【affラボ】 「今年のロボット大賞」審査員特別賞を受賞 未来の農業を支える「田植えロボット」
affラボでは、暮らしに役立つ農林水産分野の最新の研究成果を紹介します。
将来への期待度が高いロボットを表彰する「今年のロボット大賞」(主催・経済産業省ほか)の審査員特別賞に、農研機構・中央農業総合研究センターで開発中の「田植えロボット」が選ばれました。担い手の減少が懸念される農業分野への大きな貢献が期待され、社会的意義の高さや可能性の大きさなどが高く評価されての受賞です。
このロボットの研究が始まったのは1997年。同研究センター高度作業システム研究チームの玉城勝彦さんは「日本の水田のように小規模の農地で人の負担を減らすにはどうするか。ロボットしかない、と研究がスタートしました」と説明します。
田植えロボットは、市販の田植え機に高精度GPSアンテナと姿勢制御装置等を取り付け、事前に設定した作業経路に沿って作業を行う仕組みです。最も苦労した点は、ぬかるんだ水田を設定通りに走らせることだったそうです。「舗装された道路での実験では全く問題ないのに、でこぼこでぬかるんだ水田ではまっすぐ走れないのです。姿勢が安定しないからGPSで正確な位置が計測できず、設定通りに動かせませんでした。何気ない作業にも農家の巧みな技術が潜在していることを実感しました。そこで、姿勢を制御するためのセンサーやメインコンピューターを改良し、運転操作を行うモーターもより強力なものにすることでブレを補正し、人間の操作を再現することに成功しました。今はまだ並の農家の腕ですが、次は田植え名人級を目指しています」と玉城さん。
コスト面など、課題も残っています。「将来的には、GPSやセンサーなど自動制御の装置は取り外しを可能にして、田植え機だけでなく、トラクター、コンバインなどでも共用可能にすることで、利用機会を増やしていきたい。生産者の負担を軽くして、日本の農業を守ることにつながればと考えています」
運転席脇のボックスには、動きを制御するための装置が取り付けられている。「動物で言えば神経のような働きをする部分です」と玉城さん