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農林水産省

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特集2 食材まるかじり ごまのチカラ(1)

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国産金ごまを守る ~太陽と風、水はけのいい土があれば、あとはやるだけだ。~

福禄商店・亀山周央さん、杉浦健太さん
「金ごまは栽培も収穫もすべて手作業で手間がかかる。
でも、自分たちで作った金ごまは、そこらのごまとひと味もふた味も違うんだ」
自給率わずか0.1%の国産ごまを復活させようと立ち上がった人たちがいる。


料理にお菓子にと、世界中で食べられている、ごま。香ばしい香りと深い味わい、小さな粒の中にバランスよく栄養を詰め込んだごまは、すべての人に積極的に食べてもらいたい食品のひとつ。カラカラの大地に可憐な花を咲かせるごま畑に思いを馳せながら、小さい粒に秘められた、ごまの魅力に迫ります。

ごまの花
(写真左)花の下につくサヤの中にごまが実る。5月中旬に種をまき、約100日で収穫。収穫後は束ねて乾燥させる。10日ほどするとサヤが割れて、実が顔を出す
(写真右)サヤの中は4つの部屋に分かれていて、80~100粒の実がきれいに収まっている

福禄商店の亀山周央さん(左)と、代表の杉浦健太さん(右)

福禄商店の亀山周央さん(左)と、代表の杉浦健太さん(右)。すべて手作業によるごまの生産は重労働だが、やりがいがある。「やっていることが多少なりとも認められてきたのを感じる」と杉浦さん

ごま畑
ごま虫
無農薬だから虫の被害も少なくはない。ただ、通称「ごま虫」は畑のアイドル。「この虫を見ると幸せになるよ」と亀山さん

畑作業
ごまが若いうちは風通しをよくし、太陽をいっぱい浴びさせてあげないといけない
「何植えてんの?」。少し前までは、道行く人にそう聞かれることが多かったが、今はだいぶ認知されつつある。
愛知県安城市。絶滅寸前の国産ごまを憂い、5年前から金ごま栽培をはじめた福禄商店の亀山さんと杉浦さんを訪ねた。9月初旬の金ごま畑には、背丈1mほどの草に薄紫色の可憐な花がつき、太陽の光を一身に受けていた。

「ごまはアフリカ生まれの植物だから、暑くてカラカラなのは全然平気。太陽と風が大好きで、水は大嫌い」と亀山さん。人間にできることは、水はけのいい土を作り、若葉のうちは雑草とりを念入りにやって、風通しよく、太陽がいっぱい受けられるようにするぐらい。あとは天気にまかせるしかない。

ごまの99.9%は輸入
亀山さんのごま作りは意外なことからはじまった。以前は国産小麦や小豆、天然酵母にこだわったパン屋を営んでいた。ある日大好きなアンパンを食べていた時、ふと気になったのが、パンの上のごま。このごまがどこでどう作られているかがイメージできなかった。

すぐにごまについて調べると、国産ごまの生産量が0・1%という数字を目の当たりにした。「絶滅させちゃいかん」。その思いが亀山さんをごま作りに駆り立てた。
金ごま日本一をめざす
家康が奨励したこともあり、江戸時代の頃から三河地方ではごまを栽培していたという。しかし、現代となっては、雑草とりや鎌を使っての収穫など、すべて人力に頼る作業に生産者は二の足を踏んでしまう。無農薬となればなおさらだ。そうしてごまはほとんど作られなくなってしまった。

それでも「やるしかない」と自分を奮起させ、やるからには日本一をめざそうと、ごまの中でも「金ごま」に的を絞り、栽培をはじめた。唯一の約束事は「農薬は一切使わない」こと。手探りで金ごま栽培をはじめて5年目。今では金ごまの商品化も進み、こだわりの自然食品ルートで販売もしている。

亀山さんは、「国産金胡麻栽培事業ネットワーク」を発起し、金ごま栽培者を増やす活動も行っている。また、名古屋市内の有名ホテルに金ごまを持ち込み、料理教室を開くきっかけを作るなど、金ごま普及活動にも取り組む。

亀山さんの夢はひとつ。金ごまの作り手と耕地面積をもっともっと増やし、愛知県が「金ごま生産日本一」になることだ。