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特集2  季節の食材まるかじり 第4回(1)

サツマイモの甘い誘惑
悪条件でもおいしく育つ 広がるサツマイモの可能性

焼き芋、ふかし芋、大学芋…サツマイモは、中国から伝わった江戸時代より日本人に愛されてきました。
今年も甘いサツマイモが、もうすぐ収穫の時を迎えます。
サツマイモの甘い誘惑
日本伝来300年を超えてサツマイモは宇宙へ

鹿児島・桜島の火山灰で出来たシラス台地でも力強く育つことで分かるように、サツマイモは気候が温暖であれば、土壌に恵まれなくても、干ばつのような気象上の問題があっても栽培が可能です。1705年に日本に伝来し、主に薩摩で作られていたサツマイモを、江戸幕府が関東に広めたのも、飢饉(ききん)対策がきっかけでした。近年、悪条件でも収量が見込める特徴にNASAも注目、将来の宇宙ステーションでの栽培を目指した研究も進められています。

サツマイモが悪条件に強いのは、根の養分吸収力が強いため。他の農産物には不向な火山灰土や海辺の砂地でも育つことができます。ブランド芋として注目される徳島県の「鳴門金時(なるときんとき)」や石川県の「五郎島金時(ごろうじまきんとき)」などは、海に近い保水性の弱い砂地で、生産者が丁寧に育てたことにより、他産地にはない甘いサツマイモが出来た好例です。

実は、「鳴門金時」も「五郎島金時」も元は同じ品種。昭和20年に高知県で育成された品種「高系(こうけい)14号」から選抜されたもので、作る土地が変わると、形や味まで変わるのです。サツマイモの主な生産地は九州と関東ですが、九州では短く丸く、関東では細長くなる傾向があるそうです。

また、青果用は色や形が厳しく選抜されますが、菓子類や総菜の材料などの加工用にも幅広く使われるため、どんな大きさのイモでも無駄になりません。

さらに、豊富な食物繊維は、便秘解消やコレステロール低下に効果があるとされ、ビタミン類を豊富に含むなど、サツマイモは低カロリーで美容食としても注目です。そして何と言ってもサツマイモの魅力は甘さとホクホクの食感。産地の工夫や、新品種の研究などで、甘くておいしいサツマイモが食卓に届くようになっています。

ベニサツマ(高系14号)
ベニサツマ(高系14号)
昭和20年に高知県で育成され、現在も全国で広く栽培されている。栽培される地方や選抜された系統にさまざまな名前が付けられ、鹿児島県ではベニサツマとなる。
安納紅(あんのうべに)
安納紅(あんのうべに)
安納芋は種子島に古くから伝わる品種で、島内の安納地区で作られていたもの。在来種から選抜された安納紅は皮色が鮮やかで、蒸すと中が橙色になる。

コガネセンガン
コガネセンガン
でんぷん用として育成され、昭和41年に品種登録。芋焼酎の原料の大部分がこの品種。食用として消費されることも。皮は黄褐色、肉色は黄白色。
クイックスイート
クイックスイート
青果用として育成され、平成14年に品種登録。糊化温度の低いでんぷんを含むため、調理時間が短くても甘くなり、電子レンジ調理用として発売されている。

アヤコマチ
アヤコマチ
β-カロテンを含有した肉色が鮮やかな橙色の品種で、平成18年に品種登録。食味が良く、変色も少ないのでサラダなどへの利用が期待されている。
アケムラサキ
アケムラサキ
肉色が濃い紫色の高アントシアニン加工用品種で、平成17年に品種登録出願。紫イモブームの最先端品種で、ジュース、菓子などさまざまな食品への利用が期待されている。
ときまさり
ときまさり
焼酎用として育成され、平成19年に品種登録出願。原料当たりの純アルコール収得量が「コガネセンガン」より多い。焼酎用では珍しく、皮色が薄紅色で、香りも良い。

相澤正、加藤タケ美=写真
写真提供/九州沖縄農業研究センター、向井 渉

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