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特集1 最新まぐろリポート(4)

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東京・築地の仲卸人が語る 世界のまぐろが集まる場所


首都圏の台所、東京都中央卸売市場築地市場。
関東大震災前、市場が日本橋魚河岸と呼ばれていた時代から、生まぐろ専門の仲卸として商いを続けてきた「西誠」の3代目を訪ねました。

「西誠」の3代目
市場風景
市場風景
市場風景
市場風景

photo:Atsushi Somi
世界一の魚河岸
築地は年間5000億円という巨額が動く世界一の魚河岸です。近海の生まぐろをはじめ、遠洋延縄船が水揚げした国産冷凍まぐろ、オーストラリア、チュニジア、メキシコ、スペインなどから空輸された外国産のまぐろが築地市場に集まってきます。

午前5時前、築地市場の正門にタクシーで乗り付ける多くの外国人観光客。彼らのお目当ては世界のまぐろが競り落とされる光景です。「仲卸」「売買参加者」と呼ばれる人々が並べられたまぐろを丹念に下見し値段を検討するさまを、息を殺して見つめていました。

やがて鐘が打ち鳴らされ、競り人が独特の口調でまぐろの番号と価格を告げ、仲卸人たちが無言のまま競り人に指で合図を送り、買い付けていきます。

築地市場には750の仲卸があり、その3分の1がまぐろ専門の仲卸です。「西誠」3代目の小川文博さんもそのひとり。この日は塩釜産をはじめ、オーストラリア産などのメバチを6尾競り落とし、早々に場内にある店舗に運び込んでいました。

生まぐろにこだわる理由
小川さんのこだわりは「生」であること。冷凍物は一切扱っていません。店舗の横を生まぐろと冷凍まぐろを乗せた荷車が通って行きました。

「うちは生まぐろにこだわっているけれど、仲卸の中にはクロマグロだけにこだわっている店もある。クロマグロだって一年中獲れるわけじゃないから、当然冷凍物も仕入れなければ、商売にならない時期も出てきますよね」

1m以上もある包丁でまぐろを切り分ける手を休めて、小川さんが話し始めました。
「日本では今、世界のクロマグロの7~8割を輸入している。冷凍技術の発達がまぐろの普及に貢献したことは事実ですね。でも、私は天然の生まぐろは脂に甘みがあって最高だと思っています。時期によっても獲れる場所によっても味が違うから、目利きは難しいけど面白い。メバチだって最高に旨い時期とそれが獲れる場所がある。同じ種類のまぐろでもひとつとして同じ味はない。まぐろは奥の深い魚なんですよ。大きい魚だから個体差がすごくある。だからこそうちは生にこだわっているんです」


消費者も賢く選ぶ目をもちたい
一息ついて、三枚におろした背骨以外の半身を、今度は少し短い包丁で「ころ」と呼ばれるブロック状の肉片に切り分けていきます。いくつかに切り分けたところで、

「この前、『大間のクロマグロはあるか』と聞きにきたお客さんがいて、『三厩産のならあるけど、大間産はない』というと、『じゃあ、いらない』と言って帰って行った。今の時期なら津軽海峡のクロマグロは絶品。大間に水揚げされたか、三厩に水揚げされたかだけの違いなんだよね。『大間』というブランドだけがひとり歩きしている。消費者も産地ブランドに振り回されて、しっかり味を選ぶということができなくなっているんでしょうね」と小川さん。

情報収集を怠らず、品質や味を見分ける目、需給を読む判断力を総動員して、その日その日のまぐろを競り落としてきた仲卸人の言葉には説得力がありました。この道37年、何万尾というまぐろをおろしてきたのです。長さの異なる何本かの出刃包丁はどれも、当初の面影もないほど使い込まれ、細い柳葉包丁のような姿になっていました。

まぐろ解体 包丁

まぐろのラベル 商いの歴史
商いの歴史
競り落とした各地のまぐろのラベルは溜まる一方だ。現役で帳場に座り続ける昭和2年生まれの2代目女将、博子さん。魚河岸の生き字引的存在だ。

世界の主なまぐろの産地

世界の主なまぐろの産地
日本では昔からまぐろを食べてきたが、冷蔵・冷凍技術があまり発達していない頃は、まぐろを食べる機会も食べることができる場所も限定されていた。いまや日本は漁獲量、輸入量ともに世界最大。地中海沿岸の国々や台湾、オーストラリアなどからまぐろを輸入している。