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特集2 季節の食材まるかじり 第6回(1)

ダイコンの深い味わい

大根と聞いて、思い出すのはどんな味でしょうか。出汁が染みこんだ煮物、焼き魚に添えられた大根おろし、鍋の具材としても欠かせません。1年でもっとも寒くなるこの時期、あらためて大根を味わってみませんか。
地域性豊かなダイコンを楽しむ
地域性豊かなダイコンを楽しむ。

大根は世界的にも歴史の古い野菜です。「ピラミッドの表面には労働者にダイコン、タマネギ、ニンニクを支給したとの記述がある」と、古代ギリシャの歴史家ヘロドトスが書き残しているほどです。地中海沿岸から中央アジアが原産地とされるダイコンが、中国を経て日本にやってきたのは8世紀ごろだといわれています。

江戸時代に入り、呼び名も現在と同じ「ダイコン」となり、日本中に普及しました。現在、ダイコンの収穫量は約163万トン(平成19年産)と、国内で最も多く栽培されている野菜のひとつです。

長い歴史を通じて、それぞれの地域でさまざまな独自の品種が生まれました。関東ローム層のやわらかい土壌で育つ練馬大根は長い尻細りの形に、近畿地方の粘土質の土壌で育つ聖護院大根は丸くなります。また、世界一大きいことで知られる桜島大根は、桜島火山の砂礫土だからこそ育ちます。世界一長いとされる守口大根も、木曽川流域の細かい砂地で栽培されています。そして、それぞれの地域で、さまざまな郷土料理の材料となりました。もっとも特徴が現れているのが、漬物かもしれません。

たとえば、干したダイコンを米ぬかと塩に漬け込んでつくるたくあん漬けは、江戸時代初期に沢庵禅師が考案したとされ、江戸を中心に全国に広まりました。その後、北は秋田のいぶりがっこから、南は鹿児島の山川漬まで、日本中にさまざまなバリエーションが生まれました。

沢庵漬けに最適なダイコンは、東京の練馬大根だと言われています。東京の都市化により、練馬区内での栽培が難しくなった後も、漬物用ダイコンの王様といわれています。

ダイコンは冬の食卓にはかかせない食材です。寒い夜には、ふるさとのダイコンの味を思い出してみませんか。

桜島大根
桜島大根
ギネスブックに認定された世界最大の大根。大きなものは30キロほどになる。
練馬大根
練馬大根
白首ダイコンの代表格。徳川綱吉が紀州から種を取り寄せて作られたのが始まりとされる。
ラディッシュ
ラディッシュ
3週間ほどで収穫でき、二十日大根ともいわれる。ヨーロッパ系のダイコン。
聖護院大根
聖護院大根
古くから京都市の聖護院地域で栽培されていた丸い大根。大きさは約1キロ。
 
辛味大根
辛味大根
強い辛味が特徴で、そばの薬味として人気、そばの産地、信州にはさまざまな地大根がある。
黒だいこん
黒だいこん
ヨーロッパではサラダ用などに使われるダイコン。他に灰色や褐色のものもある。
いぶりがっこ
いぶりがっこ
秋田県の漬物。ダイコンをいろりの上で燻してから、たくあん漬と同様に米ぬかと塩で漬け込む。
たくあん漬
たくあん漬
干し方などが地域によって差があるが、江戸時代に練馬が主産地となった東京沢庵が中心。
 
べったら漬
べったら漬
浅く塩漬けしたダイコンを、米麹に漬けた甘い漬物。日本橋のべったら市も有名。
千枚漬け
千枚漬け
京都の聖護院かぶらを使ったものが有名だが、ダイコンの千枚漬けも。
ゆず大根
ゆず大根
冬の京漬物のひとつ。大根の浅漬けに、ゆずを添えたさっぱりとした味が特徴。
奈良漬け
奈良漬け
野菜を酒粕で漬けたもの。樽の一番外側には世界一長い守口大根を漬けた守口漬けも。

加藤タケ美、高橋久雄=写真

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