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農林水産省

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駅弁紀行 第6回

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ヨネスケ

東海道新幹線・東海道本線

米原駅「湖北のおはなし」


琵琶湖地方名物の鴨肉を主役に和のテイストを盛りつけた心配りの絶品弁当。
湖北のおはなし

湖北のおはなし
安政元年創業。明治22年7月1日、東海道線開通と同時に駅弁屋を始めた井筒屋の限定販売品。1,100円
製造元:井筒屋 Tel.0749-52-0006
*井筒屋では、ほんのりカレー風味のご飯に、近江牛を贅沢にのせた「近江牛大入飯」(1,000円)や、
「元祖鱒の姿寿し」(850円、要予約)など、地元の食材を活かした弁当が豊富だ。

【おしながき】
枝豆が散らされた白おこわ
鴨のロースト
田舎風炊き込みこんにゃく
卵焼き
葱とお揚げのぬた
小芋丸煮
山ごぼうの漬物
赤カブの漬物
梅干し
ニッキ飴

ヨネスケ
ヨネスケ(桂 米助)
かつら・よねすけ/落語家。千葉県市原市出身。桂米丸氏に弟子入り、1967年デビュー、1981年真打ちに昇進。その人情味あふれるキャラクターで幅広い年齢層に親しまれる。日本テレビの「突撃! 隣の晩ごはん」では、全国津々浦々の家庭にいきなり訪問。アポなしながら最終的に歓迎されてしまうのは、やはりその人柄によるものであろう。また、こうした取材移動から、日本中の駅弁・空弁を食べ尽くし紹介するブログ「ヨネスケの駅弁! 空弁! 食べて答弁!!」を公開、大評判となっている。
http://blog.livedoor.jp/yonemeshi/
金沢に向かう特急「しらさぎ」に乗り換えようと、米原駅のホームに降り立った。わずか10分の乗り換え時間に駅弁を物色したが目新しいものがなく、あきらめかけたそのときに、運ばれて来たのが、この「湖北のおはなし」。

唐草模様の包み紙がとにかく目を引いた。包みを解くと、中から葦簾を使った趣のある弁当箱が姿を表した。丁寧にも「おこんだて」の紙が添えられている。

なになに……、「なんとしても、この弁当は鴨が主役です。粒こしょうでろーすとしました。この主役を引き立たせる大切な脇役を吟味いたしました」と書かれている。

琵琶湖一帯の郷土料理の素材として、有名なのが鴨肉である。特に真鴨を使ったすき焼き「鴨すき」は、湖北の冬を代表する名物料理なのだそうだ。

そんな鴨肉を駅弁で味わえるなんて、ありがたいではないか。

ふたを開けると、彩り豊かな総菜がぎっしり。ローストされた鴨肉は、口に入れると粒こしょうの香りがたち、本当に美味。

それにも増して、白おこわがめちゃめちゃ美味しかった。ふと、おふくろが炊いてくれた赤飯を思い出した。白おこわの下には少し塩味のついた桜の葉が敷かれている。その葉っぱと一緒におこわを食べると、ほのかな香りと程よい塩っぽさが絶妙なハーモニーを奏でてくれる。秀逸!

おこわの上に乗っている枝豆も美味だったし、ほかのおかずも丁寧に味付けされており、素材の個性が充分引き出されている。

片隅にちょこんと入れられているサイコロの箱の中には、ニッキ味の飴が入っていた。お口直しにニッキの飴なんて、気が利いているじゃありませんか! しかもサイコロは必ず「5」の面が上を向いているという。これで「再びご縁がありますように」という願いを表しているのだとか。憎いねえ。

おこわの具は季節によって変わるという。春は山菜、夏は枝豆、秋は栗で冬は黒豆。ほかのおこわも、ぜひ味わってみたい。

さすが近江商人の国の駅弁である。パッケージといい、中身といい、人の心を惹く工夫がある。近江商人の行商は信頼がものをいい、売り手よし、買い手よし、世間よしの「三方よし」が商いの理念だとされてきた。この値段でこのグレード。「買い手よし、世間よし」だが、果たして「売り手よし」なのだろうか。本当に儲けが出ているのか、心配だなあ。(語り下ろし)