ホーム > 報道・広報 > 2012年aff(あふ)2月号 > aff(あふ)バックナンバー > 08年10月号目次 > MAFF TOPICS affラボ


ここから本文です。


MAFF TOPICS affラボ

【affラボ】 種子ができなくても果実が大きくなるナス「あのみのり」

affラボでは、暮らしに役立つ農林水産分野の最新の研究成果を紹介します。

紫色の光沢が美しい「あのみのり」。受粉しなくても大きく育つのが特徴 冬の「あのみのり」と違って、夏に収穫された「あのみのり」には種が少し残っているが、おいしくて食べやすい

上/冬の「あのみのり」と違って、夏に収穫された「あのみのり」には種が少し残っているが、おいしくて食べやすい

左/紫色の光沢が美しい「あのみのり」。受粉しなくても大きく育つのが特徴

「秋なすは嫁に食わすな」ということわざの通り、本来のナスの収穫期は秋ですが、今では一年中店頭に並ぶようになっています。しかし、従来のナスには、受粉しなければ果実が大きくならない性質があり、花粉が充実しない寒い時期には、一輪の花ごとにホルモン剤処理をして果実を大きくする必要がありました。ホルモン剤処理にかかる労力は、ナス農家の全作業の約3割にもおよび、年間を通じてのナスの供給は生産者の負担で成り立っていたのです。

ホルモン剤処理が必要ない品種が求められる中、(独)農研機構野菜茶業研究所が開発したのが「あのみのり」です。農家の負担を軽くするだけでなく、冬期は種がない果実が収穫できて「食べやすい」と評判になりました。また、「あのみのり」のもう一つの大きな特徴は、形もきれいで味も良いこと。農作業の軽減で、コストも下がれば、消費者にとってはさらに「おいしい」ナスということになります。

同研究所の野菜育種研究チーム・齊藤猛雄さんによると「受粉作業やホルモン剤処理しなくても、果実が肥大する性質を単為結果性といいます。イタリアの研究所から単為結果性のナスを導入したのは1994年のことですが、着果する数が少ない傾向に加え、ヘタが緑色であるなど、日本で普及するには欠点がありました。このため、日本人の嗜好に合うように改良するのに時間がかかったのです」と説明しています。

日本の品種と交雑を行い、約10年後、「あのみのり」が完成。齊藤さんは「『あのみのり』は、生産者にとっては栽培の省力化が実現し、消費者にとっても外観がきれいで味もよい品種です。それでもまだ、既存の普及品種に比べると、収量が少ないのが欠点です。また、種なしナスと言われることもありますが、花粉の受精能力が低い冬は種なし果実になりますが、受精能力が十分にある夏は、通常のナスと同様に種子ができます」と今後の課題についても話しています。同研究所では現在、「あのみのり」に続いて、花粉が形成されず、受精することもなく、季節を問わずに種がないナスの育成に取り組んでいます。

農林水産技術会議ホームページ http://www.s.affrc.go.jp
独立行政法人 農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)ホームページ http://www.naro.affrc.go.jp
写真=向井渉

ページトップへ


アクセス・地図