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MAFF TOPICS(3)

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affラボ アジア産マツタケの原産国の見分けが可能に

DNA分析による判別法を開発

affラボでは、暮らしに役立つ農林水産分野の最新研究成果を紹介します。


秋の味覚の代表といえばマツタケ。ところがいまでは国内生産量は激減し、市場に出回るほとんどが外国産です。
マツタケは産地国により価格や関税率も異なるなどの理由から、原産国を見分ける方法が求められていました。
(独)森林総合研究所はDNA配列に基づく、アジア産マツタケの原産国判別法を開発しました。

地面にある白い線がシロと呼ばれる菌糸の塊
地面にある白い線がシロと呼ばれる菌糸の塊。マツタケはシロの成長過程でキノコとなる。しかしながらシロの拡大と世代交代のメカニズムはいまだ判っていなく、この解明がマツタケ人工栽培の可能性を秘めている


PCR法
判別法は農産物の品種判別から犯罪捜査まで、幅広い分野で採用されているPCR法という、ごく微量のDNAから判別の目印となるDNAを特異的に増幅し、分析する手法を応用した

左から日本産、中国産、トルコ産のマツタケ
左から日本産、中国産、トルコ産のマツタケ。今回試験したのは95菌株。内訳は日本産、韓国産、中国北東部産・南西部産、ブータン産、現在は輸入禁止になっているが北朝鮮産
日本の市場の95%が外国産マツタケ
「マツタケなんて数年食べてないなあ」と、嘆きが聞こえてきそうなほど、国産マツタケは高嶺の花になってしまいました。
林野庁の統計では、日本のマツタケの生産量は1941年の1万2000tをピークに、近年では100t前後を推移するまでに減少しています。

「マツ枯れ」「里山の放棄」など通説はありますが、いまだに減少理由の科学的証明はされていません。また「地球温暖化」による気象条件の変化も、大きな一因ではないかともいわれています。

さて現在流通しているマツタケの、外国産が占める割合は約95%。アジア産が大半で、そのほとんどは中国からの輸入です。原産国により取引価格や関税率が異なることからトレーサビリティ(食品がどこから来てどこへ行ったかわかるようにするもの)の管理が求められるようになりました。

そうしたなか原産国を判別する方法はないものかと、関税中央分析所から(独)森林総合研究所きのこ・微生物研究領域きのこ研究室に相談が持ち込まれました。折しもマツタケ栽培化に向けた遺伝資源(菌株)を探すため、マツタケをタイプごとに分類する方法を模索していたときでもあったそうです。 レトロトランスポゾンに注目
マツタケは人工栽培ができず、野生きのこのみが流通しています。
そこで世界各地のマツタケの進化の軌跡をたどれる、染色体上の目印が見つかれば産地の特定ができるのではないか、と考えました。着目したのはマツタケの染色体に多数存在する「レトロトランスポゾン」、というDNA配列でした。

「マツタケのDNA原産国判別法の開発」に要した期間は約1年半。しかし判別の目印となるレトロトランスポゾンの発見から、その有用性の検証などを含めると9年の月日が費やされました。

「単に違いだけを見出す個体識別は案外容易なのです。共通点を見出してグループ化しつつ、グループごとの違いをさらに見出すのは非常に難しいことなのです。今回のDNA分析判別法の開発は、地域ごとの共通点と地域間の違いが同時に見出せるということで、原産国判別法には非常に適していたといえます」(きのこ・微生物研究領域きのこ研究室村田仁さん)

またこの判別法の開発のためには、信頼できるアジア産マツタケのサンプルの調達も重要でした。これについては関税中央分析所、信州大学、滋賀県森林センターと綿密な連携があったそうです。

アジア産のマツタケは同一生物種で、見た目では原産国の由来はわからなかったとか。産地が判別されることにより、適正価格でマツタケが食べられると、消費者にとっても朗報といえます。

独立行政法人 森林総合研究所
http://www.ffpri.affrc.go.jp