特集2 食材まるかじり マルゴトタマゴ(1)
タマゴのま~るい宇宙の中には、生命をつくり出す、すべての素が詰まっています。だからでしょうか、タマゴ焼きにオムライス、 タマゴかけごはんに親子丼。タマゴ料理は、いつだって私たちをハッピーな気分にさせてくれます。今回は、栄養満点なタマゴを、安全においしくいただくためのタマゴの基本をご紹介します。 |
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![]() タマゴはビタミンCを除くすべての栄養素がバランスよく含まれた完全栄養食品。特にたんぱく質は、人体に不可欠な8つのアミノ酸を、バランスよく摂取することができます。 卵白と卵黄の栄養の性質には違いがあり、卵黄は、たんぱく質のほか、ビタミンAやD、そのほかの多くのビタミンや無機質を含み、脂質ではタマゴ全体の3/4ほどが卵黄に含まれています。一方、卵白にはたんぱく質の半分以上、必須アミノ酸の多くが含まれています。 気になるコレステロールは卵黄中の脂肪に含まれていますが、タマゴにはコレステロールを下げる卵黄レシチンが含まれているので、気にする必要はありません。 【卵黄】
黄身と呼ばれる部分。約15%のたんぱく質と、約30%の脂肪、約50%の水分で構成されている 【卵白】
白身と呼ばれる部分で、タマゴ全体の重量の約2/3を占める。約12.5%のたんぱく質と、約87%の水分からなる |
![]() スーパーマーケットなどのタマゴ売場には様々なタマゴが並んでいます。殻の色の違いでいえば、白玉と赤玉。一般的な白玉に比べ、赤玉のほうが値段は少し高めです。それもあり、赤玉のほうが栄養価は高いと思われていますが、同じ飼料を与えた場合、実際には赤玉も白玉も栄養面での違いはありません。 最近では、地鶏のタマゴやヨード卵、DHA卵など、銘柄タマゴも豊富に揃っています。 |
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白玉
羽毛が白い、白色レグホン種などのタマゴ。もっとも一般的で、消費量が多い |
赤玉
赤玉品種の鶏が産んだタマゴ(必ずしも赤い羽毛の鶏のタマゴというわけではない)。白玉より高価になるのは、鶏の飼料摂取量が多く、生産率がやや劣るためで、栄養的には白玉と変わらない |
銘柄卵
DHAやビタミン、ヨウ素などの成分を鶏のエサに混ぜて強化したタマゴや地鶏のタマゴなどがある。写真は名古屋コーチンのタマゴ |
![]() タマゴは日持ちのする食品ですが、生食でいただくときには、食中毒防止の点から見ても気をつけていただきたいことがあります。 まず、確認したいのが賞味期限表示。この表示は「生で食べられる期限」のことで、夏期(7~9月)は採卵後16日以内、春秋期(4~6月、10~11月)は採卵後25日以内、冬期(12~3月)は採卵後57日以内で設定されています。いずれも購入後に冷蔵庫(10度以下)で保存した場合の数字です。表記してある賞味期限が過ぎてしまっても、加熱調理をすれば食べることができます。 |
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割って確認
新鮮なタマゴは卵黄が盛り上がり、内側の濃厚な卵白も盛り上がり、卵黄をしっかり包み込んでいる |
割らずに確認
10%の食塩水の中にタマゴを入れ、そのまま沈んでいれば新鮮なタマゴ |
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![]() タマゴのサイズ表示は、1個の重さによりSSサイズからLLサイズまで6段階に分けられています。一般に、若い鶏が産んだタマゴは小さく、年齢が上がるにしたがってタマゴが大きくなるといわれています。 タマゴは大きくなるほど卵白や水分が多くなり、卵黄比は低くなる傾向です。Mサイズが値段も卵黄比も手頃ですが、メレンゲなどを作る際には、卵白の量が多くなるLサイズ以上を使うのが適しています。 |
「公正マーク」で安心なタマゴを 銘柄卵・ブランド卵などの表示には、「平飼い」「有精卵」「地卵」「栄養強化卵」など様々な表記がされていますが、こういった表記についてはこれまで明確な基準が設けられていませんでした。そこで、表記に関する一定の基準を業界内で設けるため、来年3月に「鶏卵の表示に関する公正競争規約」が施行されます。基準を満たしている商品には、「公正マーク」の印がつけられ、消費者にとっては適正な商品を選ぶ目安になります。 |
参考資料:「卵のハテナQ&A」(東京農大出版会発行)/「カラー版 世界食材事典」(柴田書店発行)/「食材図典 FOOD'S FOOD」(小学館発行)