【affラボ】 コシヒカリに挑む北海道産米「おぼろづき」
affラボでは、暮らしに役立つ農林水産分野の最新の研究成果を紹介します。
 |

上/「コシヒカリ」(左)と比較すると「おぼろづき」はわずかに小さめで白濁している
左/コメが透き通っておらず白いことから、秋の空にかすんだ月にちなんで「おぼろづき」と名付けられた
|
かつて「北海道のコメは、本州産にはかなわない」と言われていました。コメは、でんぷんに含まれるアミロースという成分が少ないほど、粘り気が強く柔らかくなりますが、稲が実る時期に気温が低いとアミロースの量が増え硬くなります。寒い北海道ではコシヒカリのような粘り気の強いコメを作るのは難しかったのです。
一般的な北海道産米のアミロース含有率が20%なのに対して、コシヒカリは18%、柔らかさと粘り気が人気のミルキークイーンは10%。さらに粘るもち米は0%。
しかし、このような北海道産米のイメージを一新したのが、(独)農研機構北海道農業研究センターが育成し、2003年に品種登録された「おぼろづき」です。アミロース含有率は約14%で、コシヒカリとミルキークイーンのちょうど中間の食感が実現しました。育成に携わった安東郁男さん(現・(独)農研機構作物研究所稲マーカー育種研究チーム)は、ミルキークイーンの開発にも関わった研究者。「ミルキークイーンの粘りの強さは消費者の好みが分かれるところがあります。そこで、コシヒカリとの中間の食感のコメができれば、究極の味になると考えました。北海道農業研究センターで新しく生み出された低アミロースの突然変異体に冷害に強い品種を交配してできたおぼろづきのアミロース含有率はまさに理想の値。コシヒカリとも十分勝負できると思いました」と振り返ります。
しかし、おぼろづきは、米粒の大きさがわずかに小さかったため、当初は北海道の奨励品種には選ばれず、一般に出回ることはありませんでした。安東さんは「こんなにおいしいコメが埋もれるのは惜しいと、一部の生産者に試験的に栽培を続けてもらったところ、『おいしい』との評判が広がり、マスコミでも取り上げられ、消費者からのリクエストも多く、2005年に奨励品種となりました。さらに、06年の『全国米・食味分析鑑定コンクール』で最高の金賞を受賞。この品種の力が認められてとてもうれしかった」と話していました。その後、おぼろづきを栽培する生産者も増え始め、産地直送の通信販売などで入手することができます。
刈り取りを待つ「おぼろづき」
(写真提供・北海道農業研究センター)