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農林水産省

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MAFF TOPICS(5)

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MAFF aff LABORATORY 世界で初めて産卵海域で成熟ウナギを捕獲

人工種苗生産技術向上に大きな一歩


affラボでは、暮らしに役立つ農林水産分野の最新研究成果を紹介します。
水深200~300mと深い場所で捕れたウナギ
大型中層トロール網を使って、水深200~300mと深い場所で捕れたウナギ

シラスウナギ
養殖研究所で人工孵化後251日目のシラスウナギで全長54.15mm。正常なシラスウナギとしては初めての個体

ニホンウナギのオス
捕獲されたニホンウナギのオス

世界で初めて海で取れたウナギ
世界で初めて海で取れたウナギを手に取る調査員
謎の多い魚「ウナギ」

日本人が大好きなウナギ。実はこのウナギ、数多い魚類のなかでも謎の多い魚なのだそう。

産卵で川を下る親ウナギは、群れを作らずに海に戻って行きます。またその時期は餌を食べないので捕獲することが難しく、どのような回遊ルートをたどって産卵場所まで行き着くのか、ほとんど分かっていません。昔から、海のウナギがどこにいるのか、ということは大きな謎でした。

私たちが食べている養殖ウナギは、天然のニホンウナギの稚魚(シラスウナギ)を捕獲し育てたものが100%。

ところが近年は稚魚の数が激減。こうした状況にウナギの養殖業者も危機感を募らせており、産卵してから稚魚になるまで人間の手で管理され、人工的に育てられた種苗によるシラスウナギ供給の要望が年々大きくなってきています。

現在、水産総合研究センター養殖研究所で、人工的に卵を産ませふ化することは実現できています。しかし天然のうなぎの生態に関するデータが十分にないため、稚魚の生産量も生残率も低い状態にあります。

世界初の発見

人工種苗の生産技術向上のためには、自然界にいる親ウナギの生態の解明が必須です。そこで水産庁と水産総合研究センターでは、親ウナギの捕獲を行ってきました。

そしてちょうど1年前の平成20年夏、ついに産卵海域と想定されていた太平洋の西マリアナ海嶺南部付近の中層で、成熟したウナギ4匹の捕獲に成功しました。

「この場所での親ウナギの発見は世界で初めてのことであり、ウナギの生態解明、生産技術の向上への大きな前進です」と、調査に参加した同センター中央水産研究所の張成年浅海生態系研究室長は言います。

養殖研究所の田中秀樹氏は「天然成熟ウナギの成長履歴を調べることで、人工ふ化で親を飼う条件を分析できる。ホルモン剤を使わずに成長させたいので、そのヒントが得られるだろう」と語ります。

土用の丑の日や夏バテ解消に、と食べる機会を楽しみにしている方も多いでしょう。遠い海での成熟ウナギの発見は、実は私たちがおいしいウナギを今後も食べ続けることができる可能性を、いっそう高めてくれた大きな一歩でもあります。

農林水産技術会議 http://www.s.affrc.go.jp/
独立法人水産総合研究センター http://www.fra.affrc.go.jp/