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特集2  季節の食材まるかじり 第3回(2)

現地レポート 宮城県石巻市 金華かつお
買受人の目利きで選別される上級品だけが金華ブランドで出荷されていく

親潮と黒潮がぶつかる好漁場、金華山沖を目の前に控える石巻港。ここで水揚げされるのが、脂のたっぷり乗った「金華かつお」です。
午前6時。水揚げ作業が始まる。この時期は巻き網漁が中心で、運搬船から次々にカツオが運び出されてくる
午前6時。水揚げ作業が始まる。この時期は巻き網漁が中心で、運搬船から次々にカツオが運び出されてくる

魚のブランド化に鮮度は重要な要素。水揚げ後、速やかに重量別に仕分けを行う
魚のブランド化に鮮度は重要な要素。水揚げ後、速やかに重量別に仕分けを行う

かつおの“体脂肪率”を計測。今年は脂の乗りが早く、6月中に10%を超えて「金華かつお」として出荷が始まった
かつおの“体脂肪率”を計測。今年は脂の乗りが早く、6月中に10%を超えて「金華かつお」として出荷が始まった
鮮度の良さも金華かつおの自慢

午前6時、運搬船が横付けされた岸壁で、カツオの水揚げ作業が始まった。待ち受けているのは十数名の作業員。氷や海水を撒き散らしながら、渡し板の中を踊るように転がってくるカツオを掴むと、小、中、大、そして、特大という4つのサイズに選り分け、プラスチックの水槽へと投げ入れていく。ひとつの水槽にはおよそ600〜700kgのカツオが入るそうだが、それが見る見るうちに一杯になっていった。

ここ石巻(いしのまき)港のカツオまき網漁船が操業するのは金華山(きんかざん)の東方200〜300kmの沖合。世界三大漁場のひとつ、三陸沖漁場の南端にあたり、ちょうど親潮と黒潮がぶつかるエリアだ。ちなみに漁船の役割は、全長2km、およそ600mの円を描くまき網の中にカツオの群れを追い込むところまで。そこへ運搬船が駆けつけ、カツオを船倉にすくい入れると、すぐさま港へと向かうのだ。

「船倉の海水氷はマイナス10℃。網の中を泳ぎ回っていたカツオをそこへ放り込んで一気に締め上げるから、金華かつおは鮮度が抜群なんですよ」

船員のひとりがおいしさの秘密の一端を教えてくれた。


市場の買受人がブランド価値を支える

1年を通じて200種類を超える豊富な魚介類が水揚げされる石巻港でも、漁獲の最も多いのがカツオで、その量は年間4〜5万トンにものぼる。そして、このうちの上級品と判断されたものだけが、「金華かつお」として県内各地や首都圏などへと出荷されていくことになる。

この石巻港独自のブランド「金華かつお」と認定されるには、水揚げ時期や魚体サイズなど、いくつかの条件を満たす必要がある。ただし、最終的な決め手となるのは、セリ落とした買受人(仲買人)による「上級品」であるという判断だ。生産者と消費者をつなぐ市場の買受人が、ブランドの価値にも責任を持つのである。

「カツオは群れごとに、餌の食べ方も回遊の仕方も、まったく違うんですよ。漁船はそれを一網打尽にするわけだから、同じ金華山沖で獲れたカツオでも、船によって、脂の乗り具合や肉質は微妙に違ってくるんです。このあたりをしっかり見極めるのが、買受人の腕の見せ所と言ってもいいのでしょうね」

こんな話を聞かせてくれたのは、水産卸業・齋吉商店を経営する齋藤光夫さんである。

この日、水槽にして30ケース、およそ20トンのカツオをセリ落とした齋藤さんは、港から道路一本隔てた会社に戻ると、すぐに社員総出で出荷作業に取りかかる。「金華かつお」のシールを貼った発泡スチロールのケースが次々とトラックに積み込まれていったのは、水揚げからわずか2時間後、午前8時すぎのことだった。

取材からの帰り道、石巻市内のスーパーに立ち寄ると、ついさっき齋吉商店から出荷されたばかりの金華かつおが、すでに店頭に並んでいた。港町ならではの早業である。その評判を店員さんに訊ねると明るい声が返ってきた。

「今年は例年になく脂の乗りがいいんですよ。このあと戻りカツオが出回るようになれば、脂の乗りはさらに良くなるので、私も、お客さんたちも、今からとても楽しみにしているんですよ」

後継者の長男と一緒に商品のカツオをチェックする齋藤さん 石巻市内のスーパーの鮮魚売り場に並ぶ、当日水揚げされた「金華かつお」。鮮度が高いため、刺身で食べるのが人気だという魚市場近くの食堂の刺身定食は、石巻名物のカツオとクジラ
左/後継者の長男と一緒に商品のカツオをチェックする齋藤さん
中央/石巻市内のスーパーの鮮魚売り場に並ぶ、当日水揚げされた「金華かつお」。鮮度が高いため、刺身で食べるのが人気だという
右上/魚市場近くの食堂の刺身定食は、石巻名物のカツオとクジラ

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