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魚柄仁之助の「もったいなくない食生活」 第9回

“ひと味足りない”おいしさに思わず感涙!のライスカレー


魚柄 仁之助さん
Profile うおつか・じんのすけ
食文化史研究家。1956年、福岡県北九州生まれ。大学で農業を学び、その後バイク店を18カ月間、古道具店を10年間経営。以後、健康的で無駄のない食生活を提言し続ける。『冷蔵庫で食品を腐らす日本人』『うおつか流 大人の食育』など著書多数。最新刊は『食べかた上手だった日本人』。
料理の友

昭和14年の料理本に載っておりました。カレー粉の量は小麦粉の1/4ぐらいなので色もあまり黄色っぽくないのです。鮭は昔の北海道産新巻鮭なので塩がきつく、昨今のチリ産のように脂ぎっていない。そして使うジャガイモは言わずと知れた北海道産の男爵と、まさに“北の大地の贈り物”的カレーであります。「ボーイズ・ビー・アンビシャス」で有名なクラーク博士が伝えたのがこのカレーの始まりだった…などというホラ話がまかり通りそうなニッポン的カレーなんですな。当時のレシピに「リンゴやバナナを入れてもよろしいでせう」とあるが、まさにその通り。「♪リンゴとハチミツ〜」は昭和10年代にルーツがあったんですネ。

お味は?というと、強塩の鮭ゆえ、味つけの必要はありまっせん。今日の甘塩鮭でしたら塩を加えなければならんでしょう。スタッフ一同で食べたんですが、一同「昔の学校給食のライスカレーだ!!」という結論に至ったのでした。あっさりしていてやや粉っぽくピリッとしたものがない。なのにどこか懐かしくもある…そう、ひと味もふた味も足りないからこそ、子どもの頃の思い出がよみがえるのです。このカレーをサツマイモごはんにかけて食べると、サツマイモのホクホク甘さと相まって、思わず涙ぐんでしまうのです。

ところで学校給食のカレーって、よくソフト麺と組み合わせておりませんでしたでしょうか?スパゲティと細うどんの中間のような、あまりコシが強くなく、やや頼りないようなゆで麺がソフト麺でした。これに“ふた味足りないカレー”をかけて食べておったんですな。今日、このソフト麺を再現するなら、スパゲティをゆで時間1割増しでゆで、水を切ったらサラダ油をまぶしてラップに包み、一度冷ましたのを電子レンジで温めるとばっちしソフト麺になるのです。夕焼け空の下、トンボを追いかけていた子どもの頃の味を楽しんでみようではないか。♪あの、素晴らしいカレーをもう一度〜。

ライスカレー 【ライスカレー】
材料(1人分)
ニンジン1/4本、ジャガイモ1/2個、塩鮭1切れ、長ネギ1/4本、モヤシ50g 、サツマイモ1/2個、米1合、ラード、小麦粉、カレー粉各適宜

作り方
  1. 1cm角に切ったニンジン、ジャガイモを柔らかく茹で、2cm角に切った塩鮭、斜に切った長ネギ、モヤシを加えてひと煮立ちしたら火を止める。
  2. 別鍋にラードと同量の小麦粉を炒め、カレー粉を加えて練り合わせる。
  3. 2のカレールーに1の煮汁を加え、ルーが煮汁に溶けたら具も加えて焦げぬよう20分弱煮る。
  4. 1cm角に切ったサツマイモを米と一緒に炊いてサツマイモごはんをつくる。
写真=加藤タケ美
陶器作成=堀込和佳

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