【affラボ】 寒さで甘みが増す「寒締めホウレンソウ」
affラボでは、暮らしに役立つ農林水産分野の最新の研究成果を紹介します。
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上/ハウス内の「寒締めホウレンソウ」。寒さに耐えるため、葉は地面を這うように広がるそうです
左/「寒締めホウレンソウ」の表面。ざらざらした粒はえぐみ成分「シュウ酸」が入った粒で、洗ったり茹でたりすると簡単に取れる。“寒締め”することで、シュウ酸が減る品種もあるという
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葉や茎が縮んでシワシワになったホウレンソウが注目されています。ホウレンソウが寒さに耐えるために葉に糖などを蓄える性質を利用して、北国の冬の冷たい空気にさらすことにより、通常のホウレンソウよりも甘くなった「寒締(かんじ)めホウレンソウ」です。
「寒締めホウレンソウ」の栽培技術を開発したのは、農研機構東北農業研究センター。冬場のハウスでも保温効果を高め、ホウレンソウなど葉菜類の生長を促進する技術を研究していましたが、「育った後で寒さに当てれば甘くなるのではないか」と試しに1棟のハウスの窓を開けてみたのが、「寒締めホウレンソウ」誕生のきっかけでした。
「寒締めホウレンソウ」は、なぜ甘いのでしょうか。同研究センターやませ気象変動研究チームの青木和彦さんは「ホウレンソウに限らず、寒さに耐える植物は体内の糖濃度を高めて、凍ってしまうのを防ぐ働きを持っています。車の不凍液と同じ原理です。寒さに弱い植物・野菜はこの働きが弱く、凍って細胞が壊れ、枯れてしまいます。ホウレンソウの場合は、糖度が上がるだけでなく、ビタミン類の含有量も高くなります。葉の色も濃くなり、甘みだけでなく濃厚な味になると言われています」と説明しています。
研究はスムーズに進みましたが、農家での栽培が広まるまでには、苦労もあったようです。青木さんは「やはり『寒さでダメになる』との先入観でハウスをすぐ閉めてしまうなど、なかなか理解してもらえませんでした。寒締めの仕組みを理解してもらえて初めて、積極的に取り組まれる方が増えました」と振り返ります。
今では、東北以北の地域で、冬の特産物として定着しつつある「寒締めホウレンソウ」ですが、寒さにさらさなくても葉が縮む品種があるので、消費者は要注意です。青木さんは、「“寒締め”の場合、葉よりむしろ茎にシワがよるので、茎で見分けるといいですよ」と話していました。
雪に囲まれたハウスの扉や窓は開け放たれている。ハウスに入る冷たい空気が、寒締めホウレンソウをおいしくする(写真提供/農研機構東北農業研究センター)