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チャレンジャー 第15回

株式会社平田牧場 代表取締役社長  新田 嘉七さん
消費者も納得のこめ育ち豚で、自給率向上へ

この連載コーナーでは、農林水産分野で先進的かつユニークな活動を行っているチャレンジャーをレポートします。
平田牧場自慢の「厚切りロースカツ」を手にする新田社長。「朝はソーセージ、昼はとんかつ、夜はしゃぶしゃぶ。一日3食豚肉でも飽きません」と笑う
平田牧場自慢の「厚切りロースカツ」を手にする新田社長。「朝はソーセージ、昼はとんかつ、夜はしゃぶしゃぶ。一日3食豚肉でも飽きません」と笑う

Profile にった・かしち
1957年、山形県生まれ。成城大学卒業後、食肉の専門学校を経て、父の嘉一氏が設立した平田牧場に入社。「平牧三元豚」「平牧金華豚」などを開発、全国有数のブランドに育て上げる。1999年、代表取締役社長に就任。2004年「飼料用米プロジェクト」本格スタート。同年COREDO日本橋店、07年、東京ミッドタウン店がオープン。
日本有数の米どころ、庄内平野を訪ねると、水田の中にごはん茶碗を持った豚が描かれた看板が立っている。「飼料用米」の水田である目印だ。こうした飼料用米の水田は今年、遊佐町、酒田市で300haまで広がっている。

この「飼料用米プロジェクト」の仕掛人の一人が、平田牧場の新田社長だ。同社は昨年、東京ミッドタウンに直営店をオープンしたことで全国的に知られるように。知名度が上がったことで、「飼料用米プロジェクト」への関心も一気に高まったという。新田社長は、飼料用米プロジェクトに携わった経緯を語る。

「豚肉の“自給率”は52%ですが、育てるための飼料はほとんどを輸入に頼っており、カロリーベースでの自給率は、全体のわずか5%にすぎません。また、これまで米はほとんど使われてきませんでした。その一方で、地元でも減反が進められてきました。水田を守りたい、自給率を上げていきたいというのは30年ぐらい前からずっと考えていて、米を飼料に使うことも何度もチャレンジしましたが、どうしても越えられなかったのがコストの壁です。それが『産地づくり交付金』で国の支援を受けられることになり、生産者の協力が得られるようになった。飼料用米プロジェクトを本格的に始動することができました」

うれしい誤算は、こめ育ち豚の品質が予想以上に良く、おいしかったことだという。

「食べてみて、やった!と思いましたよ。こめ育ち豚には、今、トウモロコシの代替飼料として10%の米を与えていますが、あっさりとして癖がない上にうまみも増加したんです。やはり、日本の米を食べて育った豚の味は、日本人の舌に合うのではないでしょうか。この味ならば、通常の豚肉よりも価格が高めでも、消費者の方々にご理解いただける自信があります」

新田社長が、地元の飼料用米を使うもうひとつの理由が生産者の顔が見える安心感だ。

「外国産の穀物は、だれがどのように作ったのか分からないところがあります。みなさん、自分の口に直接入る食材は慎重に選びますよね。健康な豚を育てるのも同じです。その点、地元産の米なら全く心配がありません」

おいしくて、安心できて、さらに自給率向上も期待できる。いいこと尽くめのように感じる飼料用米プロジェクトだが、課題もある。

「平田牧場の豚をすべて“こめ育ち”にするのにも、今の飼料用米では足りません。国内の減反田100万haすべてに飼料用米を植えることができたら、日本の穀物自給率は劇的に上がります。我々のプロジェクトは、あくまでも先行モデルです。全国規模に広げていきたいと考えています」

コスト削減のため飼料用米は直播き栽培を採用。苗がまばらに生えている。看板にはごはん茶碗を持った豚。
コスト削減のため飼料用米は直播き栽培を採用。苗がまばらに生えている。看板にはごはん茶碗を持った豚。
手前が、米を10%配合した飼料。奥は試験的に導入している米30%のもの。
手前が、米を10%配合した飼料。奥は試験的に導入している米30%のもの。

平田牧場の養豚場で育つ「こめ育ち豚」
平田牧場の養豚場で育つ「こめ育ち豚」
酒田市内の平田牧場本店。価格は一般の豚肉より高めだが、おいしい食材を求める消費者が集まるという。
酒田市内の平田牧場本店。価格は一般の豚肉より高めだが、おいしい食材を求める消費者が集まるという。

平田牧場のホームページ http://www.hiraboku.com/ 相澤正=写真

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