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![]() Profile はせがわ・たけひこ
1954年、兵庫県神戸市生まれ。76年、日本獣医畜産大学畜産学科卒業。北海道別海町で実習。農協や病院勤務などを経て、91年、中札内村で就農。“牛の目線”に立った酪農スタイルを確立し、2000年「中札内村レディースファーム」を設立、08年4月「想いやりファーム」に社名変更。 ![]() 掃除が行き届いた想いやりファームの牛舎。敷きワラではなく砂が入っていて、牛の糞尿のにおいが全くない
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牛が気持ちよく分けてくれるように
「想いやり生乳(せいにゅう)」は、搾ったそのままの牛の乳を加熱殺菌しないでビンにつめて販売しています。タンパク質の焦げたにおいもなく、アレルギー体質や乳幼児でも「これなら飲める」と評価をいただいています。 牛乳も、本来は牛が子どもを育てるためのもの。人間の母乳と同じです。人間の女性だって、環境の変化などストレスを感じれば母乳に影響があるように、母牛が感じるストレスが、乳の質に影響を及ぼさないわけがありません。 「搾乳」は人間の目線での言葉で、牛にとっては「授乳」。牛が気持ちよく乳を分けてくれるようにと考え、工夫を重ねた結果、生乳の中の菌がほとんどなくなり、殺菌しなくても飲めるものができました。商品価値としての「無殺菌」を求めたことは一度もありません。 牛も人間も同じ生命です。生命を大事に育てるのだという意識を持ち、その生命を食べるために分けてもらっているのだということを忘れないようにしています。人間は、自分が特別な生き物だと勘違いしがちですが、他の動物よりも劣っている点もあります。 消費者が安心して飲める牛乳を
「無殺菌でブランド化したいのですが」「牛乳に付加価値を付けるのはどうしたらいいですか」などと質問を受けることがあります。無殺菌牛乳に取り組もうとして「保健所が厳しいからできない」という方もいますが、保健所の指摘は妥当なことが多いようです。人の口に入るものですから、消費者の健康を守るために、厳しい規制があるのは当然です。保健所の許可が受けられないような取り組みでは、無殺菌牛乳ができるわけがありません。 結局、「付加価値」とは、より多くの商品を売るための販売戦略にすぎません。もうけようと思ったら、いまのやり方は続けないでしょう。牛たちを自分の子どものように面倒をみるためには現在の60頭が限界で、事業を拡大することも不可能です。 生産者は絶えず努力を続けている
一方で、全国の消費者にいつでも牛乳を供給できるような生産体制も必要です。「安い方が売れる」という市場に従って、多くの酪農家がコストを削減して、少しでも安い牛乳を提供するための努力を強いられています。輸入飼料の高騰など酪農をとりまく環境がさらに厳しくなる中で、いかに効率よく牛乳をつくるか。消費されないと農家はなりたちませんから、生産者は絶えず努力を続けています。牛にも人にも相当な負担となっています。 しかし、そうした努力の中身は、消費者の側にはあまり知らされていません。牛乳に限らず、食品の価格がどんな理由で設定されたのか、どんな作り方をしているのか、消費者に正しい情報を伝えることも必要です。 牛乳の本当の価値を伝え続けること
私は農家の出身ではありません。高校生の時に「これからは食が大切だ。農業を目指そう」と直感的に考え、畜産大学に入ったことから酪農に関わるようになりました。卒業後、慣れない牧場勤務で体を壊し、医療関係や食品関係の職場に勤め「経済的な利益の追求」と「人のためになる仕事」の差を強く感じました。もう一度酪農に挑戦したいと思い、誰もやっていないやり方で「想いやり生乳」に取り組んだのです。 かつて「牛乳を飲むことは健康に良い」といわれ、「毎日飲め!」という雰囲気がありました。しかし、健康のためという面でも、最近は豆乳に押され、牛乳を飲む人が減っているようです。「もっと牛乳を飲みましょう」と訴えるだけでは足りません。私も消費者の方たちと直接語り合い、牛乳の本当の価値を知ってもらい、納得して飲んでもらえるものを作り続けていきたいと思います。 |
![]() 上/完全無添加で、「想いやり生乳」の味がそのまま楽しめるソフトクリーム
右/ピンクの牛のマークが目印の「想いやり生乳」。 通信販売もできる「想いやりファーム」のホームページhttp://www.omoiyari.com |
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