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魚柄仁之助の「もったいなくない食生活」 第5回

エリンギがおいしく変身!“松茸のフリッター”


昭和12年発行「婦人倶楽部」(講談社)の付録「家庭西洋料理全集」より
昭和12年発行「婦人倶楽部」(講談社)の付録「家庭西洋料理全集」より

魚柄 仁之助さん
Profile うおつか・じんのすけ
食文化史研究家。1956年、福岡県北九州生まれ。大学で農業を学び、その後バイク店を18カ月間、古道具店を10年間経営。以後、健康的で無駄のない食生活を提言し続ける。『冷蔵庫で食品を腐らす日本人』『うおつか流 大人の食育』など著書多数。最新刊は『冷蔵庫で食品を腐らせない日本人』。
ぐやじい!!昭和10年頃の料理本を見ると「マツタケがたくさん買えたときに…」といった表現があります。あり得ないですねー、21世紀のニッポンでは…。しかもあの時代にしてはハイカラな「フリッター」ですぞ。レシピを見ると5人前で50匁(もんめ)とあるから約180g、つまりお一人様35gぐらいってことですが、今どき、マツタケを35g食べるって、宝くじレベルの話ですね。くやしいから“台所の魔術師”と言われたおいさんは、エリンギで似たもんづくりをするのでした。

擬似マツタケフリッターこそ、物価高に立ち向かう“もどき食品”であるのだ。

まずエリンギを一見マツタケ風に、厚さ2〜3ミリの縦切りにする。それを海水ぐらいの塩水に10分間浸した後、引き上げて水気をとる。生卵を泡立て器でふんわり泡立て、そこに小麦粉を大さじ1杯加えて再び泡立てる。フワフワになった衣にエリンギを入れ、180ccくらいの油で30秒ぐらい揚げる。

揚げ物といっても30秒ぐらいなので、色は白っぽいのです。これ以上揚げると茶色になり、固くなる。30秒程度が食感もマツタケっぽくてよろしい。

まずは粗塩でやってみよう。まさに風味はマツタケってとこです。そして次は大根おろしに天つゆですな。こいつぁ、ごはんのお友達。おいさんが酒の肴にするのは、塩とレモン汁ですな。マツタケでなくても、かなりマツタケ風で安く旨いのぢゃ。こいつを溶き卵でとじても旨いのです。

エリンギは人口栽培できるけど、マツタケはできない。マツタケの減少は、どうやら戦後のエネルギー革命によって薪や柴が不要となり、里山林が利用されなくなったことが原因らしい。森林が使われなくなったことで、土壌がマツタケの生育には向かない状態になってしまったんですな。

本物のマツタケを、昔のようにたっぷり食べたければ、とりもなおさず人間の暮らしをもう一度考えてみるべきじゃなかろうか。

エリンギがおいしく変身!“松茸のフリッター” 【エリンギのフリッター】
材料(1人分)
エリンギ1〜2本、卵1個

作り方
  1. エリンギを縦に薄切りにして塩水に10分浸す。
  2. 溶き卵をしっかり泡立て、小麦粉を少し加えたものを衣にして180度の油でさっと揚げる。
  3. 食べるときにレモン汁を少しかける
加藤タケ美=写真
陶器作成=堀込和佳

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