外消”が重要だと私たちは思っているんです。つまり地域独自の良質な産品を東京、大阪、名古屋といった大消費地のお客様に紹介したい。例えば、昨年9月に長野県産のリンゴを使ったジャムパンを名古屋のローソンで販売したところ、たいへんな好評を得ました。『信州産リンゴのジャムを使ったジャムパン』といった、食材の地域ブランド価値は、多くのお客様が認めてくれています。このように日本各地の食材を積極的に紹介していくことで、結果として生産者の方々を応援できればと思っています」 食料自給率低下の背景には、大量の食品を輸入し、大量に廃棄するという日本の食を支えるシステム自体の問題も横たわっている。コンビニエンスストアにとっても、大量の食品残(ざん)さは悩みの種だ。まだ食べられる食品でも、品質管理の徹底のため、消費期限前に棚から撤去されていく。 「豊富な品揃えの背景にある大量の商品廃棄は、コンビニのビジネスにとって、ある意味で必然だったともいえます。現在のコンビニのビジネスモデルが確立したのはバブルの頃。つまり “モノが豊富にある時代”のしくみなんです。しかし、パラダイムはもう変わってしまったんだと思います。今後はこれを“モノがない時代”のしくみに変えていかなければなりません。ローソンでは今年から試験的に弁当の店頭調理を始めています。お客様の注文を受けてから調理をしてお渡しする……このシステムが全国展開できれば、食品残さは劇的に減少します。また、これは横浜市のある店舗だけの試みですが、消費期限間近で撤去した惣菜や弁当を近くの食堂に提供し、料理の食材として有効に活用していただこうという取り組み(※)も始めています。ほかにも、発注の制度を改善するなど、廃棄を極限まで減らすしくみをつくります」 コンビニの将来に「夜も眠れないほどの危機感を感じている」という新浪さん。新たなコンビニのビジネスモデルが、日本の“食と農の風景”を変える力となることを期待したい。 ※
横浜市南区寿町でNPO法人さなぎ達が運営する「さなぎの食堂」で、路上生活者や生活困窮者を対象に行われている取り組み。「横浜ローソン尾上町三丁目店」で売場から撤去されるパンやおにぎり、弁当などを食材に用い、300円程度の安価な定食として消費期限前に提供している。
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