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にっぽんの伝統食をたずねて「食の記憶」第2回 -3/3-

利尻昆布(北海道利尻町)


重さ、色つや、長さで選別。等級ごとに分ける。「手に持てばわかるけど、欲目で狂うから」と一枚一枚秤にのせて重さをはかる。
重さ、色つや、長さで選別。等級ごとに分ける。「手に持てばわかるけど、欲目で狂うから」と一枚一枚秤にのせて重さをはかる。
厳しく豊かな海から受け取る極上の贈り物

漁師が曇り空を見上げた。半日でいいから太陽の光が欲しい。

晴天なら4〜5時間で、つややかな漆黒に乾く。日光がないと白い粉が吹いて等級が下がる。雨に当たれば等級外である。

午後になって、雲は厚くなる一方だ。いったん並べた昆布を拾い集め、ストーブを焚(た)いた乾燥小屋に吊るして干しなおす。

「手間をかけるほど、等級が落ちるんさ」

色、つやを見れば、漁の日の空模様までわかってしまう。味は変わらないのに、せつない話である。

まる一日晴れる日を予測して、出漁を決めるのは元旗信号員。通称「旗あげさん」である。この人の決定には、全員が異義なしで従う決まりだ。大役である。

周囲63kmの島の真ん中に1700m級の山がそびえ、山を挟んで島の裏と表では、風の吹き方がまるで違う。漁期中、毎朝3時半には、判断を下さなければならない。

「夜中に、何回も起きて山を見ます」

風を読むのだ。

山に傘がかぶると沖風。海から来る沖風は危険率が高い。強風で海が「底揺れ」して小舟はひとたまりもない。山の雲がぱっと晴れれば、山から吹き下ろす“だし風”で海は凪。南風が吹くと天気が崩れる。

昔の人の風の言い伝えが、なにより心強い。漁期中、旗はよくあがって10本そこそこ。

「明日も、旗があがりますように」

旗あげさんと昆布漁師は、祈る気持ちで利尻富士のお山を仰ぐ。

雲行きが怪しくなった。雨が降る前に干した昆布を取り込み、傷つけないようわらのむしろに包んで、各家の乾燥室に運ぶ。
雲行きが怪しくなった。雨が降る前に干した昆布を取り込み、傷つけないようわらのむしろに包んで、各家の乾燥室に運ぶ。
仕上げ作業。昆布の端を切り落とし、等級ごとに一等級90cm、二等級75cmに切りそろえる。
仕上げ作業。昆布の端を切り落とし、等級ごとに一等級90cm、二等級75cmに切りそろえる。
切った昆布を木箱に入れ、一晩重石をしてしわを伸ばして完成。
切った昆布を木箱に入れ、一晩重石をしてしわを伸ばして完成。

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