ホーム > 報道・広報 > 2012年aff(あふ)5月号 > aff(あふ)バックナンバー > 08年10月号目次 > 魚柄仁之助の「もったいなくない食生活」 第6回
![]() 昭和14年発行「主婦之友」(主婦之友社)の付録「國策お惣菜料理の作方二百種」より
![]() Profile うおつか・じんのすけ
食文化史研究家。1956年、福岡県北九州生まれ。大学で農業を学び、その後バイク店を18カ月間、古道具店を10年間経営。以後、健康的で無駄のない食生活を提言し続ける。『冷蔵庫で食品を腐らす日本人』『うおつか流 大人の食育』など著書多数。最新刊は『冷蔵庫で食品を腐らせない日本人』。 |
すゐとんという料理、どーしても戦中戦後の“ひもじい”イメージがぬぐえないのだが、この豚肉すゐとんはヘルシーかつ旨い。まずダシがきいておりますな。一人前に対して昆布は5cm角、鰹節は1カップで十分。そして豚肉はスライス1枚でいいのだ。豚肉が多すぎるとギトギトと脂っぽくなるが、このくらいだとあっさりしていて、まるで「治部煮」みたいなもんですね。 そして問題の小麦粉が何ともニクイ。小麦粉と片栗粉を混合させることで食感がツルンとしてきます。3cm角に切って茹でると、京都の生八ッ橋みたいなモチモチ感が漂うのです。今回は3cm角に切った後、中心部をキュッとつまんで耳の形にして入れましたの。キュッとつまんだとこが、シコシコしてこれまたよろしい。まんなかシコシコ、まわりツルッ。昭和14年の日本人は何とも上品なすゐとんを食べておったんですね。 一般にスイトンと呼ばれておるのは、水と小麦粉とをこねて団子にし、そいつをビー玉くらいにちぎって茹でるものが多いのです。戦中戦後のレシピでは、小麦粉を水でゆるく溶き、お好み焼きの生地くらいにして、それをスプーンですくい、湯に落としております。量を増やすためなのでしょうが、あまり旨いものではありません。しかし昭和14年のすゐとんは「小麦粉ってこんなにも旨いのか!」と驚くほどリッチなものでありました。 今回、このすゐとんを再現してみて感じたのは、東北の郷土料理である「ひっつみ」や「はっと汁」がそれを受け継いでいるのではないか?ということです。輸入物の小麦でなく、細々とつくられている南部小麦を使い、北海道でつくられたジャガイモのでんぷんを使ったすゐとん、ひっつみ、はっと汁は、間違いなく日本産粉食文化と言えましょう。国際的な食料価格高騰…とか言われてますが、国産地粉大さじ3杯で腹いっぱいだから、コリャ安いもんだわ。 |
![]() |
【豚肉すゐとん】 作り方
|