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MAFF TOPICS(4)

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affラボ 世界初の閉鎖循環式「屋内型エビ生産システム」

安全な国産エビを食卓に

affラボでは、暮らしに役立つ農林水産分野の最新研究成果を紹介します。


立地場所を選ばず環境にもやさしい「屋内型エビ生産システム」。
薬品を一切使わない安全で高品質のバナメイエビの国内養殖が可能になっただけでなく、産業振興 雇用促進などの経済効果、自給率のアップにもつながる技術として各方面で注目を集めています。

身がしまっており味もおいしいバナメイエビ
身がしまっており味もおいしいバナメイエビ。寿司、天ぷら、パスタなどさまざまな料理の素材に使える。タイやインドネシアのようにブラックタイガーから、バナメイエビに養殖を移行している国も多い


プラント内部
プラント内部。水槽は逆三角形をしており、底にたまる排出物やえさの食べ残しも機械が掃除し清潔に保つ。換水時も水質基準以下に改善してから排水できるので、土壌を汚染することもない
(写真提供協力:(株)アイ・エム・ティー)

バナメイエビは体色が白っぽい小ぶりなエビ
バナメイエビは体色が白っぽい小ぶりなエビ、もともとメキシコやエクアドルなど南米原産のクルマエビ科の一種。水の中を泳ぐのも特徴のひとつ
場所を選ばず生産可能

現在、日本のエビの消費量は年間約26万トン。国内自給率は約10%に過ぎず、多くをタイなど海外で養殖されたエビの輸入に依存しています。

(独)国際農林水産業研究センター、(株)アイ・エム・ティー、(独)水産総合研究センター養殖研究所の連携によって、国産エビを安全かつ大量に生産することができる閉鎖循環式の「屋内型エビ生産システム」が開発され、第7回産学官連携功労者表彰において農林水産大臣賞を受賞しました。

このシステムは閉鎖式のため、外部からウイルス侵入の心配がなく、SPF(特定病原菌を持たない)稚エビを使用していますので、抗生物質などの薬を使う必要がありません。水も循環、ろ過して常に管理された清潔な水の中で飼育することができます。

さらに、このシステムは立地条件を問わないので、土地さえあればたとえ山の中でもエビの生産は可能です。地域の活性化や雇用も促進でき、経済への貢献も期待されています。

生産効率の良いバナメイエビ

このシステムで生産されるエビとして選ばれたバナメイエビには、ブラックタイガーなどに比べ、ウイルスに対する抵抗力があり、淡水に近い水質にも強いという特徴があります。

また、クルマエビのように砂に潜る習性のエビには、水槽の底しか使えませんが、バナメイエビは泳ぐ習性のエビのため、水槽を立体的に効率よく使うことができます。

このシステムの研究でエビの生態や生理の研究を担当した(独)国際農林水産業研究センターのマーシー・ニコル・ワイルダーさんは、「このシステムを確立するまでには、淡水でエビを育てる実験を行い、カルシウム不足で殻に傷が付きメラニンが沈殿してしまったり、実際に始まってからも途中で死んでしまったり、なかなか思い通りにはいきませんでした。時間はかかりましたけれども、ノウハウは経験を積むことで蓄積されていきました」と、試行錯誤の繰り返しだった当時を振り返ります。

このシステムを用いた第1号プラントは新潟県妙高市に2年前に建設され、実証試験を経て現在稼働しています。

「今後は病原体を持たないバナメイエビの稚エビのふ化技術、生産の研究を推し進めていく予定」とワイルダーさんは話してくれました。

最近、店頭で輸入のバナメイエビを見ることが多くなりました。近い将来、安全な国産バナメイエビが私たちの食卓を賑わせてくれることでしょう。

独立行政法人 国際農林水産業研究センター
http://www.jircas.affrc.go.jp/index.sjis.html

株式会社アイ・エム・ティー
http://www.imt-japan.co.jp/

独立行政法人 水産総合研究センター養殖研究所
http://nria.fra.affrc.go.jp/